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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2010年07月01日13時34分掲載
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アジア
【イサーンの村から】(1)カオデーン農園の日々 楽しいこともうんざりすることも 森本薫子
タイに住んで10年ほどになる。ここ、東北タイのムクダハン県の農村で農園暮らしを始めたのは約3年前からだ。農業や田舎暮らしになんてこれっぽっちも興味のなかった私が、なんでよりによってここまでド田舎で生活することになったのか。もちろん、東北タイの農民出身の男性と知り合い結婚して住むことになったのがきっかでだが、「イサーン(東北タイ)の農村で生きていこう!」と一大決心をした覚えもなく、気づいたらそういう流れになっていた。
◆NGOから農民に
10年前、私は(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)という日本のNGOが主催する「タイの農村で学ぶインターンシップ」というプログラムの第二期研修生として、北部チェンマイにあるタイの有機農業普及NGOにお世話になりながら、1年間タイの仲間たちと過ごした。国際協力といえば、農村開発というよりもむしろ緊急救援や人道支援というイメージを持っていた私は、このプログラム参加によってくるりと別方向を向かせられ、「農」の世界にぷすぷすと足を踏み込むことになったのだ。本当にこのプログラムって、人の人生を狂わす・・いやいや、人の目を覚まさせるわ…と何度思ったことか。 研修修了後、ちょうど募集がありJVCに就職することになった。当時バンコク郊外にあった自然農業研修センターに滞在しながら、バンコク市内のスラム住民支援と、今度は自分が「タイの農村で学ぶインターンシップ」のお世話役(コーディネーター)という立場でタイ駐在員となった。後半は、東北タイのコンケン県に移り、有機農産物直売市場のプロジェクトにも携わり、様々な経験をさせてもらったところでJVCを退職。その後は、ムクダハン県で農園暮らしをしつつ、JVCの研修生やスタディツアーの受け入れなどを行っている。
これまで、北部のチェンマイ、中部のバンコク郊外、東北部のコンケン県とムクダハン県と移り住んできたが、タイの農村といっても、気候も、方言も、食べ物の嗜好も、人の雰囲気も、その土地の栽培作物も違う。イサーンと呼ばれる東北タイは、雨季に入り始めの雨を待って、田んぼに水がはったら田植えを始めるという天水田の稲作が中心の土地だが、他の地域と比べ降水量が少なく不安定なため農業条件は厳しい。私が住むムクダハン県のこの周辺は、お米を中心とし、とキャッサバ、サトウキビ、ゴムの木といったいわゆる換金作物を広範囲にわたって栽培している農村である。 村内は、牛飼いの人に連れられた牛や水牛がゆっくりと列をなしている風景が見られる。イサーンの農村を訪れる日本人には、日本の昔の農村風景に似ていると目を細めて懐かしがる人も多い。私はそんな昔は知らないけれど。
◆米、果樹、野菜、水牛、豚、鶏、アヒル、魚、カエル
うちではいわゆる有機農業を行っている。広さは約3.5ヘクタール。と説明してもほとんどの人は、「それってどのくらいの広さ??」と首をかしげる。ゼネコンで働いていた友人がいうには「1500台の車がおける平面駐車場付きの郊外型ジャスコが建てられるくらいの広さ」らしい。よくわかったようなわからないような。日本人の感覚からしたらかなり広い土地だがイサーンでは平均的。決して広いわけではない。
うちは、水田1ヘクタール、そのほかは、果樹園、野菜畑、池、家畜小屋、チーク林などが土地を占める。家畜は、水牛、豚、鶏、あひる、魚、食用ガエルを飼っている。番犬として犬が3匹いたが、そのうちの去年もらってきた1匹があまりにヒヨコを食べてしまうので、隣の敷地に住む親戚の叔父さんに「そっちで飼って!」と預けたら、いつのまにか、叔父さんたちに食べられてしまった・・・。 一般的ではないがイサーン人は犬も食べる。イサーンのサコンナコン県というところでは、満月に黒犬を食べる習慣があるらしく、市場でも犬肉を売っていると聞くが。というわけで、犬は2匹。他、家の中には、ネズミ、ヤモリ、トゥッケーが頻繁に登場する。でてくるのはいいけど、そこら中に糞をするのはやめてっ!と切に思う毎日だ。
農園の名前は「カオデーン農園」という。「カオ」というのは、私の名前のカオルから来ている。タイ滞在1年目、チェンマイに住んでいる頃、タイ人の友人たちが私につけたニックネームが「カーオ」で、夫のニックネームが「デーン」なので、「カオデーン」。単純にくっつけただけだが、これは「赤い(デーン)・お米(カーオ)」つまり「赤飯」という非常にめでたい意味なのだ(タイ語は形容詞が名詞の後にくるのでカオデーン)。 私がタイに住み始める前の会社員時代、カーオはタイ語で「米、ご飯」という意味だと聞いたとき、ださっ!と思ったことがあった。それがタイ滞在1年目にして、「米、ご飯」?なんて素晴らしい意味なんだ!と思うようになったのは、JVCインターンの研修の成果だろうか。
今は、夫と生後11ヶ月になる息子と暮らしている。興奮するほど楽しくなるこことも、うんざりするほどいやなことも満載の生活である。
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転載について
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東北タイ・ポン市で農民が運営する有機農産物市場づくりも手伝った





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