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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年11月20日13時56分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】浜岡原発の前面砂丘「防波堤」と「防波壁」 津波を防ぐどころか津波の海水を閉じ込めるだけ <上> 山崎久隆
既に総工費1400億円を投じて工事が始まっている浜岡原発の耐津波性能向上工事などの耐震・津波補強。やっているそばから、既に破綻が始まっていた。 誰でも感じる「津波を砂丘で止められるか」という問題。もちろん今ではそんなことは誰も信じていない。そのため「防波壁」が作られることになった。
◆崩れた砂丘
浜岡原発は言うまでもなく南海トラフを震源とする海洋プレート境界型地震の震源域真上にある。そのため地震に伴って発生する巨大津波の「波源域」が目の前にあることも事実だ。
しかし浜岡原発の前の砂丘は、台風の高潮により切り刻まれていた。 特に2009年の18号台風などでは砂丘に大きなき裂が生じ、周辺では防波堤も崩れてしまう被害が出ている。浜岡原発周辺では補強工事が今も行われていた。台風で削られる砂丘が、津波を止めるなど想定できるだろうか。
さて、福島第一原発は、地震に襲われてから津波に襲われるまで、それでも50分近くあったので、その間、原子炉スクラム・制御棒挿入動作、原子炉冷却系統の稼働、隔離時復水器(1号機のみ)、ECCS作動(2・3号機)があった。そのため、全電源喪失により冷却水が失われ燃料露出・炉心崩壊からメルトスルーに至るまで、ある程度の冷却は出来た。熱量がある程度下がっていたので炉心破壊も運転中の原発に比べたら、ゆっくり進行したはずだ。では浜岡でも同様の経緯を辿るだろうか。
◆浜岡を襲う地震の性質
現在の緊急対策は、いわば福島第一をなぞっている。電源喪失が怖いから電源車を配備し、冷却水がなくなるとメルトダウンするから代替注水機能を増やしている。これらは福島第一原発と同様に「地震」により外部電源喪失、ただし非常用ディーゼル発電機は正常作動、数十分後に「津波」により海水ポンプが破損。そのために最終ヒートシンクを失うので別の方法で冷却といった想定だ。
浜岡はそれで助かるか。答えは「否」。
まず、地震の揺れの規模がまるで違う。地面は波打つように揺れ、そのうち本当に波打ち出す。つまり液状化だ。福島では大規模では起こらなかった、地盤の液状化に伴い建屋が傾き出す。
柏崎刈羽原発では実際に起きた。3号機の外にあった起動変圧器の火災は地盤沈下による冷却用の油が漏えいし、引火したために起きた。浜岡では構内にある重油、軽油、ガソリン等のタンクが破壊されて火災が多発する。同時に波打つ地面に原子炉建屋もタービン建屋も翻弄され、特に両建屋が建築深度も地面投影面積も、加重もまるで違うため別々に揺れ出し、相互の間にある蒸気系と給水系配管を引きちぎる。福島では地震で破壊された配管は中小規模に限られ、大口径の配管は再循環系を含めて原型を止めたとみられるが、浜岡は地盤が柏崎刈羽原発と同程度に悪いので、同じように建屋の変位が起きる。柏崎刈羽原発の建屋を「変位」させた地震はマグニチュード6.8だが、浜岡を襲う地震は9に達すると考えられる。エネルギー量は単純に2000倍、震度7に達する強震動は継続時間が推定180秒以上、地盤の大破壊が起こると考えるのが自然だ。ちなみに浜岡の基準地震動Ssは最大800ガル、主要動の震動継続時間は60秒ほどだ。
原発の地下に走る断層も、地盤の変位が起きるだろうことを示唆している。H断層系という断層群が浜岡の敷地を走っているが、1・2号機は何とかそれを外して建てている。しかし3〜5号機は全てタービン建屋に掛かって建っている。原子炉建屋とタービン建屋の間を走る3号機の例もある。1・2号機は廃炉になって燃料の取り出しが終われば最悪の燃料溶融被害は起こらない。
問題は3〜5号機だ。
まずこの断層線が大きく動く。これが地震断層であったらますます致命傷だが、そうでなくても地盤が変位してしまうので、上にある建物にとって致命傷になろう。 間の配管は20cmの変位にまで耐えられるとされるが、20cm以上になれば建屋の壁に干渉するため持たない。例え20cm以下でも引っ張り方向に大きくずれれば配管よりも継ぎ目のノズルやバルブの場所が破壊されよう。柏崎刈羽は中越沖地震の際にタービン建屋と原子炉建屋の間で1.2cm変位した。浜岡は現時点で3号機では1.6cmまで変位すると解析している。
<次号につづく>
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