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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年08月18日23時31分掲載
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ロジェ=アンリ・ゲラン著「トイレの文化史」 東京湾の競泳予定地の大腸菌報道は多くの人に嘆かわしい思いを与えたが・・・
来年の東京五輪の水泳競技場を予定している東京湾の一角でトライアスロンの基準値の2倍の大腸菌が見つかった。すでにテスト遊泳の段階で「トイレ臭い」という評価が報じられていたが、菌も多かった。東京の周辺地域の下水にトイレの汚水が混じり、東京湾に放出されているため、臭いのは無理もないという。
最近は電車でも化学物質を使った芳香が満ちていて、糞尿とか汗の臭い、さらに口臭を消すことに金を使う人が増えている。いろんな薬剤やスプレー、消臭剤が薬局などに行くと売られている。1970年代あたりまではうんこの臭いは日常にあふれていたように思う。というのは畑に行くと未だうんこが肥料に使われていたし、トイレでも汲み取り式がまだ多かった。かつては化学肥料でなく、うんこを肥料にしていたのだ。筆者の祖母は田舎の山の畑で草の間にしゃがんで糞をしていたものだ。
フランスの生活史家のロジェ=アンリ・ゲランは「トイレの文化史」(ちくま学芸文庫)の中で、パリの臭いについてかなりのページを割いている。かつてパリは臭かったし、庶民だけでなく、王の城の中ですら壁に向けて小便をしていた時代があった、と。「トイレの文化史」はうんこと小便をフランス人がどう処理してきたかについて歴史的な見地から綴っている。かつてセーヌ川にもうんこが大量に放出されていたから臭かったと言うのだ。
ゲランはヴィクトル・ユゴーの小説を引き合いに出し、こう記している。
「『田園に施肥するのに都市を用いるならば成功は間違いなしである。我々の富が人肥から来るならば人肥すなわち富である。』ところが、それを下水に捨てているのだ!『ここでは一滴ずつ、あちらでは大量に首都の下水溝から川への小さな流れ、そして河から海への壮大な流れが運び去るものはまさに民衆の養分そのものである。汚水溝が一度シャックリをする度に我々は100フラン損をしているのだ」
ユゴーは人糞ほどよい肥料はないと思っていた節がある。将来、世界で食糧難が到来したら、都市の中でも農業をしなくてはならなくなるだろう。ビルの中でも屋上でも周りの空き地でも。その時、肥料代が払えなければ、うんこに注目が再び集まるかもしれない。あるいは日本経済がもっと低迷して極貧時代が訪れると、うんこがg当たりいくらで売れる時代が来るかもしれない。だが、東京人は今更、うんこ臭い都市に耐えられるだろうか。
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