(パリ=飛田正夫 日本時間;‎‎‎16/‎03/‎2017−8:19:55)15日のオランダ下院議会選挙では2012年よりも12議席多い全150議席が比例代表制直接選挙で選ばれる。マーク・ルート(Mark Rutte)首相の自由民主党(VVD)がトップで31議席を獲得したが過半数の76議席には遥かに及ばなかった。心配されたイスラム嫌いで反ヨーロッパ主義者で知られるゲールト・ヴィルダー氏のトップ当選は避けられて極右派系は19議席と予想に反して伸びなかった。エコロジーのグリーン・レフト(GroenLinks)は2012年の4議席を16議席まで伸ばして注目されている。
ヴィルダーは外国人への総ての社会援助を廃止し警察と防衛機関への補助金を増加しようとしていた。メルケル独首相官邸は15日夕刻、オランダ議会選挙の結果を素晴らしいものだと評した。ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長はオランダのルート首相に対し、極右派に反対する明快な勝利であると祝いの言葉を贈った。ルート首相は、英国の欧州離脱(Brexit)とトランプ米大統領のポピュリズムの後で、オランダは極右翼派系の台頭に反対する投票で勝利したのだとコメントした。全体として極右翼化を抑え込んだかたちで、欧州議会寄りが期待できるという。
左派(SP gauche radicale)が16議席。自由党(PVV)が19議席、キリスト教民主勢力(CDA)が19議席、中道改革派の民主(D66)19議席づつ獲得した。エコロジーのグリーン・レフトはリーダーのGroenLinksのジョゼ・クラヴァー氏は難民の受け入れを要求するヨーロッパ親派で政治モデルはジョン・ケネディだという。母親はインドネシア人。フランスの左派の経済学者トーマ・ピケティ氏に近く青年層に人気があった。労働党(PVDA)は29議席を失った模様。現在トップにある自由民主党(VVD)のマーク・ルート(Mark Rutte)首相の所でも2012年度比で10議席を失っている。
クーデタ失敗で多くのジャーナリストや教師や文化人を拷問し監禁しているトルコのエルドガン大統領だが、オランダ在留のトルコ人有権者にエルドガン支持を指示したトルコ高官らをオランダ政府が排斥したことから、ナチズムやファシズム呼ばわりするトルコ側との衝突事件も投票直前にあった。オランダ人の権利や文化を擁護するとはいえ極右翼派系ゲールト・ヴィルダー氏のイスラム嫌いで人種差別を憚らない危険な思想というのは、多くのオランダ人から嫌悪されたと考えられる。現在の所では、投票率は81%ほどでこれまでの最高の1977年の88%に次ぐものとなっている。
【参考記事】
https://www.lesechos.fr/idees-debats/cercle/cercle-167567-legislatives-aux-pays-bas-pour-les-marches-ni-effet-trump-ni-nexit-en-vue-2072578.php
http://www.lemonde.fr/europe/live/2017/03/15/suivez-en-direct-les-elections-legislatives-aux-pays-bas_5094996_3214.html
http://www.lepoint.fr/europe/pays-bas-le-premier-ministre-en-tete-devant-l-extreme-droite-15-03-2017-2112140_2626.php
(飛田「仏メディアの旅」から)
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