通常、裁判というものは「訴え」があり「反論」があるものです。東電株主訴訟側は既に訴状においてその「訴え」をしています。次は被告側の「反論」なのですが、未だにそれがありません。 そこで、取締役が自分たちの言い分を書いて出してくるまでの間、こちら側が「とっても狭い地震大国で大量の原発が作られ続けた結果、どんな危険があるか」と「それだけ原発を作り続けたわけ」を裁判所と傍聴人と被告(ただし口頭弁論には被告は誰も来ないので実際には弁護人に対し、ですが)を行うこととしました。
第2回口頭弁論期日はまだとっても暑い9月13日に開かれました。
まず河合弁護士による原発推進の歴史が紹介されました。 ポイントはやはり「核武装への野望」と、見果てぬ夢「無限のエネルギーを開発する」そしてそれを支えてきた「原子力ムラの構造」でした。
核武装の野望があったから巨大な原子力利権構造が構築され、莫大な税金が及び電気料金(いずれも私たち国民から巻き上げたお金です)が投入されてきました。それを支える日本と米国の核兵器開発企業群と原子力マフィアとも言える産官学マスコミ労働組合、実に日本の基幹産業の7割近い規模がこれに関わってきたことを図で示し説明されました。それにはマスコミや広告代理店などが自治体も一体となり「安全神話」という名の教育を含めた洗脳が行われ、 原発の根拠なき安全性が拡大再生産されていきました。
次は、日本各地の原発裁判に取り組んできた海渡弁護士による原発の危険性が解説されました。
原発の構造は、電力や国が出す図や、それを引用するマスコミの報道からはかけ離れた複雑で、脆弱かつ複雑なものであることを実際の写真や見聞で説明されました。 例えば制御棒駆動機構は、地震に遭遇すれば3秒以内で直ちに炉心挿入されるとされ、それに呼応するように一般に見られる図では高圧の空気で一気に挿入できるように書かれていますが、実際には長い距離を直径数センチのパイプで圧力を送り、ようやく挿入できる装置です。その配管は100本以上が束で引き回され、大きな揺れに遭遇すると破断してしまうような脆弱なものと指摘されました。
また、実際に地震に遭遇した柏崎刈羽原発の当時の状態を紹介し、地盤沈下などの衝撃的な有様を裁判長以下、法廷の人々に示して、説明をされました。
長時間ではありませんでしたが、福島原発震災以来誰もが疑問に感じてきた「地震大国がなぜ原発大国になったのか、その原発はどんな装置なのか」が明確になったと思います。
次回以降は、いよいよ取締役の責任を巡る攻防が始まるでしょう。
第3回以降の期日が以下の通り、指定されました。
第3回 11月16日(金) 10時30分 東京地裁103号 第4回 12月13日(木) 10時30分 東京地裁103号 第5回 1月10日(木) 10時30分 東京地裁103号 第6回 2月21日(木) 10時30分 東京地裁103号
どうぞ、多くの皆さんの傍聴をお願いします。被告や東電取締役はもちろんのこと、東電以外の原発を持つ電力会社全てに対しての大きなプレッシャーになっています。原発訴訟はこれからもどんどん起こされますが、そのうちに再稼働した原発で事故が起きたら、その責任はこれまで以上に重く問われることになる、それでも原発の再稼働をしたいですか、という問いかけになっています。その訴訟で傍聴人やマスコミで常に満席になる。そのような取り組みにし ていきたいと思います。 よろしくお願い申し上げます。
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