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2008年02月24日11時08分掲載
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G8サミットは地域問題を世界に伝えるチャンス 沖縄を教訓に、と新崎盛暉さん
沖縄サミット当時、「市民連絡会」の代表世話人として活動した新崎盛暉さん(沖縄大学理事長)が、2月8日、札幌市内で講演した。この催しは、7月の北海道洞爺湖サミットに向けて、G8サミット市民フォーラム北海道が主催する連続学習会の第2回目。新崎さんは、沖縄がサミット開催地に選ばれた理由を「世論をやわらげ、米軍基地再編をすすめるための雰囲気作り」と分析。「G8の首脳にものを言うよりも、世界各国から集まる報道関係者や市民団体に、沖縄の問題、市民の声を伝えるチャンスにした」と沖縄サミットの経験を語った。(木村嘉代子)
新崎さんが代表世話人をつとめる「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」(以下・市民連絡会)は、沖縄サミット開催の前年1999年8月14日に結成。その目的は、「G8サミットが歴史に果たしてきた役割、沖縄で開催される意図を明らかにし、沖縄サミットを利用した米軍の県内移転に反対し、沖縄の平和を求める意志を世界に発信する」ことにあったという。
誘致にそれほど乗り気ではなかった沖縄が、どんでん返しで開催地として選ばれたのには、「米軍基地」にからむ日本政府の意図があった、と新崎さんは分析する。「90年代なかごろは、日米安保体制が再定義された時期。米軍の県内移設問題に加え、米兵の少女レイプ事件の発生で、沖縄では反基地運動が盛り上がっていた。政府は、“サミットによる経済効果”という甘い蜜を利用して、激化する反対運動を抑えようとしたと思われる」と語った。
こうした政府の思惑に対し、新崎さんら市民団体は、G8サミットを「沖縄の基地問題を世界に発信する」チャンスと位置づけ、積極的に活動したという。「自分たちの力でG8を変えようとは考えていなかった。それよりも、民衆を結束させ、国家権力を監視する力をつけ、こちら側の意図を伝えることに力を注いだ。こうした活動においては成果があった」と述べた。
また、「G8サミット開催が決定した当初、沖縄の知名度アップ、地域振興、企業誘致への期待が先行し、このサミットを基地問題と結びつけて考える人は多くはなかった」と、一般市民の意識の変化にも触れた。大手航空会社が7月の沖縄運航便を減らすなど、市民生活影響を及ぼしはじめたころから、人々は次第に新崎さんらの言葉に耳を傾けるようになったという。新聞の論調も変化していった。
新崎さんは、「経済効果があったとは思えない。何が残ったかと聞かれれば、国際会議場ぐらいだ」と指摘する一方で、「沖縄の反基地運動が国際的に認知され、人々との世界的なつながと広がりを持つようになった。韓国、台湾、プエルトリコ、グアムをはじめ、多くの人と知り合い、孤独感を共有できた」と市民の活動を評価した。
講演の最後に会場からの質疑応答が行われ、札幌市などが公園の使用規制を強めている件に関する質問に対し、「沖縄でも市民団体と行政との関係は平行線のままだったが、運動を規制されたりはしなかった。公共施設や公園の使用を断られたことはなかった。状況を変えるには、市民自らが雰囲気作りをすることも大切だろう」と助言した。
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講演する新崎盛暉さん





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