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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2025年06月22日13時29分掲載
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農と食
憤死する農業と農村 ステージは国際市場に
農の憤死が列島に広がっている。コメも畜産・酪農も果樹も野菜も価格の低下と生産の不安定化に四苦八苦している。消費現場を襲っているコメの不足と高騰も収まらない。そうした状況に便乗するように、コメをめぐる政策的立ち位置と思想が急速に変化している。(大野和興)
つい3ヶ月前までは、コメ不足と価格高騰として現れたコメ問題は国内矛盾であり、国内で解決する、あるいは解決出来るというという立場を自明の理として運動も政治も行政も動いていた。しかし今、現実に動き出しているのは、国内矛盾を国際市場に放り出し、そこに溶け込ませて見えないようにするという、典型的な新自由主義政策である。コメ問題解決のステージが一回転したと言ってよい。その結果、何が起こるのか。
WTO(世界貿易機関)発足に伴って食糧管理法が廃止され食料法に変わった1995年以降、日本のコメは市場経済に任されることになった。その結果、1990年代半ば頃までは60キロ・玄米で2万円から2万数千円だった生産者価格は2020年頃には1万数千円、その後のコロナによる外食需要の減退で1万円と半分ほどに下落した。
この間、コメは美味しさを求めて県間の激しい品種競争を展開してきた。その一方で価格破壊とさえいえる米価低落の中で営農が成り立たなくなったコメ作り農民の離農が続き、農民全体の高齢化とあいまって農業の生産力は急速に弱体化した。
その一方で離農したり引退した農民の土地を任され、大型法人経営がそれなりに増えた。しかしそれも2020年代に入り、米価低落と生産コスト増大の挟み撃ちにあって経営的に行き詰まり、各地で経営縮小する大型経営体が目立つようになっていた。規模拡大論者の中には、日本にもようやく稲作の上向発展の時代が来た、とはしゃぐ向きもあったが、早くも壁にぶつかっていたのだ。
そこに2024年夏、米不足と価格上昇という事態が襲った。それは稲作の生産構造、流通構造に蓄積した矛盾の爆発だった。30年に及ぶ市場経済の深化の中で、農林水産省は政策主体として機能不全に陥っていた。農水省に残っていたのはミニマム・アクセス米を通しての国境措置と、いざというときの(それには当然戦争も含む)安全保障としての備蓄米だけだった。
事態収拾の期待を背負って登場した小泉ジュニア農相は、そこに手を突っ込んだ。備蓄米はいまやほぼ底を尽き、ミニマム・アクセス米は前倒し輸入となった。ミニマム・アクセス米以外のコメ輸入に関して現在1キロ当たり341円の関税を課しているが、トランプ政権との関税交渉で早晩撤廃されるだろう。
石破政権はコメ輸出に関しても拡大の方針を打ち出している。2023年現在で4.5万トンだった輸出量を30年に約8倍の35万トンにすることを閣議決定し、国に農業食料政策の基本となる食料・農業・農村基本計画に明記した。日本のコメは美味しさでは定評があるが、国際商品としては高すぎる。35万トン輸出となると、隙間狙いのニッチ商品の枠を超えているから生産コストを大きく切り下げ、同時先方に関税を下げてもらよう働きかける必要がある。相手国に関税を下げてもらうには、当然こちらも関税を下げて、相手国に便宜を払う必要がある。これは、これまで日本がコメについてこうじていた国境措置を取り払い、丸裸で国際市場に参入することを意味する。
日本のコメ作りは際限のない価格競争に巻き込まれるか膨大な輸出補助金をつけるか。いずれにしてもコメは日本経済にとってお荷物以外の何者でもなくなる。生産者も消費者も2000円の備蓄米に目をそらされている間に、ここまで来てしまった。
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