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 橋本勝21世紀風刺絵日記
 
 
 
 
 
 
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 | 2021年08月24日10時41分掲載
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 国際【アフガニスタン】対話こそが Possible breakthrough is only by dialogue in Afghanitan   谷山博史
 
    
     | 私がJVCのアフガニスタン現地代表だった時のスタッフで、今は友人のワハーブ医師から連絡がありました。「大丈夫、自分も家族も無事です。身体はね。でも精神的には大丈夫じゃないです」と。どうしたのと聞くと、タフガニスタンがどうなっていくのか心配でしょうがないと言って11もの憂慮事項を挙げました。 
 
 1.表現の自由や報道の自由はどうなるのか
 2.政府や行政に適材適所で人を配置するのか
 3.タリバーンはISの活動を抑えられるのか(最も心配)
 4.パキスタンのやり方に反対する人たちに危険はないのか
 5.タリバーンが言っていることに行動が伴うのか
 6.タリバーンは国際社会との関係を築けるのか
 7.ターゲット殺人は止めるのか
 8.歴史的な遺跡や遺産は大丈夫か
 9.反対意見に耳を傾け議論をするつもりがあるのか
 10.選挙をするのか、その結果を受け入れるのか
 11.現国軍を組み込んで生かすのか----
 
 これだけの項目を即座に挙げられるのは、先が全く見えない中で毎日毎日社会の隅々にまで思いを巡らしているからでしょう。心配で心が押しつぶされそうになっているに違いないのです。正直大きな期待は禁物だと言わざるをえないものばかりです。
 
 ワハーブもサビルラも15年近くJVCで活動してきて民主主義の精神が心と身体に染みついています。不正や差別、紛争や貧困に対する目が厳格で、変えていかなければならない社会の病気だと捉えることのできる人たちです。
 さらに言えば、言うべきことは言う、米軍に対しても政府に対しても物怖じせずに意見をぶつけることができる人たちです。表現の自由がなくなれば自分が自分として存在し得ないとまで考えるでしょう。そういう人たちにとってタリバーンの支配はギャッ
 プが大きすぎる。
 
 アフガニスタンにはアフガニスタンのやり方がある。しかしJVCにもJVCのやり方がある。私がJVCの現地代表として彼らと仕事をする時に悩んだのはこのことでした。権威で統制するのが当たり前のアフガニスタンで、JVC流の何でも議論して決めるというやり方がいいのか、通用するのかというとても重大な命題です。
 
 悩んだ挙句私はJVCのやり方を選択しました。アフガニスタン社会の中で異質な組織文化が培われていくことになりました。その結果、彼らは驚くようなことを次々とやってのけました。米軍がヘリから簡易ロケット弾をクリニックに落とした際は国際会議の場で米軍に抗議して村での活動を止めさせました。政府がJVCのクリニックを選挙の投票所に使おうとした時は拒否して使わせませんでした。クリニックが武装勢力のターゲットになるからです。また米軍の発案を受けて政府が村にコミュニティ・ポリス(民兵組織のようなも)を導入しようとしたときは、村の長老たちと話し合って村として拒否することを決めさせました。
 こうした行動は彼らが自立した強い精神性を持っていることの証しです。しかしこのことがよかったのか。ワハーブやサビルラの精神的な苦しみは他のアフガニスタン人よりも深く激しいものに違いないのです。
 
 自暴自棄にならないでほしい。そう思う反面、頑張ってほしい、彼らならきっとできるという期待もあります。彼らは彼らと精神風土の異なる村の中で常に村人と対話しながら活動を続けてきました。そして彼らが行き着いたのは、紛争を終わらせるためには村人自身が対話で対立や問題を解決していくことしかないという結論です。村で対立があれば武装勢力が入ってくる。武装勢力が入ってくれば米軍が入ってくる。そして村は戦場になるということを彼らは知っているのです。
 
 ピース・アクション・プロジェクトと名づけた活動は彼らの発案で始まりました(現地ではピースという言葉は使いません)。家庭内や友人同士、対立する者同士、他の村との間など、すべてのレベルでの問題を対話によって一つ一つ解決するという取り組みです。対話で対立や問題が解決した事例を丁寧に掘り起こし、
 当事者の成功体験を村の中で共有していくのです。この活動は若者に自信を与え、村の結束をも生み出しました。そしてこの取り組みはJVCの活動村から他の地域に伝わり、昨年5月の時点でナンガルハル県の5つの郡にまで広がっていっていきました。タリバーンと米軍・政府軍との激しい戦闘のあったトラボラ地域から
 もワークショップの依頼が来たほどでした。
 
 だから彼らならできる。彼らならタリバーンとも対話できるはずです。どんなに絶望的な状況でも対話の力を信じてほしい。ワハーブからの最後のメッセージにはこうありました。「もちろんです。タリバーンと対話して彼らをなにがいいかを分かってもらえるように全力を尽くします」
 
 ◆写真はJVC提供、2020年5月。村のボランディアの呼びかけで開催された対話の啓発セッション。話すのも村の若者。
 
 たにやま・ひろし
 沖縄在住 JVC(日本国際ボランティアセンター)前代表
 
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 転載について日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
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   対話からすべてが始まる(JVCのピース・アクション・プロジェクト)
 
 
 
 
 
  
 
  
 
  
 
  
 
  
 
 
 
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