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2011年03月22日10時40分掲載
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東日本大震災
放射能汚染、体内被曝を軽視すべきではない 田坂興亜
牛乳や水を含む農産物の放射性元素(ヨウ素131など)による汚染に関しての報道の仕方に大きな問題を感じましたので、以下のような要請を、NHKおよび、朝日新聞に申し入れをしました。
今日(3月20日)の朝日新聞に福島原発事故関連で、枝野氏の 記者会見での発表が、掲載されていましたが非常に大きな間違いをそのまま掲載しているのでメールします。
福島県で採取された牛乳とほうれん草から放射性ヨウ素が検出されたとの報道の最後に、「しかし、一年間これを食べ続けても、CTを一回受けた放射線量程度なので、直ちに健康に影響を与えるようなものではありません」と枝野氏の記者会見での発言を、何のコメントもつけずに掲載していました。 この発言には、二つの重大な間違いがあります。
一つは、牛乳やほうれん草に含まれる放射性ヨウ素131は、これを食べた場合、特に乳幼児や、成長期の子供の場合、のどのところにある、甲状腺に「チロキシン」という「成長ホルモン」として蓄積され、「体内被曝」をもたらします。 その結果、チェルノブイリ原発の事故では、汚染地帯に生活 していた子供たちの多くに「甲状腺のがん」を発生させてしまったのです。したがって、枝野氏の報告は、ごく微量でも深刻な結果をもたらす「体内被曝」の可能性を、(多分東京電力や、原発推進派の御用学者によって作成された段階で、故意に)無視し、CTのような「体外被曝」との比較に摩り替えられています。
第二の問題点は、「直ちに健康に影響を与えるほどのものではない」という、表現です。微少量の放射性物質(ないしは放射線)に被爆したとき、もちろん、「直ちに」健康に被害は出ません。しかし、これまたチェルノブイリ原発事故によって放出された放射性ヨウ素を牛乳などの食品や汚染した水を飲むことによって摂取してしまった子供たちは、3年、4年後に、甲状腺のがんを起こした事実からもあきらかなように、「直ちに健康被害が出ない」ということが、「特に問題にすることは無い」、ということにすりかえられています。 (これもまた、原発を推進してきた電力会社、政府、また、原発 受け入れ容認の立場をとることによって潤沢な選挙資金を得て当選した、県知事、市長、町長などが放射性物質の人に与える影響を過小評価するのに用いてきた表現です。)
以上のような事実の矮小化は、30キロ県内のみならず、その圏外にいる、子供を持つ親たちに、「まだ安全なんだ!」という幻想を抱かせ、本当にどうしようもない危険な状態になって初めて、ことの重大さに気づくということになりかねません。ぜひ、みなさんでこのことをお伝えいただきたいとお願い致します。
田坂興亜 (元アジア学院校長、国際有機農業運営委員、元ICU教授)
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転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
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