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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年01月01日15時39分掲載
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検証・メディア
メディアは小泉政権の「放言」の背景掘り起こせ 池田龍夫(ジャーナリスト)
新年を迎えたが、難問山積で視界は不良。にもかかわらず、昨秋の総選挙で圧勝した小泉首相以下政権要人の口からは、問題をはぐらかすような暴言・放言が相次ぎ、国民はそれらに不感症になっていく。メディアも単なる雑報扱い。「メディアはいまこそ、“放言の背景”を掘り下げて問題提起する姿勢がほしい」と、ジャーナリストの池田龍夫氏ははマスコミの奮起をうながす。(ベリタ通信)
●難題山積の政治に黄信号 相次ぐ暴言…民営化リスク 池田 龍夫
戦後61年、還暦を過ぎて新時代幕開けの年を迎えた。昨秋総選挙での小泉純一郎政権�牋犠´瓩砲茲蝓◆孱横娃娃鞠�体制」などと喧伝されているが、日本の前途に立ち塞がる暗雲は、取り払われるどころか、視界は更に悪くなっている。
773兆円にのぼる財政赤字と増税、医療・年金などの社会保障費削減、手詰まり状況の対中・対韓外交、米軍再編と自衛隊増強、平和憲法改正の動き……等々、重要課題がズッシリ覆い被さっている。ところが、小泉政権と与党は�狆〕�の美酒�瓩某譴っ圓譟∧鏨濾埖修癖�言や強引な政策が目立つ。明確な海図がないため激浪の中を漂流するばかりで、�爛縫奪櫂鶸櫚瓩旅圓�手は危険極まりない。新聞に鋭くウオッチしてもらいたい項目を幾つか挙げ、今後の課題を提示してみたい。
▼小泉―武部の�犖世い燭な�題��
政府・与党幹部の暴言・放言が目立つ。居丈高な言動に引きずられ、「長いものに巻かれろ」「勝ち馬に乗った方が得」との世相が醸成されてきたのが気になる。中でも、「小泉首相イエスマン」を自任する武部勤幹事長の傍若無人ぶりが際立つ。
小泉自民党総裁任期切れの06年9月に行なわれる総裁選につき「予備選をやったらいい。国民が参加する形にしたい」と民放TV(11・26)で語ったが、小泉�狄栃��瓩癲屬海譴�ら一年間、総裁選に向けて権力闘争になる」と強調し、一年生議員に向かって「派閥に入らず、様子を見よ」と語る(12・3新人議員との懇談)。小泉―武部ラインで政治を仕切る魂胆なのだろう。自民党は過去三回、予備選挙を行なったが、「一般国民参加の予備選挙」という思いつき発言の理由は何か。「党の総裁を選ぶ選挙だが、実態は首相を選ぶ選挙だ」と述べるに至っては、ポピュリズム政治そのもの。自民党人気をバックに、事実上の�犲鸛蠍�選制�瓩砲弔覆�りかねない暴言ではないか。
武部氏は耐震強度設計偽造問題にも言及、「悪者捜しに終始すると、マンション業界は、ばたばたとつぶれる。不動産業界も参る。景気がこれでおかしくなるほどの問題だ」(11・26北海道で講演)との非常識発言。さらに水戸市での会合(12・5)では「日本という国は天皇中心の国であります。中心がシッカリしているということと同時に、中心をみんなで支えていく。そういう国柄だと思います」とのアナクロ発言にも驚かされる。「主権在民」の憲法理念を無視した放言は、森喜朗・前首相の「神の国発言」と通底する政治感覚であり、こういう政治家に政権与党の舵取りを委ねる恐ろしさを感じる。
ポスト小泉の�狎�局混乱劇演出�瓩魍擇靴爐�のような小泉語録も気になる。「中川秀直・自民党政調会長が頑張っている。(突出しているのではなく)政府と歩調をあわせて当たり前のことを言っているだけだ。改革を進めていく上で、いずれ谷垣禎一財務相も与謝野馨金融・経済財政担当相も私の意図が分かれば、中川さんと協力してくれる。私の意図が分からないから、調子外れのようなことをたまに言うだけだ」(11・18釜山市での会見)、「歌も練習すれば調子は戻ってくる。みなさんと気を合わせて、良い結論が出れば良い。よく改革の意図をわきまえて対応した方がいい」(11・23の会見)など、閣内有数の経済閣僚を�狡柑匈阿讚畍討个錣蠅垢誂�慢さに驚く。税制改正(特に消費税アップ)をめぐっての本質論議を回避し、「俺の言うことに従え」との政治手法である。
これら相次ぐ放言に、一般国民は不感症になり、騙されてきた。新聞(マスコミ全般)も、単なる雑報程度の扱い。以上の例だけでも、�猜�言の背景�瓩魴,蟆爾欧凸簑蠶鶺�する姿勢がほしい。「小泉や武部なら、そんな事は言うよ…」と、報道側に「発言内容を真剣に吟味する」監視機能がマヒしていたら大変だ。政治家の片言隻句をいちいちヤリ玉に挙げろと言うわけではないが、権力者の軽はずみな言動を見過ごしてもらっては困る。
▼「靖国は外交カードにならない」と言うが
対中・対韓外交の軋みは、年が明けても改善の目途が全く立っていない。靖国神社存廃の問題ではなく、小泉首相が5年間もA級戦犯を祀る靖国への公式参拝を続けていることが、侵略を受けた中国・韓国の感情を逆撫でしている事実を真摯に受け止めるべきだ。「適切に対処します」と相手国を煙に巻く小泉首相は、日中韓の首脳会議の延期を中国政府が発表したことについて「私はいつでもいいですけどね。向こうが延期する。それでも結構です。(自らの靖国参拝が影響したかの質問に)批判する方がおかしいと思っている。もう靖国は外交のカードにはならない。中韓がいくら外交カードにしようとしても無理だ」(12・5の会見)と、いぜん強硬姿勢だ。
その小泉政権を支える麻生太郎外相の発言もすごい。「靖国の話をするのは世界で中国と韓国だけ。ほかから言われたことはほとんどない。日本が孤立しているとか、好かれていないとか、どうでもいいことは気にしなくていい。…日本は一国家、一文明、一文化国で、そういう国はあまりない」(11・26金沢での講演)という発言が、外務大臣から飛び出したことに驚きを禁じ得ない。
「日刊ベリタ」を検索していたら、クアラルンプール発の記事(12・5)が目に止まった。現地英字紙「スター」に掲載されたマレーシア人コラムニストの指摘である。「靖国に反対している国は中韓だけとの日本政府の姿勢は『戦略の読み間違い』だ。東南アジアサミットに参加する多くの国が被害を受けたことを考慮していないことに一因がある。日本は中韓によるPR戦に負けている」との指摘を日本政府は甘くみているのか。アジア蔑視が、�爛▲献△慮瓢��瓩砲弔覆�りかねないと感じるのは杞憂だろうか。アジア諸国と真剣に向き合う外交を、新聞はもっと主張してほしい。
ついでに、「国立追悼施設を考える会」(山崎拓会長)が発足したことに触れたい。国会内での勉強会(11・24)で読売新聞グループ会長・主筆の渡辺恒雄氏が講演、「歴史認識を間違えさせる施設が(靖国神社の)遊就館だ。社務所の出版物も戦争責任の反省があった上で戦没者に追悼の意を表する趣旨がない。『A級戦犯は濡れ衣を着せられた』というようなことが書いてあり、納得できない。小泉首相に戦争体験はないだろうが、真面目な歴史研究を重ねて想像力を巡らせば正しい判断ができる」と語り、首相の靖国参拝に異を唱え、無宗教の追悼施設建設を訴えている。産経を除く各紙もこの主張に異論はないはずで、実現へ向けて今後の情報提供を望みたい。
▼道義の退廃は、市民社会の危機
欠陥マンションが続々…耐震強度設計偽造問題は、日本社会の劣化を象徴する大事件だ。「官から民へ」「大きい政府から、小さい政府へ」の小泉キャッチフレーズの�猴遒箸祁雖瓩�露見したような気もする。「『改革―コスト削減』の考え方が道義的な退廃を進めて無責任さを加速させている。企業のうそは市民社会への挑戦。当たり前の約束事が守られなければ、人々は疑心暗鬼になり、信頼関係が消えて最低のルールも崩壊する。待ち受けるのは混乱でありカオスだ。すると社会は強い権力を求める。権力は秩序を回復させるが、本来の市民的権利は抑圧される」と保坂正康氏(昭和史研究者)は指摘=毎日11・28夕刊=し、「小泉首相のキャッチフレーズに引きずられている」現状に警鐘を鳴らしている。
11月中旬に発覚した耐震構造データ偽造は、全国的に波紋を広げている。1998年の建築基準法改正で99年から民間の検査機関にも建築確認業務を委任する仕組みになり、民間の扱い件数は年々増え03年には「民間」が「自治体による検査」件数を初めて上回ったという。事件発覚当初は、民間検査のズサンさが指摘されていたが、事件拡大とともに、自治体検査でも�犒膣拿斬隲瓩�多数ヤリ玉に上がり、国土交通省の責任が問われる大問題に拡大してきている。関係業者の責任追及が行なわれている段階だが、震度5弱で倒壊の危険性が指摘された今、住民および周辺地域の安全対策こそ急務である。「悪者捜し」するのは当然だが、建築許可だけでなく日本社会の構造的問題にメスを入れることが肝要だ。
民営化万能の世相…「官から民へ」のリスクの怖さ。善悪二分法は間違いで、「官vs民」とは別な「公」を重視すべき政策の見極めが重要課題。社会保障や交通・エネルギーなどは、市場競争原理だけでは解決できない。米国の建保・年金などの破綻例が報告されており、「米国モデル」偏重を見直す契機にもしたいものである。
(本稿は、「新聞通信調査会報」1月号に掲載された「プレスウォッチング」の再録です)
*池田龍夫氏のプロフィール 1930年(昭和5年)生まれ。成蹊大学政治経済学科卒業。毎日新聞整理本部長、中部本社編集局長などを歴任、現在はフリージャーナリスト、日本記者クラブ会員。著書に『崖っぷちの新聞』(花伝社)、『新聞の虚報・誤報』(創樹社)など
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