下記のURLの動画を見てほしい。8月6日自衛隊宮古島駐屯地のトップ(司令)が自衛隊の訓練を批判する市民に向かって恫喝している場面だ。二人の女性に向かってものすごい権幕で「許可をとってこい、早く」と怒鳴っている。
これを沖縄の友人は、「かつての沖縄戦前と同じですね。最初は大人しかった軍人が横柄で乱暴に、そして残酷になっていった」と言う。
沖縄の離島の与那国島、宮古島、石垣島に自衛隊が駐屯を始めたのは2016年の与那国島が最初である。当初は沿岸警戒監視部隊として。隊員も100名足らずだった。いつの間にか2024年には420名に増え、いつの間にか敵基地能力を備えたミサイル基地になることが決まる。宮古島駐屯地も石垣島駐屯地も同様の変貌を遂げる。これを三上智恵さんは「庇を貸して母屋を取られる」と表現した。
三上智恵監督の映画「戦雲」では与那国島の伝統的なボートレース、ハーリーに自衛隊員が参加する場面がある。はじめ当初は地元の人たちはぎこちなく接していたが、優しくて生真面目な隊員に心を開いていく。そして隊員が参加するチームが優勝する。みんなで抱き合って喜ぶ。
石垣島では2023年、2024年と続けて石垣市民祭りのパレードに石垣駐屯地の隊員が隊列を組んで参加した。初年から隊員は迷彩服姿で背嚢を背負っていたし、2年目は「一撃必墜」「闘魂」の幟まで掲げていた。参加した隊員は「市民の皆さんの声援が嬉しかった。みんな笑顔で歓迎してくれました」とSNSに投稿する始末である。
そして自衛隊の態度が横柄になっていく。瓶のふたが外れた、とも底が抜けたとも言える。防衛ジャーナリストの半田滋さんは沖縄タイムスにコメントを寄せた。「防衛省・自衛隊の取材を30年以上続けているが、幹部自衛官が地域住民を恫喝する日が来るとは想像もしていなかった。その行為について、駐屯地側が「適切だった」と開き直るに至ってはあきれるしかない」
自衛隊教育の教範には市民活動、特に平和運動は国内の敵性勢力であるとの記述がある。敵性勢力の活動は「保全活動」としての「探知」、「無力化」の対象となる。
与那国島でハーリーに参加した隊員は情報保全隊だったかもしれない。それは分からないし、地元に溶け込みたいと思って志願したのかもしれない。しかしそのことと組織の体質を混同するべきではない。
私たちはそろそろ自衛隊の軍隊としての実態を知る必要がある。
【参考】 *「情報科運用(試行案)(平成30年) 敵の情報活動を無力化する分野を「保全」といい、 保全は、「探知活動」と「無力化活動」に大別される。探知活動を「我の保全対象への敵のその活動の兆候を発見・解明する活動」といい、「無力化活動」を「秘匿の強化等により敵の情報・謀略活動の無効化」、「敵部隊等の撃滅、施設・器材等の破壊」することをいう。
*海上自衛隊の「情報課程」(2006年度)テキスト 敵とはなにか。敵国の軍隊を含む「外国勢力」と「国内勢力」であり、国内勢力とは「部隊所在地周辺及び行動が予想される地域において、我が使命の達成を阻害し、またはその恐れのある中核となる勢力及びこれに同調する勢力」と定義づけられている。
*自衛隊教務運営指針 「各種運動及び大衆活動等の裏に隠された本音について理解させる」
*沖縄タイムス2022年10月31日 「陸上自衛隊が2020年2月に実施した記者向け勉強会で配布した資料に、「予想される新たな戦いの様相」として、テロやサイバー攻撃と共に「反戦デモ」を例示していたことが分かった。」(記事サイトはコメント欄に貼り付けます)
*土地規制法:基地周辺の市民監視と処罰のための法律 (基地等の重要施設の施設機能を)阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときは、(中略)当該土地等の利用者に対し、当該土地等を当該行為の用に供しないことその他必要な措置をとるべき旨を勧告」「勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該者に対し、当該措置をとるべきことを命ずる」 (第九条)
「第九条第二項の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(第二十五条)
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-4528450.html?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR6U3vfShk-Siu_0nSwGwB6Ya8Ho7M2mFCIaqq2zhT_LoXy99t_mpJvWhiMCDA_aem_EjHxnEzchb6rAmXBLOGDLQ#
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