COP26で、温暖化の人為説(2酸化炭素排出の増大)が、京都・パリ協定以来だが、ある筋から完全に押し付けられてしまった。宗教的信仰に近い。それに対処するために、各国の経済政策が、脱炭素実現に向けて混乱に陥っている。現気候変動の人為説は、科学的には,非常に疑問点が多いのだが、そうした疑念は、押さえつけられている。なお,気候変動についてのデータや科学的根拠などに関しては、筆者の気候変動と原発についての考察(注1)を参照されたい。 2酸化炭素排出が最も問題視された自動車が、各国で電気自動車化する動きが盛んになり、数年後には,主要な交通手段になるようである。航空機も電化する努力がなされている。現在必要とされている電気量の上に、これら(自動車,航空機その他)に要する電気量は,膨大なものとなり、その電力をどう確保するか。原理的には、再生可能エネルギー源依存・そのための拡大になるが、それでは足りないと、原子力発電を増大する動きが出て来る可能性が大である。現日本政府は,そう信じているようだし,フランスを初めとするヨーロッパ勢も、原発を気候変動対策の一環として残すばかりでなく、新型の原発を含めて、増やそうとする向きもあるようで、非常に危険な状態である(注2)。 このヨーロッパの動きは、経済界が、気候変動の動きに対応し、いかに財政的に自己を維持しよう(自己の持続可能な状態)かという問題を、タクソノミーなる学術的な装いで、検討しているものである。この背景は、人びとの生活への関心ではなく、財政・経済を握る人達(タクソノミーを検討している自分達)の利益のみである。そしてこの案が,ヨーロッパ議会で承認されると、経済を掌握することになる。 さて、こうした気候変動対応の動きが、なにかに縛られたように進展している理由はなにであろうか。現在では,気候変動と一般化された言語で表現されているが、最初は、地球温暖化という表現でその危機が煽られていた。それが、北極・南極の氷を溶かし、海水面を上昇させる、低地は海に沈んでしまう、山火事を頻繁に起こすなど、危険極まりない地球になりつつある。なんとかしなければ,子ども達や若い世代の未来がなくなるぞ、とスウェーデンの少女が騒ぎ回って、子ども達を恐怖に陥れた。その温暖化が,主として人間の排出する2酸化炭素によると、この雰囲気に動かされた研究者達が主張している。スウェーデンの少女を動かし、世界中のマスコミを通じて、人びと、特に若者達に恐怖を植え付けた少数者がいて(注3)、そういう人達が,脱炭素を掲げて、経済改革をやろうとしているようである。 なお,再生可能エネルギー製造にも、様々な物質が必要とされ、一度造れば、完全にそのまま持続可能なのではなく、何年毎にかは,立て直さなければならず、その物質量,廃棄量、環境への影響なども充分に考慮しなければならない。 こうして見てくると、人類の問題は、気候変動への集中配慮ではなく、エネルギーや物質の大量消費を必要とする現在の生き方を改める方向への考慮、すなわち持続可能な方向(全地球レベル,全人類レベルでの持続可能性)へ、全ての人が考える雰囲気、そしてその実現へ向けての経済・政治・社会改革を真剣に考慮することである(注4参照) 。しかし、そうした雰囲気は,政治・経済レベルでは、いっこうに見られない。2021 年にグラスゴー(スコットランド)で行われたCOP26でも同様で、ただ単に、脱炭素、脱炭素をどう経済的にごまかすか、しかも持続可能(と称される)な経済成長の必要性などのかけ声だけ。各国は迫られて,2030年までには、2酸化炭素排出を50%削減しますなどと表明することのみ。 2酸化炭素そのものは、地球上のあらゆる生物に必須のものなのである。炭素は、生物を作る有機化合物の根本構成物である。我々は炭素を含む化合物で造られ、生きている。地球上の生物圏では、有機物を作り出すのは植物で、植物は2酸化炭素と水から有機物を作り,動物はその有機物を取り入れて、自分の体を作り、また代謝して、2酸化炭素と水に変換して,環境に戻す。代謝の過程でできるエネルギーで動物は生きていられるのである。というわけなので、脱炭素を実現したら、我々は生きられない。
(注1)「気候変動と原発」http://vsa9.blogspot.com/2020/08/blog-post.html (注2)https://mainichi.jp/articles/20220102/k00/00m/030/018000c;
https://www.ft.com/content/7872a05f-9e38-4740-9b1b-4efc69ca316c?shareType=nongift;
https://www.neimagazine.com/news/newseu-draft-taxonomy-includes-nuclear-and-gas-9360630 (注3)https://vigilantcitizen.com/latestnews/the-elite-machine-behind-greta-thunberg/ (注4)「病む現代文明を越えて持続可能な文明へ」(落合著、本の泉社、2013)
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