2017年03月18日22時20分掲載  無料記事
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コラム

メディア観戦記 #45 「原発事故は防げた」集団訴訟の初の判決 木村結

  3月17日15時、群馬地裁で待ちに待った判決がなされた。 
 
  福島原発事故により故郷を追われた人々は全国各地で国と東京電力を相手取って訴訟を起こしている。その数は約30件。その一つである群馬県に避難している方々137人が前橋地裁に提訴した訴訟に全国に先駆けて判決が下りた。 
 
‥貪鼎歪吐箸療来を遅くとも2002年には予見できた。2008年には実際に15.7mの津波を試算していた。 
 
東電が津波対策を講じていれば、原発事故は発生しなかった。 
 
9颪眥吐氾来を予見できる状況であったのに、事故を未然に防ぐための命令を東電に出さなかった。 
 
  この判決を獲得したのは、弁護団が津波対策に争点を絞り論点を少なくして裁判所の判断を早めたこと。原告が受けた被害実態を明確にするために原告45世帯中40世帯の証言を行ったこと。原発の是非などの個々に判断が分かれることを争点にしなかったこと。事故後の避難などの政府や自治体対応を盛り込まなかったこと。裁判官に被害の実態を肌で感じてもらうため原告が泣く泣く手放してきた富岡町などの家を見てもらったこと。 
 
  原裁判長は月1回のペースで口頭弁論を開き、国側が裁判の引き延しを画策した折もそれには屈せず、提訴から3年半という異例の速さで結審した。私はこの裁判長が原道子さんという女性裁判長であったことが大きく寄与したと思う。女性は子どもがいるいないに関わらず、生活者の目線を大切にし、未来に生をつなげることを意識している。これは私が普段の会話の中で感じてきた実感である。そして何より女性は「忖度」をしない。権力や世間の建前という目に見えないものより家族や地域といった顔が見えるつながりを大事にする。そして、その感性に訴えた弁護団の作戦勝ちだと言える。この東電と国の責任を明確にした判決が他の裁判に与える影響は大きく、素晴らしい判決だとは思う。 
 
  ただ、提訴した137人のうち75人の請求を退けたこと。一人あたり1100万円を請求していたのに避難指示区域の住民19人に75万円から350万円、区域外からの避難者に7万円から73万円とあまりにも少ない賠償金の支払い命令に原告は「一部勝訴」のバナーで抗議した。原告が求めた一律1100万円には程遠い金額であり、これでは「施し」である。裁判官とて公務員。社会の公僕という意識は薄れ、今や司法をも支配しようとしている安倍首相が2016年1月国会で「税金は国民から吸い上げたものでございますから」と堂々と答弁したように、税金は自分たちのものとの認識なのだろう。もちろん推測だが、全国で立ち上がっている損害賠償訴訟への金銭的な影響を忖度する右か左の、あるいは両方の陪審の意見に押されたのではないだろうか。 
 
   私が原告になっている裁判はどれも原発をゼロにするための謂わば理念の闘いだが、原発事故で故郷を追われ、補償も3月末で打ち切られる福島の被災者にとって加害者である国や東電から賠償金を勝ち取ることは死活問題である。それを考えるとこの判決を「勝った」とは喜べないし、非情な国に住んでいるのだという認識を新たにする判決であったと言える。 
 
木村結 
東電株主代表訴訟事務局長 
 
※ツイッターから 
 
●#NEWS23 
津波は予測できたはず◆
 
/原告137人のうちの62人だけなのは? 
1人1100万円の請求に対してあまりにも少額の賠償金の理由は? 
東電の過失を認めたのは大きいが、被災者への賠償が少なすぎる。 
国民に犠牲を強いた上、更に二重三重の苦しみを与えるこの国の冷たさ 
 
●#NEWS23 
津波は予想できたはず 
 
前橋地裁 
2002年7月の時点で国の研究機関が一定の確率でM8クラスの地震と津波を予測 
対策を講じることは費用からも容易だった 
→東電の過失を実質的に認める 
原告62人に計3855万円の損害賠償認める 
 
 
 
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