カリフォルニア大学の研究チームは4月10日、バイエルがシバントの商品名で販売している殺虫剤フルピラジフロンとトリアゾール系殺菌剤を併用した場合、ミツバチに有害であるとする研究結果を専門誌に発表した。EUは昨年12月、イミダクロプリドとチアメトキサム、クロチアニジンの3種類のネオニコチノイド系農薬について、ミツバチなどに有害であるとして屋外使用を禁止したが、フルピラジフロンはスルホキサフロルとともに、ミツバチになどには「安全」で禁止ネオニコ剤の代替品とされていた。(有機農業ニュースクリップ)
インデペンデント紙(電子版)によれば、バイエルの広報は、「シバントは指示通り使用すればミツバチなどのコロニーを危険にさらすことなく作物を害虫から保護する効果がある」としているという。またカリフォルニア大学の研究が指摘している殺菌剤との併用による毒性の増加について「よく知られてことで、このような影響を防ぐためにフルピラジフロンとアゾール系殺菌剤の併用を制限している」と述べたという。
・Proceedings of the Royal Society B, 2019-4-10 Lethal and sublethal synergistic effects of a new systemic pesticide, flupyradifurone (SivantoR), on honeybees https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.0433
・Independent, 2019-4-10 New ‘safe’ pesticides to replace banned chemicals still hurt bees, scientists say https://www.independent.co.uk/environment/pesticides-bees-safe-ban-insects-pollination-sivanto-neonicotinoids-a8861981.html
フルピラジフロンと並んで従来のネオニコチノイド系農薬の代わりとなる、ミツバチなどには「安全」な農薬とされてきたスルホキサフロルについても昨年8月、マルハナバチの繁殖に有害であるとする研究がネーチャー誌に発表されている。
・Nature, 2018-8-15 Sulfoxaflor exposure reduces bumblebee reproductive success https://www.nature.com/articles/s41586-018-0430-6
・Royal Holloway University of London, 2018-8-14 New generation of pesticides can reduce bumblebee reproduction https://royalholloway.ac.uk/about-us/news/new-generation-of-pesticides-can-reduce-bumblebee-reproduction/
日本で農薬登録されているフルピラジフロンは2種類。2015年12月に登録されている。いずれも稲(箱育苗)用であり、イネドロオイムシ、イネミズゾウムシを適用病害虫としている。その出荷量は。国立環境研究所のデータでは2016年に476gとなっている。なお、2017年のデータは更新されていない。
【関連記事】 ・新ネオニコ系スルホキサフロル マルハナバチの繁殖に影響 http://organic-newsclip.info/log/2018/18080965-1.html
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