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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2009年08月30日13時09分掲載
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文化
これでギリシアはもう恐くない! <独断による古代ギリシア読書の旅 最短1週間> 村上良太
今回は映画と読書でめぐる、「古代ギリシア1週間の旅」です。不況で旅行に行けないとお嘆きの方にもお薦めです。
<金曜日〜土曜日>
古代ギリシアのトロイ戦争を扱った映画に「トロイ」(2004)があります。監督はドイツ出身で「Uボート」で知られるウォルフガング・ペーターゼンです。懸命に頑張っても最後は全滅、という壮大な悲劇が大好きな監督です。映画ではブラッド・ピットが主人公でギリシアの英雄アキレスを演じています。 トロイ(現在のトルコに位置する)の王子パリスが美貌にひかれてスパルタ(ペロポネソス半島南部に位置する)王の后ヘレネを奪ったことがきっかけで、ギリシアの連合軍団がトロイに攻め込みます。戦いは10年におよびます。しかし、知将オデュッセウスの木馬作戦が功を奏して、ついにトロイ陥落。アキレスら英雄たちは次々と命を落とします。 「トロイ」を見るとトロイ戦争に材をとったホメロス作「イリアス」の大筋がわかります。映画は人間のドラマですが、ホメロスの原作では神々の思惑が描かれていて、人間と神々とのドラマになっています。中心の神はアポロンです。 映画を見ておくと、「イリアス」も早く読めます。
<日曜日〜月曜日>
「イリアス」の後の物語がホメロス作「オデュッセイア」です。知将オデュッセウスはトロイ戦争後、祖国に帰ろうと船出したものの、海の神ポセイドンの恨みを買い、島に幽閉され10年を過ごしてしまいます。トロイ戦争に出陣してから通算20年です。ようやく、神々の許しを得て、帰郷の旅にかかりますが、さらにいろいろな障害が待ち受けています。 海から聞こえてくるセイレンの歌声もそのひとつ。歌に聞きほれたものはみな海に飛び込んで死んでしまうという恐ろしいものです。歌姫の下、海底は骸骨だらけ。 でも知将は考えました、死なずに歌声を聞く方法を。オデュッセウスは船員には耳栓をさせ、自分は柱に縛ってもらって聞きながら帰ります。 帰郷すると昔知将に使えていた忠犬アルゴスがすっかり年老い、糞尿の山の中で動くこともできず蚤にたかられ死にかけています。乞食に変装して帰国した主人を忠犬は見逃さず、嬉しげに尾を振り、絶命します。妻の周りには様々な求婚者がたむろしていますが、知将は息子とともに彼らを皆殺しにします。
<火曜日〜水曜日>
トロイ戦争にまつわるギリシア悲劇は多数あります。 英国のロイヤルシェイクスピア劇団創設メンバーで演出家のジョン・バートンは翻訳家のケネス・カヴァンダーとこれらの悲劇10本を時系列に組み立て、1本にまとめました。タイトルはずばり「グリークス」です。ホメロス、エウリピデス、アイスキュロス、ソフォクレスの悲劇10話で構成され、全上演時間は9〜10時間に及ぶ大作です。 しかし、各話は現代人のテンポに合わせて枝葉を刈り込んだため読みやすく、ドラマも濃厚です。ジョン・バートンはシェイクスピアを現代に蘇えらせた演出家で、その力量はギリシア悲劇においても見事に生かされました。ギリシア悲劇の傑作をまとめて10本頭に入れられるお値打ち戯曲です!
<木曜日>
特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼンによる映画「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)はギリシア神話を映画化したものです。古代テッサリアの王子イアソン率いる探検隊が「黄金の羊毛」を手に入れるために船で世界の果てまで冒険をします。黄金の羊毛を手に入れたら国が平和になり栄えるのです。 しかし、青銅の巨人や怪鳥ハーピー、骸骨剣士などが次々と探検隊を苦しめます。ゼウスやヘルメス、ヘラなど、ギリシアの神々が探検隊を天から見降ろしています。CGではなく、コマ撮影による特撮のため、味わい深く遊び心にあふれた傑作です。時間が余れば、トマス・ブルフィンチ作「ギリシア・ローマ神話」です。
こうして、古代ギリシア1週間の旅が終わります。
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