・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・イスラエル/パレスチナ
・みる・よむ・きく
・国際

・市民活動
・核・原子力
・環境
・政治
・入管
・欧州
・憲法
・人権/反差別/司法
・アジア
・難民
・スポーツ
・医療/健康
・科学
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法


・マニラ新聞

・TUP速報



・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus

・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2026年10月25日
・2026年10月24日
・2026年10月23日
・2026年10月22日
・2026年10月21日
・2026年10月17日
・2026年10月16日
・2026年10月13日
・2026年10月12日
・2026年10月11日
|
|
2010年01月11日00時01分掲載
無料記事
印刷用
中東
イラク戦争犯罪 2010年、世界はブッシュを裁けるか? 文:平田伊都子 写真:川名生十
2009年12月31日、庶民がカウントダウンにうつつを抜かしていた隙に、アメリカ連邦裁判所のウルナビ判事はブラックウオーター傭兵5人の戦争犯罪訴追を取り下げた。ブラックウオーターとはイラク戦場で暴れまくった米民間軍事会社の名称で、2007年にゼー・サービスと改名している。 当該の戦争犯罪とは、2007年9月16日にバグダッド市内の交差点でブラックウオーター傭兵5人が無差別に銃を乱射し手榴弾を投げイラク市民17人を殺し18人に重傷を負わせた大量虐殺テロを指す。このテロがアメリカ国内で起きていたら、犯人5名は死刑だ。
何故、国連は黙認しているのか? 何故、イラク犠牲者は裁判に登場しないのか? 何故、犠牲者は正当に賠償してもらえないのか?
2010年は英国独立調査委員会や日本第三者委員会など、イラク戦争検証イベントが控えている。 この判決は検証イベントの有効性を検証する証拠となりそうだ。
◆ブラックウオーター(またの名をゼー・サービス)
「汚い戦争引き受けます」が売り物のブラックウオーターは、1997年に米海軍特殊部隊退役軍人のエリック.プリンスが立ち上げた民間軍事会社だ。<ランボー.怒りのアフガン>など、ハリウッド製アクション映画が大ヒットしていた頃で、プリンスはノースカロライナ州に28.33平方キロメートルの超巨大な軍事訓練施設を作った。射撃場、屋内屋外軍事訓練場、街のセットから人造湖などなど、、戦争お宅でなくてもワクワクする戦争実戦基地だ。
ブラックウオーターは2001年に米国政府と、約1,150億円の契約を結んだという。 60以上ある米民間軍事会社の中でブラックウォーターの政府受注が突出しているのは、ファルージャ殲滅作戦のきっかけを作ったからだと言われている。 そのきっかけとは、2004年3月31日、ブラックウオーター傭兵4人がファルージャ住民になぶり殺しにされ鉄橋にぶら下げられた事件を指す。この事件の報復と称して米軍はファルージャを壊滅した。
金で身を売ったブラックウオーターの傭兵たちは、戦争犯罪免責という米国政府のお墨付きをかざしてイラク戦場で暴れまくる。虐殺の数を競い合い、イラク住民を的にした最新兵器の性能を自慢しあう。アブグレーブの拷問、虐待、レープ、ファルージャ大量虐殺などなど、重大作戦現場にブラックウオーター傭兵の姿があった。
◆<イラク調査>(通称<チルコット委員会>)
2009年6月30日、英国ブラウン政府は<イラク調査>と称する英国独立調査委員会を発足させた。ジョン.チルコット卿以下5名の委員が、外交文書や軍機密書類を調べ、関係者の公開喚問を行う。 注目のイラク戦争主犯格ブレア前首相を初め、2003年開戦当時の政府高官や軍人に対する公開証人喚問は2009年11月24日に始まり、現在進行中で2010年2月初旬に終わる。 結果の公表は7月英国選挙後だとか、、明らかに選挙を睨んだ政治工作で、八百長調査委員会のあだ名が付いている。
「証人喚問は法的拘束力なし、証言者は戦争犯罪を問われない」と、チルコット委員長が自ら無用な委員会だとのたまう。では何の為に金と時間をかけて無益なイベントをやるのか?チルコットは「英国がどの様に参戦したかを調べ将来に役立てる」と言う。?? そして、この委員会にも戦争犠牲者のイラク人は登場してこない。
この類の<イラク調査>委員会を、英国政府はこれまで4回もやってきた。「さすが法を重んじ自己批判を恐れない勇気ある紳士の国」などと感心してはいけない。調査委員会なる猿芝居は英国政治の伝統手法で、政権政党は詭弁とパフオーマンスを駆使し、マスコミや世論の反発をかわしてきたのだ。 口八丁手八丁のブレア前首相が最も得意とする役どころで、極悪人があれよあれよという間に正義のブレアになってハッピーエンドで終わる。その一部を再上映してみる。
2003年7月18日、英国のハローダウン丘で初老男性の死体が発見された。 男の名はデビッド.ケリー、英国国防省の顧問だった。「イラクは化学兵器を45分内に作れる」と、嘘の証言をした張本人だ。 彼はイラク戦争前に国連のイラク大量破壊兵器調査団に加わり、戦後は二度イラクに入り大量破壊兵器を捜した。が、ないものはない。偽証証言をBBC放送などから追及され、若い時から肌身離さず持っていたナイフで左手首を切った。鎮痛剤を29錠も飲んでわが身を刺したというのが、哀れだ、、
ケリーの自殺で、イラクに大量破壊兵器など無かった事がますます明確になった。嘘をついて英国をイラク戦争に引きずり込んだブレア、、逮捕か!?
世界が手錠姿のブレアを待っていた時、ブレア政権は<イラク調査>委員会、別名ハットン委員会を作り、2004年1月28日に調査報告を発表した。が、大量破壊兵器の有無には触れず、ケリー自殺に関するブレアの責任も不問にし、ブレアを非難したBBC放送を悪人にする。翌日、BBC放送はブレアに陳謝し、会長と社長は辞任した。 ブレア前首相は切れ者の寝業師と称えられ、ハッピーエンドで英国首相の役を全うする。
◆国連イラク大量破壊兵器監視検証査察団
アメリカでもCIA特別顧問のデビッド.ケイが、イラクに大量破壊兵器などなかった事を2004年1月23日に報告した。彼はかって国連イラク大量破壊兵器調査団で働いていた。後任のチャールズ.ドルファCIA特別顧問も2004年10月11日に、同様の結論を出した。ドルファもケイと同じ国連の部署で働いていた。
自殺したケリー英国国防省顧問、ケイCIA特別顧問、ドルファCIA特別顧問など、大量破壊兵器調査関係者は一様に国連監視検証査察団に属していた。国連は米英の命令で、必死になってイラク大量破壊兵器証拠作りを戦前戦後を通してやっていたのだ。
その国連監視検証査察団を、戦争直前の2003年1月に追跡取材したことがある。
「査察があるぞ!」と、友人のAP記者に起こされて、バグダッド北部の国連イラク本部に車を飛ばす。査察は抜き打ちで極秘だったが、情報はバレバレで国連の門前にはイラク情報省の役人やプレス関係者が張りこんでいた。空が薄蒼くなった7時、突然、門が開いて3台の車が飛び出してきた。6台の車に分乗した取材陣は後を追う。国連の車列はいつの間にか8台に増え、右に曲がって右に曲がって又右に曲がって元に戻るという阿呆な走行を続ける。「俺達をまいてる積りさ」と、追跡常連のAP記者が苦笑い。 約一時間後、国連車と追跡車の計14台は、国連イラク本部から15分しか離れていない薬品倉庫に着いた。取材を拒否されたプレスは、倉庫が見下ろせる陸橋にカメラを立てた。朝8時、厚い雲が太陽を遮り凍えそうになる。屋台で買ったミルクコーヒーとアラビア式煮豆サンドウィッチをみんなで分け合いながら待つこと2時間。やっと暖房のきいた国連車のドアが開いた。そして、頭のてっぺんから足の先まですっぽりと白い服に身を包んだ数人が、薬品倉庫に吸い込まれていった。 「国連の猿芝居には飽き飽きだけど、戦争になるよりはましだ」と、AP記者が呟いた。
薬品倉庫には市販の薬品しかなかった。
◆何人のイラク人が殺されたのか?
2010年1月2日、アメリカは2009年12月には一人の米兵もイラクで殺されなかったと喜んだ。しかし、イラク人は450人以上も殺されているのだ。 2003年の米英イラク侵略から2009年末まで、一体何人のイラク人が殺されたのか? 誰も正確に推測できないし、誰もまともに調べていない。
「We don’t do body count ウイ ドント ドウ ボディ カウント(我々はイラク人の死体を数えない)」と、戦争のしょっぱなにトミー.フランクス米中央軍司令官が開き直る。 「敵の死者や財産の損失についての報告を現地に求めない」と、フランク.ソープ米中央軍報道官も突っぱねた。
アメリカは自分たちが犯した侵略戦争の結果や被害など、まったく考えていないのだ。ハリウッド映画のランボーのように思いっきり派手に爆破し殺しまくるのを楽しんでいる。
「ウイ ドント ドウ ボディ カウント」というフランクス司令官の言葉に反発した米英の有識者達が<イラクボディカウント>というイラク人死者を数える組織を作った。 この組織は2003年から2009年までの死者数を94,939から103,588と推測している。但しメディア報道を累積したもので、本人達が現地調査したわけではない。
「2003年から2009年までのイラク人死者は1,339,771」と発表したのはアメリカのジャスト・フォリン・ポリシーというNGO団体だ。この団体は2006年7月にジョン.ホプキンス大学研究員が医学誌ランセットに発表した死者数650,000以上という数値などから推測したという。この団体も現地調査はしていない。
イラク人犠牲者を数えるのは、大義のないイラク侵略戦争をやったアメリカとイギリスの義務だ。アメリカとイギリスがあくまで戦争責任を取らないと言い張るのなら、責任を取らざるを得ない状況に追い込むしかない。
◆誰がブッシュとブレアを裁けるのか?
2003年3月11日、オランダのハーグでICC国際刑事裁判所が立ち上がった。国連が主導する常設国際裁判所である。
ICCが裁けるもの: 個人の刑事責任として<集団殺害犯罪><人道に対する犯罪><戦争犯罪><侵略犯罪(2010年に再検討)>などが裁ける。つまりブッシュとブレアがイラク戦争指揮中に起こったレイプ、拷問、大量殺害、建造物破壊、放射性兵器による環境破壊など全てが対象で、両人ともお裁きを受けることになる。
ICCで裁く人: 加盟国110カ国が選んだ18人の判事が裁く。 昨年11月、尾崎久仁子氏が仲間入りした。
ICCが裁く人: 訴追された人は、その犯罪に対する刑事責任を問われる。ICCにかけるには、ICC検事局か加盟国か国連安保理などの告訴がいる。被訴追者は加盟、不加盟、肩書きに関係ない。
ICCの欠点: アメリカ、中国、ロシア、イスラエル、イラクなど、未加盟国が多々あることだ。
一番大きな障害はアメリカがICCに反対してきたことだ。アメリカは米国絶対正義なる持論を掲げ、米国人や米兵を訴追するなどとはもっての外だと主張している。しかもICCに先手を打って、�‘鷙餞嵬叛婉�定と�∧胴餬蛙擁欷酲,鮴�定している。たとえイラク戦争犯罪でブッシュが訴追されても、�,諒謄ぅ薀�協定で犯人ブッシュは渡さない。�△諒胴饋佑紡个垢詭叛佞妊屮奪轡紊鰐戯疂�免となる。 しかし、1,339,771人も殺した殺人犯を放置しておいていいのだろうか?
「ブレア前英国首相を告訴しよう」と、2009年11月8日にBWCF(The Blair War Crimes Foundation ブレア戦争犯罪基金)が署名を呼びかけた。宛先は国連総会議長と英国最高判事とあるが、明らかに<イラク調査>英国独立調査委員会を意識している。 私たち日本人もブレアのBをブッシュに置き換えて、BWCF(The Bush War Crimes Foundation)の設立を目指したい。宛先はICC国際刑事裁判所と国連安保理議長にする。 何故なら、今年一年間日本は国連安保理に席があるし、ICCにも日本女性判事を送り込んでいるからだ。日本語で国際社会に物申す絶好のチャンスだ。
ブッシュ前米国大統領をイラク戦争の主犯としてICCで正当に裁かないかぎり、1,339,771人以上のイラク人死者と30,747,000全イラク人被害者の声は世界に届かない。 戦争責任を明確にしないかぎり、イラク人に対する戦争被害賠償など望めそうにない。
2010年1月11日、新成人になられた大人の仲間たち、、イラクには今も12万以上の米兵が展開し、戦争が続いていることを忘れないでください。
文:平田伊都子 ジャーナリスト 写真:川名生十 カメラマン
《脚注》 1−ジョージ.ブッシュ: 1946年、アメリカのコネチカット州ニューへイブンに生まれる。2001年1月20日から2009年1月20日まで第43代アメリカ大統領。イラク侵略戦争の主犯。
2−トニー.ブレア: 1953年、スコットランドのエディンバラに生まれる。1997年5月2日から2007年6月27日まで第73代英国首相。イラク侵略戦争の主犯格。
3−ランボー: アメリカ戦争アクション映画の、乱暴なヒーロー。演ずるはシルヴェスター.スタローン。ランボー� ▲戰肇淵爐�舞台で1982年製作。ランボー��怒りの脱出、ベトナムが舞台で1985年制作。ランボー�E椶蠅離▲侫�ン、アフガンが舞台で1988年制作。ランボー�ず埜紊寮鐓譟▲潺礇鵐沺爾�舞台で2008年制作。
4−ファルージャ: イラク中部の30万人都市でスンニ派が多い。2003年4月28日に反米デモが勃発し、米軍はスンニ.テロ.トライアングルのレッテルを貼る。2004年4月、5月、9月、11月に、米軍とイラク軍は包囲掃討作戦を展開。白りん光弾など禁止武器弾薬を濫用し、住民を虐殺。死者の数は10,000人以上と言われている。
|
関連記事
際協力や人権問題に取り組むNGOが日本政府に、イラク戦争検証の独立機関を設置するよう要請
21世紀の魔女裁判 「フセインさえ倒せばいい」ブレア元英国首相 文:平田伊都子 写真:川名生十
二つの暗殺未遂 イラク戦争は終わっていない 平田伊都子
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
国連監視検証査察団:バグダッドの薬品倉庫を抜き打ち検査する国連査察団ご一行。白い化学兵器防御服姿がものものしい
劣化ウラン被弾戦車の墓場:放射能兵器劣化ウラン弾は半永久的に土、空気、水を放射能汚染してしまう。ガイガ―カウンターで取材する筆者。イラク南部で
不発の劣化ウラン弾:金色に輝く劣化ウラン不発弾は水に溶け、地下水も汚染していく。バグダッドで。
バンカーバスターの跡:劣化ウランを使ったバンカーバスター爆弾の威力は恐ろしい。民家三軒は木っ端微塵になり、大地はえぐられ、周囲は放射能汚染されている。バグダッドで。
子供の死体:殺されたわが子を白布にくるんで墓場に運ぶ父。バスラで。


|