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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2026年08月10日13時24分掲載
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アジア
日本のミャンマー外交の失敗(1)カンボジアの教訓を生かせず
ミャンマー国軍司令官から「民政移管」で大統領となったミンアウンフラインが今月6日にタイ政府の招きで「公式訪問」した。インド、中国、ラオスに次いで四カ国目となる外交活動である。両国首脳会談でエネルギーや国境貿易等の経済関係増進、ミャンマーのアセアン会議復帰、オンライン詐欺拠点対策などが協議された。(宇崎真) 一方この公式訪問とは別に、「ミャンマー新政権100日計画」の主要項目として少数民族武装勢力との和平交渉に向けた接触もおこなわれていた。その中心人物がミャンマーのヒンズー教徒リーダーで商業組合会長を務めるマウンシュエで、元テインセイン政権ならびにスーチー政権下でも対少数民族武装勢力との交渉経験のある人物である。つまり軍服から背広に着替えたミンアウンフラインは出来る限りソフトなイメージをつくりあげ、7月下旬までの100日間で状況打開を図ろうとしてきたわけである。 だがその目論見は大きくはずれた。先月マニラでのアセアン外相会議(日中韓等の拡大会議等含む)において、ミャンマーに対する「5項目要求」(暴力行為の即時停止、関係者間の建設的対話、アセアン特使の仲介、人道支援、ミャンマー全ての関係者との面談)の履行が果たされていないとして、引き続き11月のアセアン首脳会議にミャンマー新政権の政府代表出席は認められないと再確認された。
日本政府は2021年の軍事クーデタ―で完全にミャンマーへのパイプを失った。それはまたひとつ独自外交の失敗を重ねたことを意味する。 戦後の歴史で日本は「対米従属」を続け、国内外で批判を受けてきた。唯一の被爆国でありながら米国の「核の傘」を受け入れ世界の核廃棄への取り組みに背を向けてきた。「対米追随でない独自外交はあるのか」との声に、日本外務省は「カンボジアがその典型例だ」と主張していた時期があった。だが現在ではカンボジアは独裁政治と腐敗政権、オンライン詐欺のイメージを持つ国となり、もはや日本外務省も胸張ってそう言い続けることは出来ないだろう。どこでどう誤ったのか。 1997年10月のフンセン第二首相(当時)によるクーデターで国連管理下の選挙で第一党となった王党派ナナリット第一首相を私兵軍をつかって弾圧し権力を奪取したとき、日本政府はフンセン擁護にまわった。その時以降フンセンは「日本は権力を握った側を結局は支持する」と確信したのだ。その後フンセンは中国接近を続けていく。 筆者は1979年以来フンセン政権をみてきたのでわかるのだが、その権力志向は尋常ではないし政略家としてずば抜けていた。全くの歴史の皮肉だが、フンセンほど「恵まれた環境」で政権運営を長年継続できた国の最高権力者はいないだろう。なにしろポルポト時代のジェノサイドで国民はゼロ以下の社会で息も絶え絶えだった。自由に故郷に帰る、自分の手で仕事ができる、自由意思で結婚できる。なんとか生きていける。それだけで政権に支持が集まる。その環境でフンセン政権は全国隅々に権力基盤をつくってきたのだ。反対勢力が出てきたら自分の意のまま動いてくれる私兵組織、正規の指揮系統つまり国防相―軍司令部を通さず動員できる、正規軍よりも近代装備を整えた数百規模の「精鋭部隊」を動かすことが出来たのだ。 筆者が知る限りそれを実行したフンセンは少なくとも東南アジアで最悪のリーダーである。日本政府は30年近くにわたりフンセン政権を事実上支援してきたのだ。権力は必ず腐敗する。その警句を判で押したように実施してきたのがカンボジアの今の姿に映る。フンセン政権が「中国接近」したとき、その側近に尋ねたことがある。「このままいくと中国の衛星国になるという声がでている。日本との関係をどうしていくつもりですか」。それに対する返答が極めて明快だった。「中国に近づけば、日本は更なる投資や援助をしてくる。いいこと尽くめなのですよ」
次いでアフガンでも失敗した。そしてミャンマーでも更なる失敗例を目の当たりに我々は見ている。(つづく)
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