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2011年01月22日11時09分掲載
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外国人労働者
手放しで喜べないインドネシア人看護師候補生の「在留延長」 その裏側に何が?
政府は18日、EPA(経済連携協定)により2008年に来日した第一陣のインドネシア人看護師候補生91人の在留許可を、一年間延長する方針を固めた。当初の予定では、看護師候補生は3年以内に国家試験に合格できなければ「帰国」と定められていた。しかし、この2年間で合格できたのは、インドネシア人2名を含むたった3名という低調ぶり。今回在留延長が認められそうな2008年来日組に関しては、今年2月の国家試験がラストチャンスとなるため、インドネシア政府からも在留延長の強い要望があったと見られている。(和田秀子)
■残るのは半数か?
しかし、候補生たち本人も受け入れ側の病院も、在留延長を手放しで喜んでいるわけではないようだ。 「1年延長したって合格の見込みはないのだから、これ以上残ってもらっても…」と思っている病院関係者も少なくないという。
また、候補生たちの間でも、「病院との折り合いが悪いので、もう帰国したい」という者も一定数いるようだ。そのため、政府が在留延長を認めても全員が残るわけではなく、病院側と候補生との話し合いによって決定されることになるとの見方が強い。最終的に在留するのは、不合格者の半数ほどではないかということだ。
在留延長の報道を受け、ひとりの看護師候補生に感想を尋ねてみたところ、こんな答えが返ってきた。「政府が在留延長を認めても、病院側が延長を認めてくれるかどうか……。それが不安です」
■ムチャクチャだった教育体制
そもそも、初めからきちんとした受け入れ体制を整えていれば、今回のように土壇場になって当事者がふりまわされることはなかったはずだ。 EPAによる受け入れは今年で丸3年を迎えるが、少なくとも最初の2年間の受け入れ体制はムチャクチャだった。怖ろしいことに、その教育方法も費用も、すべて受け入れる病院に委ねられており、病院は自腹を切って、試行錯誤で教育を行ってきたのだ。当然病院側からは、「費用ばかりかさんで合格の見込みがない」という不満が高まっており、候補生たちの受け入れを希望する病院も激減していた。
さすがに政府も「これではマズイ」と思ったのだろう。2011年度からは、インドネシアおよびフィリピン本国に日本語教師を派遣し、候補生たちが来日するまでの3ヶ月間を、日本語教育に充てるとの方針を定めた。
■早急に教育体制を整えるべき
しかし、一部の日本語教育関係者からは、「現地で日本語研修を請け負う業者と、来日後に請け負う業者間で連携がとれていないため、成果は期待できない」と、懸念の声も上がっている。 というのも、候補生たちに日本語を教える研修機関は、その都度入札で決められているため、いわばライバル同士。そのため、業者間での意見交換もなければカイゼンもない。これでは何年たっても、外国人看護師に対する適切な教育体制は固まらないのではないか。
政府はすでに、平成23年度の外国人看護師・介護福祉士候補生受け入れ支援事業の概算要求として845,051千円の予算を計上しているが、果たして有効に活かされるのか疑問が残る。
今回、在留延長が認められることに対しては、個人的にとても歓迎している。しかし、今後はベトナムやインドからも人材を受け入れる可能性があるだけに、一貫した教育体制を早急に整えなければ、同じ過ちを繰り返すだけではないだろうか。付け焼き刃の在留延長だけでは、焼け石に水だろう。
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