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2024年05月02日08時51分掲載
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欧州
日本で亡くなったイタリア人 ジャンルカ氏を悼む〜チャオ!イタリア通信(サトウノリコ)
2年前の11月にイタリア人、ジャンルカ・スタフィッシ氏が出入国在留管理庁の収容所で亡くなるという事件が起こりました。私はこのニュースをたまたま見ていたYOU TUBEのニュース番組(日本のニュース番組)で知りました。今回、ネットを調べてみると、このニュースは2年前ジャンルカ氏が亡くなった当時にネットで報道されていましたが、イタリアのテレビのニュース番組などでは取り上げられた記憶はありません。
ANSAや全国的な新聞「ラ・レプッブリカ」「イル・メッサッジェロ」や地方紙などの様々なメディアで取り上げられていましたが、取り上げ方はさまざまで、ただジャンルカ氏の死亡を報道する短い記事か、ジャンルカ氏がどのような方法で亡くなったかを説明する記事、またはなぜこのようなことが起こったのか、ジャンルカ氏が日本に来てからどういう生活をしていたかを簡単に説明する記事などでした。
その中でも「アべニーレ」と「イル・メッサッジェロ」の記事は、特徴的で対照的と言えるでしょう。「アベニーレ」は、日本の入国在留管理庁の不法滞在者に対する処遇について、批判的な記事を書いています。2017年以降収容所で18名の死亡者を出しており、そのうち7名が自殺(ジャンルカ氏を含む)と報道。また、パンデミックの時期に増加した「仮放免」の矛盾も指摘しています。さらに、アメリカのビデオメーカーの作品「牛久」を取り合げて、収容所内での非人間的な扱いも批判しています。ここまで、書いている記事は他に見られませんでした。他紙の記事はどちらかというと、こうなったのはジャンルカ氏の自己責任という印象を受けました。
「イル・メッサッジェロ」の記事は、ジャンルカ氏の生まれ故郷の町にまで取材をしている記事でした。短いながらも町の食材店やパン屋さんなど、昔からジャンルカ氏やその家族を知っている人たちのインタビューも載っていました。そこでは、ジャンルカ氏が昔から「変わった子」だったということを言っている人もいたり、ジャンルカ氏が日本に行く前、若いころにできた子どものことも書いてありました。さらに、高齢のお母さんが一人暮らしをしていて、ジャンルカ氏に送金していたということも。どこまで本当かはわかりませんが、「アベニーレ」の記事と違い、ジャンルカ氏の個人的な家庭的な内情を書くことによって、この事件の本質的な問題を隠しているという印象を受けました。 イタリア人は日本に対して興味、好意を持っている人が多いと感じますが、日本は「寿司」「アニメ」「ラーメン」だけの国ではないということを知ってほしいと思いました。人権という意識では、まだまだ問題のある国ですよね。
さて、話は変わりますが、5月1日から東京、大阪で始まる「イタリア映画祭2024」。そこで上映される映画「別の世界」(リッカルド・ミラー二監督)を、近所の映画館で鑑賞しました。10歳になる子どもとも一緒に見れる、楽しい映画です。簡単にストーリーを言うと、ローマで働いていた小学校の先生がアブルッゾ州の山の中の小学校の先生になるという、都会と田舎のギャップを描いた、ほのぼの映画です。
その田舎の小学校の生徒たちは実際にその村に住む子どもたち。子どもたちだけでなく、学校の先生やお巡りさん、子どもたちの親役などもすべて村の人や地元の演劇者という、素人たちが出演しています。でも、すごく自然でみな上手でしたよ。なんか、イタリアのネオリアリズム映画を継承しているのかなと、歴史的にこうした流れがまだまだ受け継がれていると感じました。そして、監督の演出力なんでしょうね、子どもたちが生き生きしているんです。
ラジオ番組で監督と主演の俳優がインタビューを受けてましたが、撮影をしている間に、何回も同じシーンを撮るのに泣き出した子がいたり、逃げ出した子がいたりと大変だったらしいです。でも、素人を使ったせいでしょうか、全体的に素朴な雰囲気があり、人物が自然の生活の中に溶け込んでいました。ぜひ、機会があったら見てください。
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