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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2017年04月02日17時44分掲載
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医療/健康
夜勤ナースの独り言(37)
夫が脳腫瘍を患い、自分が患者家族になったことで、すごく思い知らされたことがありました。 夫は、脳腫瘍発覚後、周りの人に自分が大きな病気になったことをあまり話したがりませんでした。それは、心配をかけたくないという思いもあったのですが、私たち夫婦は小さな田舎町に住んでいたので噂が広まりやすく、大事だと知れ渡ると、気遣いからか、普段はあまり連絡を取っていない人や親しくもない人から「大丈夫なの?」という問い合わせが多数寄せられる可能性が高く、いちいち説明するのが面倒くさいと思ったのが一番の理由だったようです。また、世の中には人の不幸を酒のつまみにする人、他人の不幸が大好きな人もいるわけで、心配するなど親身になるふりをして、裏で面白可笑しく吹聴して回る人もいますから・・・。 でも私としては、パニックになっている分、夫と違って「誰かに聞いてほしい」という思いが強かったですし、職場の同僚に勤務の交替をお願いしたり、退職する際には理由を伝えなければならないので、どうしても夫の病気のことを他人にちょくちょく話さざるを得ませんでした。
そうやって話が広まると、患者家族がよく遭遇するのが「悪意のない善意」です。私自身の負のオーラが引き寄せてしまうのかもしれませんが、患者家族には多かれ少なかれよく起こる話でして・・・。 例えば、健康マニアの人が、食事療法やらホメオパシー(自然療法)、がんに効くという健康食品やら代替療法、関連本など、そういった類の情報を大量に持ってきます。相手からすると、本当に心配した上で情報を提供してくれているのでしょうが、患者家族にはそれを実践する余裕はありません。また、励まそうと掛けてくれる言葉が、逆に患者家族のストレスを助長させたりします。 看護師としての経験から言わせていただくと、脳腫瘍にしろ、がんにしろ、ある程度進行してしまっている時点では、代替療法や食事療法は効きません。ホメオパシーで小さくなることもありません。この点については、手術や化学療法と併用している可能性があるので、何が本当に効いているのか、実際のところは分からないのです。予防的に行うか、それか、もう末期で「病院では何もやることがない」と言われた時点で考慮してもよいかなとは思いますが・・・。しかも、「医療従事者の敵は、実をいうと医療従事者なんじゃないか」と思うくらい、そういった代替療法、食事療法的なことを勧めてくるのは医療従事者である友達や知人に多いのです。さらに極め付けは、ヨガ、瞑想、お題目をあげる・・・といったスピリチュアル系の人たちも、わんさか寄ってきます。意外かもしれませんが、実はそのようなスピリチュアル系にはまっている医療従事者は珍しくはありません。
もし自分の周囲に、困っている、つらい思いをしている患者さんやその家族がいらっしゃったら、自分の意見や信じる治療法を押し付けず、つらい気持ちで押し潰されそうになっている患者さんやその家族に寄り添って、少しでもいいから彼らの話を傾聴してあげてください。そして、そのときには「頑張れ」とは言わず、「頑張っているんですね。休養は取れていますか?少し休まれてもいいかもしれないですね」などと声をかけて労ってあげてください。私には、そういう言葉が一番有難かったです。(れいこ)
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