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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年11月21日12時41分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】浜岡原発の前面砂丘「防波堤」と「防波壁」<下> 津波を防ぐどころか津波の海水を閉じ込めるだけ 山崎久隆
対策の目玉は海抜18mに達する「防波壁」だ。しかし「海抜」というところがミソで、「壁」そのものは10〜12mほど しかな い。建設する場所の敷地の海抜がもともと8〜6mほどあるので、その上に建てる「壁」の高さは最大12mだという。基礎には鉄筋を入れて、一見すると頑丈そうに見えるが、その上が張り子だった。内部が空洞の鋼鉄製の「ハコ」を積み上げており文字通り「張り子」構造である。
◆防波壁は張り子だった−釜石市の防波堤の無残な破壊(先例)
これで何を防護しようというのか。相手は「津波」である。
中部電力も施工したゼネコンも、石巻や宮古の堤防がどうなったのかを知らないらしい。海の底から海上に至るまで、あるいは町を取り囲む万里長城のような装甲防壁をいとも簡単に吹き飛ばし、ばらばらにしたのが3.11の津波だ。
津波は単なる「水」ではない。発生した地点から陸に向かって突進する津波は、最初はほとんど海水だが、海底が浅くなるに従い海の底を「浚渫」しながら進む。海底土壌を岩石ごと引きはがして持ち去る。さらに海底が急速に浅くなると、スピードが 落ちると同時に、津波の推進方向にあった運動エネルギーが海底の岩石を巻き上げ、 同時に波高の増大に変わる。水深1000mでは時速 360kmが、30mでは時速30km、10mでは時速10kmにまで変化し、そのエネルギーが海面を持ち上げる方向に変わる。海の水が海底に行く手を阻まれるために、海底には巨大な土石流が発生する。これが陸に達する直前に遭遇する最後の障害物が防波堤だ。防波堤は「水」ではなく海底土石流の直撃を受ける。
ギネスに載った「世界最大の防潮堤」釜石市の防波堤が無残にもばらばらに破壊された原因は、津波のエネルギーがとんでもなく巨大だったことだが、その原因は海底土石流の直撃だった。
さて、ギネスには到底載りそうのない浜岡防波壁だが海底構造はまさしく、津波の巨大化が最も懸念される「遠浅」である。
◆浜岡原発で起きること
浜岡原発の沖合には5基分の取水塔がある。その場所は海岸から600m沖合だが、水深はわずかに6mしかない。浜岡には専用港がないので、原発の海側には何の障害物もない遠浅の海だ。福島は防潮堤があったので専用港内はそれでも津波の高さは若干低くなったが、浜岡は全く逆で原発の両側にある川の先は水深が深く、浜岡原発の前面海底が浅くなっているため津波は浜岡原発に向かって高 くなってくる。
福島でも棚倉地区のように海底が浅い海の海岸線は周囲から津波が集まりやすく、波高が高くなることが実証されている。浜岡でも「御前崎海脚」という海の中でも浅くなっている部分が付きだしているので、原発に襲いかかる津波が高くなる。そのうえ浜岡沖は川に挟まれた遠浅の海である。津波は沖合から両側から、土石流となって押し寄せる。
仙台平野を突き進む津波、気仙沼港から溢水し町を呑み込んだ津波は、どれもどす黒く、まるでヘドロのように見えた。これは海底土壌を巻き込んだからだ。
貞観津波では内陸5kmまで到達したことが地層調査でも分かっている。今回のはそれをも上回るだろうと、東北大学は解析している。巨大津波とはそういうものだ。
津波は海底土石流を伴い大量の土砂が浜岡原発に襲いかかる。その際防波壁を突破して原発敷地内に大量に侵入し、同時に周囲の川からも遡上して左右から浜岡原発を呑み込み、敷地を覆い尽くし、泥沼に沈むことになる。さらに防波壁と砂丘が邪魔をして容易には引かない。そこに放射性物質が大量に注ぎ込み、水深10数メートルの放射能の泥沼となって覆い尽くされる、そんな悪夢の光景が目に浮かぶのは私だけで はないだろう。
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