2016年11月07日22時07分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201611072207101

コラム

相似と相反     岩宙平 ( 指揮者 在プラハ)

  最近めちゃくちゃ忙しいので、合間を縫って本をよく読んでいる。ここ数週間はイスラエルの指揮者バレンボイムとパレスチナの文学研究者サイードの対談集「音楽と社会」を読んだ。原題は「相似と相反」と言った方が正しいが、内容的には邦題でいいような気もする。 
 
  内容は音楽や社会問題に関して二人が会話している様子を文にしたものなのだが、非常に興味深かった。特にサイードの提唱する「対話の概念」は現代のヨーロッパにおける移民問題の(もしかしたら実態とかけ離れてるかもしれない)市井の狂騒をうまく言い当ててる感じがして恐れ入った。頭がいい人ってのはやっぱ違うんだな。 
 
   要約すると相手を集団として見た瞬間にわかりあうことが確実に難しくなる、集団同士が和解しあう(和平交渉など)には個人レベルでの接触=対話が欠かせない、というようなことなのだと理解したが、これは紛争や民族問題のみならず一般社会においても言えることである(例:相手が国とか学校、あるいは公共機関だと、途端に相手を悪だと思う人はあなたの身の回りにも多いと思う) 
 
   他にも面白かったのはバレンボイムの見せる複雑な思想である。彼はイスラエル人とパレスチナ人の混合オーケストラを作り中東和平をオーケストラで実現しようとしたかと思えばイスラエルでワーグナーを演奏したりする。一見わかりづらい思想だがサイードの言うとおりならバレンボイムは単純な思考回路では理解できない次元で世界のことを考えているのかもしれない。 
 
  ベートーヴェンの調性とのその精神性については私が未熟なことと正直日本語訳がわかりづらかったこともありつかめた部分とそうでもない部分があった。 
 
岩宙平 ( 指揮者 在プラハ) 
 
※岩宙平(1987年 東京生まれ) 
桐朋学園女子高等学校ヴァイオリン科を経て、チェコ国立プラハ音楽院指揮科、ヴァイオリン科および作曲科で学ぶ。さらにチェコ国立芸術アカデミー指揮科を卒業。作曲はイルジー・ゲムロット氏に、指揮はミリアム・二エムツォヴァー、ミロスラフ・コシュラー、ヒネク・ファルカチュ、トマーシュ・コウトニーク、レオシュ・スヴァーロフスキーらに師事した。 
 
 
■音楽にかける青春 岩宙平さん(28) プラハで指揮者デビュー  Chuhei Iwasaki 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201607030236520 
 
■音楽にかける青春 岩宙平さん(28) その2  チェコで若者たちに音楽を教える 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201610171224141 
 
■音楽にかける青春 シチリアの音楽家、ジオリ(Gioli) クラブミュージックとクラシックの融合を目指す19歳 最初のアルバム‘Mechanical Heart’の発売は来月 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201604040323301 
 
■音楽にかける青春 プラハの春・国際クラリネットコンクールで優勝した韓国の Sang Yoon Kim 氏 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508041229142 
■音楽にかける青春 アンナ・パウロヴァー(クラリネット奏者) ’Now I cannot imagine my life without clarinet’ Anna Paulova 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508010952116 
 
 
■音楽にかける青春 アコーディオン奏者、ミラン・ルジェハークさん(21) 「アコーディオンは大きな可能性を秘めた未開拓の楽器」 'Accordion is an instrument with a great potential and with possibilities' (Milan Rehak) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508090212550 
 
 
■音楽にかける青春 バイオリン奏者 ルドミラ・パヴロヴァー Ludmila Pavlova 人は演奏している音楽とともに生きていかなくてはならないことを知りました 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508200021584 
 
■音楽にかける青春 フランク・ルッソ(Franck Russo 29歳)「プラハの春」に入賞 クラシックに限らず幅広い音楽に挑戦中のパリの新進演奏家 J'ai toujours aime les projets originaux et m'exprimer de toutes les manieres possibles. (Franck Russo) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201509271525190 
 
■クラリネットの思い出 野崎剛史(クラリネット奏者) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201509060053480 
 
■ジャズとクラリネット 滝川雅弘(クラリネット奏者) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507211550462 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。