◆ 地震と原発事故情報 その143 ◆ ★1.マルマガ読者からの質問と回答 「原発がなくても電気不足にならない」データを是非教えて下さい ――福井県 S.A子さんより 猛暑日の実績に基づく電力需給計算 山崎久隆 ★2.ストレステスト“省略”に怒る北海道民 泊原発3号機再開はおかしい 福島事故が終わってないのに ★3.安全以上に信頼が重要 田坂広志 菅内閣官房参与に聞く ★4.「ミツバチの羽音と地球の回転」チャリティー上映会 in 柏市 ★5.たんぽぽ舎夏休みのお知らせ
★1.マルマガ読者からの質問と回答 「原発がなくても電気不足にならない」データを是非教えて下さい――福井県 S.A子さんより 猛暑日の実績に基づく電力需給計算 山崎久隆
(8月9日メール受信) 初めてメールさせて頂きます。私は福井県に住むものです。私の職場では|会社で毎月11日に原発ゼロを目指す市民デモ行動をしています。(もちろん私も|根っからの反原発の人間です。)そのデモで私が強く訴えたいのは広瀬隆さんが言われている、「明日全原発が止まっても電力不足にはならない」ということです。ですが最近、産業界の自家発電は5000万kwもなく、経済産業省(?)は160万kwしかすぐに使用できる電力はないと言ってみたり、(その後信憑性を疑われていますが。)また先日の豪雨で東北電力の水力発電が止まってしまったりと、最近少し”原発ナシでも大丈夫”と個人的に言いにくくなってしまいました。 そこでぜひお願いなのですが、11日にまた市民デモを行います、そのときに”原発ナシでも大丈夫”といえる根拠や資料など何かありましたらぜひ教えていただきたいのです!! 世間の心配は原発がなくなったら電力不足になるというものです。私はその概念を少しでも覆したいのです。急なお願いで申し訳ないのですが、どうかご協力をお願い致します。
(8月10日回答メール返信) たんぽぽ舎の山崎と言います。メールでたんぽぽ舎にお問い合わせいただいた電力供給力についてです。
今日も東京は35度を超え、おそらく今年最大の気温になることでしょう。そのため冷房需要が増大し、90%を超えるかもしれませんが、それでも東京電力管内は「まだ余裕がある」のです。いっぽう、東北電力はご存じの通り水害の影響で余裕はなくなりましたが、東京電力からの送電量を増やしてしのげます。200万kwほど東北電力に送る送電能力があります。
東京電力管内で現在稼働中の原発は柏崎刈羽原発の3機で、合計出力は381.2万kw、今日のピーク時の供給可能電力は5460万kwですから、5460万kw-381万kw=5079万kw。今日のピーク予測は午後二時の時点で5020万kwと予想していますので、まだ間に合う計算になります。もちろんこれでは危険と言えなくはありませんが、計算上参入していない揚水発電がまだ100万kw以上ありますし、需給調整契約に基づく供給停止が100万kwほどあるはずですから、余力はあります。(ちなみに東京電力の使用電力実績は午後2時の実績は4903万kwと、予想最大を実に107万kwも下回っています。)
関西はどうかと言いますと、供給力3010万kwに対し予測2750万kwワットで差し引き260万kw、稼働中の原発は美浜2、高浜2、大飯2で合計337.1万kw、差し引き77.1万kw不足。(午後2時の実績2748万kw)
中部電力は供給力2822万kwに対して予想最大2500万kwなので差し引き302万kwの余裕があり、原発は全部止まっているので影響なし。その分足りない関西に送ることが出来ます。(午後2時の実績2520万kw)
九州電力は供給力1735万kwに対して予想最大1560万kw、原発の設備は玄海1、4、川内2が稼働中で合計出力が262.9万kwありますので、175万kwの余力との差が87.9万kw不足、これを四国、北陸電力から融通すれば良いのです。(午後4時の実績1525万kw)
中国電力の予想最大は1070万kw、供給力は1220万kwで差し引き150万kw、原発は島根2が稼働中で82万kwを差し引くと68万kwの余力です。(実績データの掲載なし)
北陸電力は供給力604万kwに対して最大予想540万kw、原発は全部止まっていますので 差し引き64万kwの余力。(実績データの掲載なし)
四国電力は供給力620万kwに対して予想最大は550万kw、差し引き70万kw、原発は伊方1、2が稼働中で113.2万kw、差し引き43.2万kw不足。(実績データの掲載なし)
今日のような暑い日でも日本全国を合計すれば最大電力でも、まだ430万kwロワットほどの余力があります。もちろん供給予備が3%しかないことになるので、実務的には足りてないという意見もあり得ます。安全を見越した供給予備力は8%、少なくても5%は必要という意見もあります。
しかし本当に足りなくなると言うのならば、需給調整契約に基づく供給停止をすればいいのです。
ここまでの計算では自家発の新たな買い取り(いわゆる埋蔵電力)については計算に入れていません。自家発の余力は160万しかないと言っても、160万kwも追加できると言うことです。電力消費量の1%にも相当し、原発1機分以上です。また一部の自家発は、 燃料代が掛かる割には電力の買い取りがkwあたり7円程度では割が合わないので稼働していないというところもあります。例えば燃料代を電力会社持ちにすれば稼働する自家発もあると言うことです。背に腹は代えられないならばそういう手段もあります。電力会社の火力発電所や揚水発電所の一部は、供給力に計算されていないものがあります。建設中の火力の早期運転開始もあります。切迫すればまるで打ち出の小槌よろしく、設備が「出てくる」不思議な国です。
今日のような年に何回もないような猛暑日でも計算上プラスなのですから、設備が足りないと言うことはありません。原発を止めても大丈夫です。
★2.ストレステスト“省略”に怒る北海道 泊原発3号機再開はおかしい 福島事故が終わってないのに北海道電力泊原発の3号機をめぐる動きが急だ。高橋はるみ・北海道知事は、調整運転中の動機の営業運転再開を来週にも容認する見通し。しかし、敵点検中の原発を対象としたストレステスト(耐性評価)は受けないままで、道民から「安全に対する不安が解消されていない」と批判が出ている。
「きちんと審議しろ!」「二重チェックは嘘だったのか!」
十一日に開かれた内閣府の原子力安全委員会は、怒号に包まれ騒然となった。泊原発3号機の最終検査結果について、経済産業省原子力安全・保安院が「技術上の問題はない」と報告。斑目春樹委員長は「定期検査は規制行政庁である保安院が責任をもって行うも のである」と述べ、委員会としての判断を示さなかったのが原因だった。
泊原発が営業運転を始めれば、震災後は初めてのケース。これを機に、政府は全国の定期検査を終えた原発について、運転再開に一気にかじを切る可能性もある。
今月一日には、道内の三十八人が、営業運転再開を認めないよう国に認めないよう国に求める訴えを札幌地裁に起こした。原告団共同代表の泉かおりさんは「福島の原発事故の検証や安全指針の見直しが終わらない中、営業運転を再開することは許されることで はない。全国の原発の安全問題に影響する」と話す。 (東京新聞8月13日から抜粋)
★3.安全以上に信頼が重要 田坂広志 菅内閣官房参与に聞く
【原発の問題点】
東京電力福島第一原発事故後に内閣官房参与に就任し、事故対応やエネルギー政策で菅直人首相に助言を続ける田坂広志多摩大教授に聞いた。
―事故が日本の原子力政策に与えた影響は。
「これまであいまいにしてきた問題がすべて白日の下にさらされ始めた。原発の規制官庁と推進官庁が同じ組織にあることは誰もがおかしいと思っていた。『安全神話』だけでなく、原子力(の発電コスト)は安いという『安価神話』も疑われ始めている。放射性廃棄物の最終処分問題にも注目が集まるだろう」
―内閣官房参与としての問題意識は。
「私はもともと原子力の技術者。日本の技術こそが世界で最も安全な原子力を育てていけると信じていた。しかし世界の原子力事故の大半は組織や制度が原因だ。日本の組織や制度に、私も懸念を抱いていたが事故を止められなかった。その責任感からこの仕事を引き受けた」
「菅首相の延命策との批判もあるが政局に興味はない。誰が首相であろうとも、国民の立場に立って原子力行政の信頼回復と原子力政策の転換を進言するのが私の仕事」
―玄海原発の再稼働問題をどう見るか。
「安全と安心以上に重要なのは『信頼』。『安全だ』と言っている主体が信頼されなければ全く意味がない。従来のままの原子力安全・保安院が、従来のルールで確認して安全宣言を出し、地元首長も了承したから再稼働、という3月11日以前の手法では国民の信頼と納得は得られない」
―再稼働を前にした新たな安全評価の実地表明は、唐突に映った。
「官邸は思い付きで動いているわけではないが、いつも説明が足りないため誤解が生じる。それが残念だ。手順論で混乱が生じたことは遺憾だが、結果として国民の信頼を得られる方向になったのではないか」 (8月8日付 デイリー東北より抜粋)
★4.「ミツバチの羽音と地球の回転」チャリティー上映会 in 柏市
・日時 2011年8月14日(日曜日) ・会場 アミュゼ柏プラザ(1階) / 柏市柏6-2-22 ・プログラム 開場9:40 ①10:00~12:15 ②12:45~15:00 15:00~鎌仲監督トークショーA ③16:15~18:30 18:30~鎌仲監督トークショーB
・参加費 前売り(事前申し込み)1000円、当日1200円、学生500円引き トークショーのみ500円(学生300円)
・問い合せ、事前申し込み e-mail rikakkuma@jcom.home.ne.jp 電話 090-4747-4192 越まで
収益金はすべて東北の被災地と山口県祝島に寄付します。 ・主催 リカックマクラブ http://members3.jcom.home.ne.jp/rikakkuma/
★5.たんぽぽ舎夏休みのお知らせ
たんぽぽ舎(5F)は8月12日(金)~18日(木)の一週間夏休みです。
業務はお休みです。ご了承下さい。 なお、地震と原発事故情報は、夏休み中に2~3回発行できるよう努力します。
又、スペースたんぽぽ(4F)は16日(火)と18日(木)も学習会開催のため開いています。 16日(火)初めて又は2~3回程デモに参加した人をサポートする学習会 放射能と原発の基礎知識、デモ参加の感想、心得・今後等を話し合う。 18日(木)ストレステストはいんちきだ!8/18学習会 (柳田真)
たんぽぽ舎 たんぽぽ舎は、月曜~土曜- 13:00~20:00のオープンです。 日曜・休日は、お休みです。 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797 HP http://www.tanpoposya.net/
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