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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年07月08日23時50分掲載
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コラム
動いてみないとわからない 村上良太
外国に取材に行けるようになったのは僕の場合はもっぱら9・11同時多発テロ事件以後だ。それまでの数年は外国取材が減少しており、外国取材をもっぱらとする番組枠のスタッフでなかったら難しかった。それがテロ事件をきっかけに海外の動向が戦争を含めて再びニュースに取り上げられるようになった。
だが、外国取材の経験が不足していると、初めて行く土地土地で勘違いや誤解、自分の無知を思い知ることになる。たとえばヨルダンの首都アンマンに取材に出かけた時だ。中東と言えば、砂漠という印象があった。だから、アンマンがどんな町なのか最初はぴんと来なかった。映画「アラビアのロレンス」のような砂漠をラクダが走っていくシーンが目に浮かぶ。砂漠の中にオアシスが点在しているイメージだ。水筒とか日よけ帽とかコンパスとか、持っていった方がいいのか・・・。遭難した場合の非常食はどうか。ところが行ってみると、アンマンは普通の町だった。水道があるし、団地があるし、映画館もあればタクシーもある。町中、子供がわんさといる。昭和40年代の日本によく似ている。子供の割合が多いと、町は明るい。
当たり前だが、そんなところから無知だった。モスクワに冬の12月に取材に行った時もそうだった。出発直前、モスクワを20年ぶりの大寒波が襲い、数十人凍死したというニュースが入ってきた。その寒さを東京で想像することは不可能だ。プロデューサーがシベリアに行っても大丈夫そうな上着を貸してくれた。頭も防寒帽をかぶり、靴も冬山登山用の靴を履いていった。ところがモスクワに着いてみると、さして寒くない。外は寒いのだろうが、屋内は相当暖房がきいているので、厚手の服はかえって無粋なばかりか、本当に暑くて汗が出てくる。
そんな遠い国でなくても、1メートル先のことは1メートル先に行ってみないとわからないものだ。今の立ち位置から見える視界と1メートル先の視界は違っている。だから、優れたカメラマンは最適のアングルを探して、動いてみるものだ。ウッディ・アレン監督のカメラマンをつとめたゴードン・ウイリスは15センチもカメラの高さが違っていれば映像はまったく違った世界になるとまで語っている。10メートル先のことは1メートル、1メートルと進んでいく中で初めて見えてくるものである。10メートル先はこうなっているというのは想像に過ぎない。
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ヨルダンの首都アンマンの通り
アンマンの子供たち
アンマンの子供たち 団地で遊んでいる
揚げ物屋
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