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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年03月10日15時35分掲載
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検証・メディア
アルジャジーラ成長の理由 注目すべきテレスルとの協力 マリオ・ルベトキン
カタールのテレビ局アルジャジーラをめぐる白熱した議論は哀歌と攻撃を生んできたが、その目覚しい発展、その著しい影響力(そのスクープはCNNやBBCよりもずっと大きな影響を及ぼした)、メディアの世界で突出した斬新さについての理由を客観的に分析したものはほとんどなかった。(IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信)
同局がアラブ世界の外に向けてアルジャジーラ・インターナショナルを開始しようとしている時に、この分析をするのはいい機会のように思われる。
アルジャジーラは4つのチャンネルを持つ。一つは最もよく知られたニュース、その他はスポーツ、ドキュメンタリー、子供番組である。会社の広報によると、視聴者は3500万人を超えるという。アルジャジーラ・インターナショナルは5番目のチャンネルで、今春、北半球で1日24時間の英語放送を始める。
アルジャジーラはアラブ世界で過去にあったテレビ局とは異なる。記者はBBCで訓練を受けたが、ドバイのアルアラビア、アラブ首長国のアブダビ・テレビの着想になったのはアルジャジーラであった。同局のやり方に同意するかどうかは別にして、その報道スタイルはアラブ地域で文化革命を引き起こしたことは認めなければならない。
しかし、同意しない者も多い。わたしは2月、カタールのドーハで3日間、世界中からのジャーナリストが加わったセミナーに参加した。参加者は二つのグループに分けられる。非アラブ人、特に米国人と英国人はアルジャジーラを支持した。アラブ人の少数派は、アルジャジーラは真にアラブがつくったものとは言えず、「西側がつくったもの」だと主張した。
後者は、アルジャジーラは地域では以前使われていなかった技術を使用しており、方式も地域のテレビ局の伝統とは違っている。すなわち、輸入品だと主張した。
アルジャジーラは10年前に設立され、アフガニスタンでの戦争の時に有名になった。当時、アフガニスタンのいつかの町では、見ることができる唯一の局であった。米英軍によるファルージャ破壊の時には、市内から中継した唯一の局であった。これらの事実は、アルジャジーラのカブールとバグダッドの支局が爆撃を受けたこと、イラクでその記者の多くが死んだことなどと合わせて、西側がつくり出したものではないとする証拠としてアルジャジーラを擁護する人たちが指摘した。さらに、西側からの「抵抗」があるなら、それはアルジャジーラが西側の利益と価値に相反するニュースを放送しているためであるとした。
「信ぴょう性」の問題をここで棚上げすると、上に掲げた事実はアルジャジーラが他のテレビ局と同じくらい、ことによるとそれ以上、スクープを得るために、またニュースが起きている現場をカバーするために投資し、危険を冒しているということを示している。このことは同局が著しく拡大し、影響力を増している説明になる。
セミナーでは、アルジャジーラの代表がその使命とビジョン、特に倫理規定について説明した。このことで激しい議論が巻き起こった。一部のアラブのジャーナリストは、アルジャジーラは完全には独立しているとは見なされないと主張した。なぜなら二つの重要な問題をほとんど無視しているからだと。アラブ世界における腐敗とカタールの国内ニュースである。
アルジャジーラの独自性とアイデンティティをめぐる論争は第2次世界大戦後の日本の異例な発展についての議論を呼び起こす。西洋の科学技術を取り入れたことによって、多くの伝統保持している日本が西洋化し、アイデンティティを失いつつあるという非難が国内から巻き起こった。時が過ぎ、この変化の長期的な影響は明らかになった。「西洋の技術と日本文化」(後者のための前者)としてのモデルの説明が受け入れられるようになった。アルジャジーラをつくった人たちは同じような考えを持っているのかもしれない。
アルジャジーラ・インターナショナルについては、アラブのチャンネルと対照的に、いく人かの優秀なCNNの人材を含む多くの西側のジャーナリストと契約を結んだという事実以外はほとんど知られていない。
重要な動きの一つは、アルジャジーラがベネズエラのウゴ・チャベス大統領が推進しているラテンアメリカのテレビ局のテレスルと協定を結んだことである。これは、以前はつながりのなかった地域同士を結び付ける傾向の始まりを示すものかもしれない。地域のネットワークは、これまで米国の主要ネットワーク、2,3の欧州のネットワーク、米国の映画産業に依存してきた。
一部の米国議会議員の猛烈な反応は別にして、この取り決めは南半球における通信の分野での新しい展開を示しており、見守っていくべきである。なぜなら情報の観点からすれば、まったく孤立している地域(アフリカ、アジア、ラテンアメリカ)で、新たな展開の兆候があるという明白な証拠であるからだ。
もしこれらの兆候が本格的な進展になり、それぞれの視聴者の要求を満たすならば、それはアルジャジーラのようなテレビ局が直面している多くの課題の一部である。もし近い将来、新しいテレビ局が、それぞれの地域で存在感を増し、アルジャジーラのように世界的な地位を得れば、この傾向は強固なものになるであろう。
その場合、これらのテレビ局が協力と交流のために関係を強化し、地理的・文化的に情報の多様性を深めるのは当然のことである。それは現在、少数の巨大な西側グループによって支配されている情報システムよりも多元的な世界の現実に、より適ったものである。
*マリオ・ルベトキン IPS総裁
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マリオ・ルベトキン IPS総裁
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