| ・読者登録 
 ・団体購読のご案内
 ・「編集委員会会員」を募集
 
 
 
 橋本勝21世紀風刺絵日記
 
 
 
 
 
 
 記事スタイル
 ・コラム
 ・みる・よむ・きく
 ・インタビュー
 ・解説
 ・こぼれ話
 
 
 特集
 ・反戦・平和
 ・国際
 ・入管
 ・イスラエル/パレスチナ
 ・環境
 ・難民
 ・みる・よむ・きく
 ・アジア
 ・欧州
 ・核・原子力
 ・アフリカ
 ・医療/健康
 ・スポーツ
 
  ・沖縄/日米安保
 ・文化
 ・政治
 ・中東
 ・検証・メディア
 ・市民活動
 ・人権/反差別/司法
 
 
 提携・契約メディア
 ・AIニュース
 
  
  ・司法
 ・マニラ新聞
 
  ・TUP速報
 
  
  
  ・じゃかるた新聞
 ・Agence Global
 ・Japan Focus
 
  ・Foreign Policy In Focus
 ・星日報
 
 
 Time Line
 ・2025年10月27日
 ・2025年10月26日
 ・2025年10月25日
 ・2025年10月21日
 ・2025年10月17日
 ・2025年10月11日
 ・2025年10月09日
 ・2025年10月08日
 ・2025年10月07日
 ・2025年10月06日
 
 
 
 | 
 | 2005年11月13日15時47分掲載
    無料記事
    印刷用 
 【IPSコラム】ブラジルで何が起きているのか ジョアン・ペドロ・ステディレ
 
    
     | ブラジルは深刻な危機にある。ルラ政権はすべてのことで間違えた。右翼はルラの道徳的・政治的敗北、選挙での敗北のために、そして2006年に政権をとるために血道をあげているのに、右翼が欲することは何でもやった。―ジョアン・ペドロ・ステディレ(IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信) 
 ブラジルで何が起きているのか。外国の友人はわれわれにこう頻繁に聞く。人気があると思われているルラ政権での汚職やブラジル最大の左翼政党、労働党における危機について毎日のように流れるニュースに心配しているからだ。
 
 しかし、ブラジルが今経験していることは、政権と左翼陣営の政治家に対する汚職嫌疑よりもずっと深刻なものである。
 
 社会運動一般、教会、ビア・カンペシーナ(農村の道、訳注)は特に、ブラジル社会で実際、何が起きているのか理解し、われわれのメンバーや活動家に説明しようと議論することで、最近数ヶ月、消耗してきた。われわれの理解は、ブラジルは深刻な危機を経験しているということである。
 
 危機は主に、経済的なものである。なぜなら現政権は、国内・国際的な金融資本や輸出専門の寡占グループに高い収益を保証する新自由主義的政策をとっているからである。経済は外国資本の利益に依然、依存しており、国民の求めるものに応えていない。
 
 ブラジルの成長率は近隣諸国や世界平均以下である。関連する指標の下落に反映された明確な社会的危機がある。第一に失業である。1200万人の成人が失業者で、非公式セクターに1500万人の潜在失業者がいる。1億8400万人の人口のうち、合わせて2700万人の潜在労働者が生産システムの外にいる。農業改革はただ約束のままになっている。保健、教育、道路建設に投資されるべき公共資源は債務の利子返済のために使われている。今年、政府は600億ドル以上を利払いのために使う。それでも国の借金は増え続ける。
 
 政治的危機にも直面しており、汚職が表面化した。ブラジル人の92%は、政治家は正統なものとも彼らを代表しているとも見なしていない。彼らにとって、選挙とは国民の利益が排除される形式的なゲームである。
 
 ブラジル社会にはイデオロギー的危機もある。大衆運動の弱体化、社会的無関心、組織された社会組織の目立った不活発、現状からどのように脱出すべきか議論がないことに現れている。危機はますます悪化している。それは一つには、15年間の新自由主義の支配によるものであり、ルラ政権と労働党の重大な失敗によるものでもある。
 
 政府は統治のしやすさの方を選び、金融資本が経済政策を維持するのを助けると信じて、保守的な部門と連携した。基本的な政治手段として、大衆の動員を考慮しなかった。豊富な公的な広告でもって、保守的な新聞に有利な取り計らいをした。
 
 ルラ政権はすべてのことで間違えた。右翼のすべての部門は抵抗し、ルラの道徳的・政治的敗北、選挙での敗北のために、そして2006年に政権をとるために血道をあげているのに、右翼が欲することは何でもやった。
 
 左翼はそのやり方について、深刻な自己評価が求められている。わたしは汚職について語っているのではなく、左翼が統治について持っている幻想のために、イデオロギーの戦いを本質的に放棄してしまった事実を述べているのである。自発的運動を公務員として有給の雇用と交換したのである。権力にいるという虚栄心のために、社会変革の計画を放棄してしまった。多分、集団的自己欺まんで、階級闘争は最も熟達した者が勝利する会社間の競争にとって代わられた、と多くの者は自分を納得させている。
 
 残念なことに、ブラジルの左翼は真の自己評価をする必要性を認識していない。最近の労働党内部の選挙では、何の変化も見せなかった。こうした厳しい見通しを考えると、ブラジルの外国の友人は、「解決法は何か」と聞く。
 
 この難局から抜け出すためには長い時間と相当な社会エネルギーが必要であろう。
 
 中期的には、真の大衆運動の勃興を引き起こすための真の方法は、政府や選挙ではなく広範な社会闘争を起こす大衆勢力と草の根組織の構築にあるという考えでブラジルの社会運動は動いている。10月下旬、大規模な大衆会議が開かれ、全国から8000人以上の社会活動家が集まった。こうした努力は、より多くの活動家を訓練し、ブラジルのための新たな大衆プロジェクトを作るために議論を広げる一致団結した努力で強化されるに違いない。
 
 訳注:ビア・カンペシーナ(農村の道) 中小零細農民や農業労働者を組織する世界的な農民組織
 
 
 *ジョアン・ペドロ・ステディレ ブラジル最大の社会運動である「土地なき労働者運動(MST)、ビア・カンペシーナ・ブラジルの指導者の一人。
 
 |  
 
 
 転載について日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
 
 
 
 | 
 | 
  
 
  
 
  
 
  
 
  
 
 
 
 |