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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年01月04日11時01分掲載
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欧州
フランスからの手紙24 「現代の黙示録?」 Apocalypse now ? パスカル・バレジカ
2011年は地球全体が恐ろしい事態に見舞われた。まず経済危機が先進国とそれ以外の国々を席巻した。(ギリシアは決して先進国ではない)。そして福島の原発事故。また「アラブの春」はチュニジアでもリビアでもイスラム主義者の勝利で終わった。NATO軍がリビアに持ち込んだ大量の最新かつ強力な兵器はAQMI(北アフリカのアルカイダ系組織、アキムとも呼ばれる)が手に入れ、サハラに持ち込まれた。アフガニスタンとイラクの後、次の戦争がサハラで始まる危険がある・・・
2012年はどのような年になるだろうか。欧州ではすでに悪いスタートを切った。1月1日、ハンガリーが憲法を改正したのだ。世界がハンガリーに対してまったく無関心だった最中の事態である。ハンガリーはもはや共和国とは言えない。権威主義的かつ国粋主義的な国になったのだ。今、ハンガリーではキリスト教が再び政治にも強い影響力を持とうとしている。たとえば中絶を禁止する法制度なども導入されそうだ。これは1930年代に欧州を席巻したファッショ体制に向う、欧州政治の退潮の兆しとも見ることができる。
それにしても共産主義の崩壊から20年以上の歳月が流れたのである。あの時、新たな平和の時代が始まり、人々の交流と協同が始まると思われた。昨年12月18日に逝去したバツラフ・ハベルは新しい欧州の希望だった。鉄のカーテンは消え、欧州の人々は西から東まで自由に行きかうことができるようになった。そのとき、欧州連合は解放されたばかりのかつて共産圏だった国々を迎えてもっとたくましくなり、広大な繁栄の領域を作り出せるものと思われた。しかし、実際には繁栄したのは大企業と国々にまたがって稼働する大銀行だけだったのだ。
冷戦終結の時に抱いた希望は死んでしまった。欧州は1つにならない。欧州連邦国家は決して実現しないだろう。もう遅い。今地球を支配しているのは市場なのだ。2年前から私は狭いナショナリズムを越えた「欧州人である」と自分を感じているとここで述べてきた。しかしながら、欧州が存在しないのであれば、これからも私は欧州人と感じ続けることができるだろうか。
富の不公平はますます拡大している。もっとも富を持つ者は大企業の経営者、世界各地でますます力を増すマフィア組織の幹部、たとえ表の経済であろうと裏の経済であろうと経済界の支配者にのみ目を向ける腐敗した政治家らである。一方の一番の貧困層はと言えば「共産主義の時代」によく言われたような「労働者」ではなく、男であれ女であれ仕事を失った人々なのである。先進国ではますます仕事がなくなっている。これらの人々は「二級市民」になりつつある。欧州各地に乞食が増えている。繁栄の時代はすでに終わったのだ。
先進諸国で仕事がなくなる理由は経済界の指導者が国内産業をつぶし、労賃の安い途上国に工場を移転するからである。空洞化した分に比例して失業者は増加する。今、経済界がとくに目を向ける地域はアフリカである。人口は増加しているし、政治家たちの多くははなはだ腐敗しているからだ...
それではこうした経済とは違ったあり方はないのか、とオルタナティブに目を向けてみよう。あるのはロシアと中国のような粗野か、あるいはマフィアが牛耳るような資本主義経済体制であり、片やイスラム教が支配する中世的な経済体制である。それ以外にないのか?
ここで触れておきたいのはステファン・エセル(Stephane Hessel)が2010年に出版した本「Indignez vous !(怒りなさい!)」の中でまさしく「怒りなさい」と訴えていることだ。エセルは94歳になる品格のある人物で、第二次大戦中はナチに対するレジスタンス活動を行い、強制収容所から生還した。エセルは1948年に「世界人権宣言」を世に出した執筆者の一人である。彼は2010年に出したこの本の中で、第二次大戦後に導入された人間の暮らしを守るための社会制度が根こそぎ、フランスでは特にそうだが、世界中で解体されてしまったと指摘している。
過去何カ月も、特にスペインやギリシアのような欧州南部に位置する国々で怒った人々が町に集結した。しかし、意識の変革を期待できるだろうか。社会の一大変革が起きうるだろうか?我々にはまだその力があるのだろうか?
誰も2012年に何が起きるのか予想することはできない。漠然と感じられることは「機械」を次第にコントロールできなくなりつつあり、地球は操縦士のいない宇宙船のようにものすごい速度で突き進んでいることだ。我々はサイエンスフィクションの世界に生きている。だが、リモコンで別の世界に移動することはできない。悪夢から抜け出すためにこの映画を止める手立てを誰も持ち合わせていないのだ。
■2011年にエセルは「外交」(Foreign Policy)誌から「フランスの対ナチ・レジスタンス精神を今や魂を失いつつあるグローバル世界に再び持ち込んだ」と、世界の重要な思想家にリストアップされた。(エセルのこの情報についてはウィキペディアを参照した)
寄稿 : パスカル・バレジカ(Pascal Varejka) メールアドレス(言語は英仏伊) pascal.varejka@gmail.com 翻訳 : 村上良太
■Stephane Hessel著「Indignez-vous!」(英訳のタイトルは「Time for Outrage(怒るとき)」)
http://www.amazon.co.jp/Indignez-Vous-Stephane-Hessel/dp/291193976X ウィキペディアによれば初版わずか6000部だったこの冊子は瞬く間に世界で翻訳され、350万部が売れた。 エセルはまたパレスチナ問題でもパレスチナ難民の立場に立ち、シオニズムに批判的な発言をしているようである。 ウィキペディアによればエセルはドイツ系ユダヤ人の作家フランツ・エセルの息子としてベルリンに1917年に生まれ、1924年にパリに移住した。余談ながら、彼の両親はフランソワ・トリュフォーが監督したヌーヴェル・ヴァーグの傑作「突然炎のごとく(原題「ジュールとジム」)」のモデルだったそうである。
■「デモクラシーナウ!」(2011年10月10日)にステファン・エセルが登場している。「ウォール街を占拠せよ」や「アラブの春」など、2011年の市民運動に影響を与えた人物がエセルと考えられているようだ。
http://www.democracynow.org/blog/2011/10/10/stphane_hessel_on_occupy_wall_street_find_the_time_for_outrage_when_your_values_are_not_respected ■「ハンガリーで新憲法反対の大規模デモ」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/30005152.html また、以下は日本の外務省のウェブサイト情報である。元旦に新憲法に移行したハンガリーだが、昨年4月に新憲法が国会で採択されており、元旦に施行されたことのようである。現政権(首相はフィデス党のオルバーン・ヴィクトル氏)は2010年4月の総選挙で大勝した右派の連立政党(フィデスとキリスト教民主国民党)が占めているが、この選挙では極右政党の躍進も注目を集めることになった。
「(4)2010年4月、総選挙で右派のフィデスとキリスト教民主国民党が圧勝し、8年間に亘った社会党政権に終止符が打たれた。また、深刻な経済危機と社会不安を背景に、貧困層や地方住民の支持を得た極右政党ヨッビクが躍進し、社会党に次ぐ勢力となった。国会総議席の3分の2以上を単独で有するフィデス政権によって、国会議員定数の削減、地方議員定数の削減、国境外ハンガリー系住民への二重国籍付与、憲法裁判所の権限縮小、新メディア法等の重要法案が可決された。
(5)2011年4月、「ハンガリー共和国」から「ハンガリー」への国名変更を含むハンガリー基本法(新憲法)が国会で可決された(2012年1月1日発効予定)。現在、国会は新憲法によって制定が必要とされる重要法案(3分の2以上の賛成が必要とされる32の法案、国会議員選挙法、地方自治体法、教育法等)を審議している。」
■ハンガリーで極右政党が台頭 金融危機を背景に第三位の政党に
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201006040127515
以下は元のテクスト
■Apocalypse now ?
L’année 2011 a été horrible sur toute la planète. La crise économique qui frappe tous les pays développés et même d’autres (parce que la Grèce, au fond, n’a jamais vraiment été un pays développé). Fukushima. Le ’ printemps arabe ’ qui s’achève tragiquement avec le triomphe des islamistes en Tunisie et en Libye. Des quantités d’armes très modernes et très performantes qui ont été récupérées par l’AQMI au Sahara après l’intervention de l’OTAN en Libye – après l’Afghanistan et l’Irak, la prochaine guerre sans fin risque d’avoir lieu au Sahara…
Que nous annonce 2012 ? L’année a déjà mal commencé en Europe. Dès le 2 janvier, la Hongrie a changé de constitution. Dans une indifférence assez générale. La Hongrie n’est plus une République, c’est un État autoritaire et nationaliste où la religion va retrouver une forte influence -qui va entraîner, par exemple, l’interdiction de l’avortement. C’est une sorte de retour en arrière, vers les régimes fascistes qui ont fleuri en Europe dans les années 1930.
Et pourtant, il y a un peu plus de 20 ans, la chute du communisme semblait annoncer une ère nouvelle de paix, d’ouverture et de collaboration entre les peuples. Vaclav Havel, qui est mort le 18 décembre dernier, était un symbole de ce nouvel espoir en Europe. Le rideau de fer disparaissait, les Européens allaient enfin pouvoir circuler sans entrave de l’est à l’ouest. On pouvait espérer que l’Union Européenne, en accueillant les ex-pays communistes qui venaient de se libérer, allait se renforcer qu’ainsi allait naître une vaste zone de prospérité. En fait, seules les grandes entreprises et les grandes banques multinationales se sont développées.
Cet espoir est mort. L’Europe ne s’unira pas. Il n’y aura jamais d’États-Unis d’Europe. C’est trop tard. Maintenant, ce sont les marchés qui dominent la planète. Il y a deux ans, je disais que je me sentais ’Européens’, au-delà des nationalismes étroits. Mais si l’Europe n’existe pas, peut-on encore se sentir Européen ?
Les inégalités sont de plus en plus marquées entre les plus riches - les dirigeants des grandes entreprises, les chefs des organismes mafieux de plus en plus puissants sur toute la planète, les hommes politiques corrompus au service des véritables puissants qui dirigent l’économie, qu’elle soit officielle ou souterraine - et les plus pauvres, c’est-à-dire souvent, non pas les ’ travailleurs ’, comme on disait ’du temps du communisme ’, mais des hommes et des femmes qui ont perdu leur travail -car il y a de moins en moins de travail dans les anciens pays développés – et qui deviennent des ’citoyens de seconde zone ’. Il y a de plus en plus de mendiants dans les villes d’Europe. L’ère de la prospérité est bien terminée.
Le travail manquera bientôt autant dans les anciens pays industrialisés dont les dirigeants économiques ont détruit l’industrie pour installer les usines dans les pays où la main d’œuvre est moins chère, que dans les pays qui restent en grande partie sous-développés, notamment en Afrique, parce que leur croissance démographique est trop forte et que la plupart de leurs dirigeants sont particulièrement corrompus…
Le monde n’a-t-il d’autre alternative que le choix entre le capitalisme sauvage et mafieux à la russe ou à la chinoise d’une part et le retour à un moyen âge dominé par la religion que propose l’islamisme ? ’Indignez-vous ’, propose dans un livre publié en 2010, Stéphane Hessel, un vieux monsieur très digne de 93 ans* - il a été résistant durant la seconde guerre mondiale, il a réchappé aux camps de concentration nazis, il a été l’un des rédacteurs de la Déclaration universelle des Droits de l’Homme en 1948. Il constate dans son livre que toutes les structures de protection sociales mises en place après la guerre, en particulier dans un pays comme la France, ont été démantelées. Et que les plus faibles ne bénéficient plus d’aucune protection.
Depuis des mois, surtout dans les pays du Sud de l’Europe comme l’Espagne et la Grèce, des groupes d’indignés se regroupent sur les places des grandes villes. Mais peut-on espérer un réveil généralisé des consciences ? Une sorte de sursaut révolutionnaire ? Avons-nous encore assez d’énergie ?
Personne ne peut prévoir ce que nous réserve 2012. On a vaguement l’impression que plus personne ne dirige la ’machine ’, et que la terre fonce comme un véhicule spatial sans pilote. Nous sommes en pleine science fiction. Mais nous ne pouvons pas zapper. Il n’y a aucun moyen d’arrêter le film pour sortir du cauchemar.
* In 2011, Hessel was named by Foreign Policy magazine to its list of top global thinkers "[f]or bringing the spirit of the French Resistance to a global society that has lost its heart."
Pacal Varejka
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転載について
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パスカル・バレジカ氏 ジャーナリスト。またパリやプラハの都市史を多数執筆。「図像で見るパリの歴史」「中世のパリ」「欧州の奇妙な象」、ガイドブック「パリ」など。イタリア語の芸術本、歴史書、ガイドブックなどを仏訳する翻訳家でもある。
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