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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2009年08月29日23時55分掲載
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文化
《映画》イメルダ- 美貌と権力を手にした「女帝」の生涯- イノウエケンイチ
60〜80年代に独裁者としてフィリピンに君臨したマルコス大統領夫人、イメルダ。その美貌と華やかな振る舞い、亡命後に判明した想像を絶する贅沢や不正蓄財など、センセーショナルな話題を振りまいてきた彼女が、初めて自らその半生を語ったドキュメンタリー。2009年9月12日よりポレポレ東中野他で。全国で順次公開される。
子供の頃から美貌と利発さで注目を集めたイメルダは、首都マニラで若き政治家マルコスと出会い、10日足らずで電撃結婚。マルコスの大統領就任後はファーストレディーとして内政・外交両面で活躍する。 だが、国民を無視した文化センター建設など独善的な政治が災いし、信用は失墜。戒厳令を敷き20年もの間、権力の座にとどまるが、86年、遂に失脚。ハワイへの亡命を余儀なくされる。その後、宮殿に残された3000足の靴に象徴される数々の贅沢や800億円に上る不正蓄財が明らかになった…。
現在のイメルダを伝える取材映像とこれまでの歩みを振り返る記録映像、二方向からのアプローチで構成。リアルタイムで彼女を知らない人間にも、独特の魅力を持つ人間性がよく伝わってくる。
元女帝の口から飛び出す言葉の数々がとにかくすごい。
「私は、人生において良いものと美しいものしか目に入らないみたい」 「私はこれまでひどく誤解されてきた。人生のとらえかたが人と違うせいね」 「この世の究極の到達目標は美よ!」 「私には見られて困るようなものが何もなかったから、靴のことばかり報道されたの」
どれだけ独りよがりなのかと思うが、ただの嫌われ者でないところが面白い。 事実、今でもフィリピンには彼女の支持者がいて、子供たちは政治家として活躍。街の人々と一緒に写真を撮ったり、自分のブロマイドを配ったりする姿には、無邪気ささえ覗く。自己中心的ながら、人を惹きつけるカリスマ性も兼備。 サンダンス国際映画祭でドキュメンタリー部門最優秀撮影賞を受賞したカメラは、そんな彼女の人間性を的確に捉える。
監督はフィリピン系アメリカ人のラモーナ・ディアズ。 マルコス政権を崩壊に導いた86年の“ピープル・パワー”を扱ったドキュメンタリー「Spirits Rising」で映画監督デビュー。このときイメルダに興味を持ち、本作製作に至ったというが、彼女を見ているとその思いに納得してしまう。(もっともイメルダは“自分の意図が歪められている”として、フィリピンでの上映差し止めを求めたらしいが。)
証言の合間に挿入される当時の映像も見どころ。美貌を誇った若き日の姿。(本当に美しい!) リビアのカダフィ大佐、キューバのカストロ議長、中国の毛沢東など時の権力者たちとの対面。 さらに、イメルダ暗殺未遂事件や政敵アキノ氏暗殺の瞬間まで、貴重な映像が続々登場する。
イメルダは自分の人生をこう振り返る。
「私の心にやましいことは1つもない。私にはわかる。主が満面の笑みで私を天国に迎えてくださると…」
本当に彼女が天国に行くかどうかはわからない。だが、70歳を過ぎてこう言い切れる強さは尊敬に値する。
誰もが進む道に迷う今の時代、この言葉は間違いなく自分の人生を生き切った証だからだ。彼女の行ったことが正しかったのかどうか、それは見た人それぞれで判断して欲しい。 だが、どう感じるにせよ、スクリーンに映し出されたその姿は、見た人の胸に何らかの思いを掻き立てずにはおかないだろう。
公式サイトアドレス
http://www.imelda.jp/
公開 2009年9月12日よりポレポレ東中野他 全国順次公開
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転載について
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映画「イメルダ
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