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2025年09月04日11時12分掲載
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医療/健康
発達障害の最大の原因はお産の現場にある 完全母乳哺育とカンガルーケアの問題点をベテラン医師が告発
発達障害児が増え続けている。文部科学省の2012年の全国調査で発達障害とみられる小学生の割合は7・7%、中学生は4・0%だったが、22年の調査では小学生が10・4%、中学生は5・6%と増加傾向が続いている。 発達障害も「個性の一つ」ではある。発達障害児の中には特定の分野で稀有な才能を示したり、成人後はうまく社会に適応していく者も少なくない。ただ、発達障害児は生涯にわたって「生きづらさ」を抱えるケースが多いことも事実だ。また、発達障害児増加の影響は発達障害児を持つ親、保育士、学校教師らにも及んでいる。 これまで、発達障害の原因としては遺伝説、食物など環境要因説などさまざまな仮説が唱えられてきたが、「最大の原因はお産の現場にある」と断言し、産婦人科医や精神科医の間で波紋を広げている医師がいる。佐賀県で長年にわたり、久保田産科麻酔科医院を運営してきた久保田史郎医師(80)だ。 久保田医師は『カンガルーケアと赤ちゃんが危ない』(小学館)『冷え性と熱中症の科学』(東京図書出版)などの著書があるほか、近著に『発達障害の原因はお産の現場にあった!』(ヒカルランド)がある。10年以上にわたって新生児ケアと発達障害との関係を訴えてきた医師だ。 その久保田医師は言う。 「まず、いちばん分かりやすいのは完全母乳哺育の問題点でしょう。母乳がすばらしい栄養素、免疫物質を持つことは事実です。しかし、赤ちゃんを産んだ後に母親から母乳が出るのは出産後平均して3日後です。その間、赤ちゃんに飲み物も食べ物も与えないとなると、赤ちゃんは飢えと渇きに苦しむことになる。その結果、赤ちゃんは低血糖に陥り、脳障害の原因となる黄疸が出る場合が多い。黄疸が赤ちゃんに出るのは普通のことという考えは誤りです」 さらに完全母乳哺育とともに世界保健機関(WHO)が国連児童基金(ユニセフ)が推奨するカンガルーケアについても久保田医師は批判する。カンガルーケアとは新生児を産湯にも保育器にも入れず、うつ伏せの姿勢で母親に預け、自力で母乳を吸い始めるよう促す。これによって完全母乳哺育の推進、母親と乳児の絆も深まるとされる。 しかし、久保田医師は「まだ母乳が出ない母親に新生児を預けてもいいことはない。そもそも日本の産室は医療従事者や患者に快適になるよう25度前後になるように設計されているが、胎内体温が38度だった新生児には寒すぎる。また、うつ伏せで母親に預けることによって新生児の窒息など出産直後の事故も起きやすい」とする。 そもそもカンガルーケアの発祥地は熱帯であるコロンビアの首都にあるサン・フアン・デディオス病院の医師が保育器不足と新生児の院内感染防止のために始めた「緊急措置」的な方法で、「途上国では利点があったが、保育器も十分にある日本のような先進国が採用する理由はなく、リスクの方が大きい」(久保田医師)という。 久保田産科麻酔科医院では、必ず新生児を保育器に入れ、生後まもなく、30CCほどの糖水を与えてきた。母乳は母親のお乳から十分出るようになってから、母親に抱かせて飲ませる。この結果、胎児は24時間以内に胎便を出し、黄疸症状が出る胎児はほとんどいなかったという。 現在、WHOやヌニセフが推進するカンガルーケアと完全母乳哺育など「母乳育児を成功させるための十カ条」を実施している日本国内の病院には「赤ちゃんにやさしい病院」(Baby Friendly Hospital)という称号が与えられ、プレートも院内に貼られている。日本国内には少なくともそういう病院が数十カ所ある。 この久保田医師の問題提起にこれら「赤ちゃんにやさしい病院」はどう答えるか。 日本赤十字医療センター(東京都渋谷区)は総務部が「当センター内で検討を行いましたが、医師の診療業務が多忙であり対応が難しい」として返答を見送るとした。 横浜市立大学付属病院(横浜市)からは総務課を通じ「慎重に院内で検討を重ねましたが、誠に恐縮ながら、今回の取材には応じかねることとなりました」との返答を受けた。 カンガルーケアと完全母乳哺育は、1990年代以降、WHOとともに日本の厚労省も推進してきたと久保田医師は証言しているが、この問題を担当する子ども家庭庁(2023年に厚労省から分離)は「厚労省時代を含めて国として推進してきた事実はない」としている。 日本産婦人科学会にも聞いたが、久保田医師の見解に対する期日までの返答はなかった。 昔の日本には産湯と乳母という仕組みがあった。冷暖房が不十分だった時代の産科では、産湯を沸かすことで産室内をあたため、母親の体外の寒さに震える新生児を温めてきた。また、出産直後、まだ乳の出ない母親に代わって、富裕層なら専属の乳母、庶民でも乳児を持つ近所の女性に乳を借りることができた。しかし、現在の日本社会では、そういうことはほぼ不可能になっている。 久保田医師への反論としては、「赤ちゃんは3日分の弁当(皮下脂肪・肝グリコーゲン)と水筒(細胞外液)を持って生まれてくる」として、出生直後に飢えや渇きに襲われることはないとの指摘がある。日本の新生児医療・母乳育児推進に尽力した山内逸郎小児科医が講演や院内指導で用いた比喩が長年にわたって産婦人科医や助産師の間で広まってきた。しかし、久保田医師は「根拠のない俗説で、出生後の乳児の体重減は5%までしか許容してはならないが、実際は、この俗説ゆえに15%まで容認している医療機関も多いことが大きな問題だ」としている。 いずれにせよ、久保田医師の問題提起を産科の臨床医は受け止めた上で、新生児にとって最善な環境を再検討すべきではないか。現在の新生児管理法の歴史はまだ浅く、産湯や乳母が管理していた長い人類の歴史に学ぶべきものもあるのではないか。 発達障害児の治療に当たる側の医師の意見はどうか。 ストレスケア日比谷クリニック(千代田区有楽町)院長で、多くの発達障害児の治療をしてきた精神科の酒井和夫医師は「発達障害の原因としては、遺伝、農薬など環境要因などが検討されてきたが、久保田医師の指摘が最も説得力があるように感じる」と話している。酒井医師も発達障害は「個性の一つ」という見解を認めつつ、「生涯にわたって『生きづらさ』を抱える例が多い」と話す。さらに「私の患者の中には保育士、小学校教諭など発達障害、特に注意欠陥・多動症(ADHD)児の扱いに悩み、精神的に病んだ患者も多く来る。ニュースでは『保育士による幼児虐待』として報じられるような事件も私には別の視点の問題を提起しているようにも思える。ADHDの子どもが1組、1クラスに複数いると、保育士や教師の負担は大変なことになるからだ」と話す。 酒井医師は発達障害にはアルツハイマーにも有効とされているフェルラ酸(米ぬかの主成分)が有効かつ副作用がないとして患者に処方しているが「今後は患者の母子手帳をチェックするなど、発達障害の原因についての研究も進めていきたい」と語っている。
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東京都内で講演する久保田史郎医師


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