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2025年12月23日10時00分掲載
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欧州
2026年の予算案・・・未来が見えないとストライキ~ チャオ!イタリア通信(サトウノリコ)
今、イタリアでは来年の国予算案が議論されています。予算案の信任投票は12月30日に行われるため、連日各党の動きが報道されています。先日12日には、この予算案に対する全国ストライキが行われました。
ストライキの主な焦点は、軍事費にかける予算を公的医療費や教育費、年金に回してほしいというものでした。予算案では、2026年の軍事費は340億ユーロ(約6兆円)になります。2025年と比べると、10億ユーロ(約1800億円)増えています。この予算は純粋に軍隊のみに当てられるもので、その他軍事関係に当たる資金は計上されてないため、軍関係の予算はさらに増えるでしょう。イタリアは、過去10年間で軍事費が45%増えており、新型兵器への支出は2022年と比べると60%増となっています。
メローニ政権は、2035年までに軍事費のGDP比5%を目指すと宣言しています。これはNATOの目標であり、他国と足踏みを揃えるためでもありますが、また、国内の防衛産業、テクノロジー産業を発展させるということも見越しています。つまり、軍事関連の工業や産業には資金を支出するが、それ以外の産業はなおざりにされるということ。
それは、森林、環境、農作物保護、メイド・イン・イタリー保護のための国家警察への支出が、5億3000万ユーロ削減されるということでも明らかです。イタリア市民の生活を支える産業がなおざりにされているのは明らかです。
このデモに先駆け、学校関係の労働組合も2026年の予算案に修正を求める書簡を政府に送りました。組合は、予算案では2026年から2027年にかけ、教員ポスト6000人、学校職員2000人の削減を想定していると強調しています。さらに、学校職員の年収は2万9000ユーロで、公務員の中で一番低い賃金と訴えています。
ちなみに、イタリア人の平均年収が3万1000ユーロから3万8000ユーロなので、学校の先生のお給料は、国にとっても大切な仕事という意味では低く重要視されていないようです。
イタリアにいる日本人のママ友の間では、中学校では先生が足りないということがよく話されます。9月半ばに新学年が始まりますが、10月になっても先生が決まってなくて、まだ来ないというようなことです。人員不足なんでしょうか。
今回の予算案では、医療費の対GDP比は、2026年6,1%、2027年6%、2028年5,9%にするとなっています。民間クリニックも含む、入院ケアについては、2025年10億ユーロ、2027年からは13億5000万ユーロという予算を組んでいます。民間クリニックには資金を提供し、公的機関には資金を減らすということが明らかです。近年の民間医療事業者の年間総売上高は、700億ユーロ以上となっています。(メディアバンカ研究所の報告)
これは、公的医療機関がうまく機能していないため、料金の高い民間医療機関を使ってしまうという状況があるからです。
例えば、我が家でも子どもがスポーツクラブに通うとなると、身体検査をして健康であることを証明する書類が必要になります。公的機関でその検査をするとなると、2カ月3カ月も待たなくてはいけません。一方、民間機関だと料金は倍になりますが、1週間で検査、結果を出してくれるという訳です。すべての検査について、同じことが言えます。イタリアでは、検査をするには、自分で電話をして予約を取るところから始まります。
ただ、こうした状況は医療に市場メカニズムが入り、皆平等に治療を受けられるというシステムが崩れてしまいます。
最後に年金については、2027年から年金受取年齢が67歳1カ月からになり、2028年からは67歳2カ月からになると、年金受給年齢の先延ばしを想定しています。
メローニ政権は、最低年金の引き上げを行うとしていますが、前年に4ユーロの増額、2025年には8ユーロの増額をしていおり、そのまま12ユーロの増額をするとしています。また、年金受給者の中でも生活困窮者に対しては、70歳以上に限り月額20ユーロを支給するとしています。ただ、毎年のように物価が上がっている現在、この金額は何もないよりはいいですけど、「スズメの涙」という感じです。
私の子どもたちの学校からの連絡で、よくストライキの連絡があります。9月半ばに学校が始まり、5回ありました。月に1回以上ある計算になりますが、こうした状況を考えると、ストライキをするのも理解できます。
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