政府が10月31日に国会に提出した国立大学法人法改定案について、これに反対する大学関係者らが、廃案を求めて14日に都内で集会を開催した。本法案では、一定規模以上の国立大学内に外部の有識者などを想定した「運営方針会議」を設置し、大学の運営・研究・教育に関する方針や資源配分の在り方などに関して決定権限を与える。同会議を構成する委員の任命については、文部科学大臣の承認が必要になることから、立憲民主党の白石洋一衆院議員は、「大学の自治を侵し、日本学術会議のような事態になりかねない」と、大学への政治介入に繋がり得る法案に警鐘を鳴らした。
集会には、立憲野党の国会議員が多数参加。日本共産党の宮本岳衆院議員は、「政府は軍事研究を大学にさせたいという思いがある」と、指摘した。また、立憲民主党の吉田晴美衆院議員は、「日本の研究力が落ちているから、選択と集中をしてお金を入れ込んだということかもしれないが、本当に大事なことは基礎研究に予算を付けることである」と〝選択と集中″の理論を学問分野に強要する政府の姿勢を問題視した。
大学に〝稼ぐ″ことを強要すれば、教育の場として欠かせない施設やサービスも、〝稼げないから″と削減され得る。主催団体である大学横断ネットの駒込武氏は、「京都大学の医療診療所が突如廃止され、学生が悲鳴を上げている。学生こそが大学のステークホルダーだ」と述べ、学生を無視した大学運営の在り方を疑問視した。また、同じく大学横断ネットの吉原ゆかり氏は、「この法案が通ることで、学費が上がることも心配される」と、〝稼ぐ″対象が学生にまで及ぶ可能性を示唆した。
同法案については、与党が15日の強行採決を狙っているということもあり、筑波大学学長選考を考える会顧問の指宿昭一弁護士は、「大学の自治に対する死刑宣告以外の何ものでもない」と述べ、「議会を傍聴することで圧力をかけてほしい」と呼びかけた。横断ネットが呼び掛ける同法案の廃案を求める署名は、現在2万筆を超えており、市民が同法案の在り方を問題視している状況が窺える。大学の自治は、教育・研究の根幹を成すもので、稼げるか稼げないかという論理を押し付ければ、自由な発想が失われ得る。十分な審議もされずに法案が成立するようなことが、決してあってはならない。
(オンライン署名)https://www.change.org/p/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE%E8%87%AA%E6%B2%BB-%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%88%91%E5%AE%A3%E5%91%8A%E3%82%92%E5%AE%B9%E8%AA%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93-%E7%A8%BC%E3%81%92%E3%82%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6-%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%A4%89%E8%B3%AA%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%94%BF%E7%AD%96%E3%82%92%E6%A0%B9%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AB%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E3%81%97-%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%B3%95%E4%BA%BA%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%94%B9%E6%AD%A3%E6%A1%88%E3%82%92%E5%BB%83%E6%A1%88%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%99?utm_medium=custom_url&utm_source=share_petition&recruited_by_id=0022d6c0-ba61-11ec-8780-13408fa70690
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