・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・農と食
・入管
・市民活動告知板
・核・原子力
・国際
・文化
・欧州
・アジア
・イスラエル/パレスチナ
・人権/反差別/司法
・反戦・平和
・教育
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
・スポーツ
・司法
・政治
・コラム
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年09月12日
・2024年09月10日
・2024年09月09日
・2024年09月08日
・2024年09月07日
・2024年09月06日
・2024年09月04日
・2024年09月03日
・2024年09月02日
・2024年09月01日
|
|
2014年02月13日21時20分掲載
無料記事
印刷用
核・原子力
【たんぽぽ舎発】原発を「重要なベース電源」とする主張は誤り(その1) 「震災の教訓」の欠如、「未来への責任」の欠如 山崎久隆
2月1日午前10時から、BS朝日の「激論クロスファイア」で「日本の原発を今後どうする!?」と題して、京都大学原子炉実験所山名元教授と多摩大学大学院田坂広志教授が議論をしていた。とはいえ、特に原発反対と賛成という違いがあるわけではなく、原子力を利用する立場からの問題点の議論だった。しかし論点の前提条件に大きな違和感を感じたので、何度かに分けて原発再稼働への反論をする。
◆原発はベース電源として備えるべき条件を満たしていない(落第生)
まず、原発が「ベース電源として重要」とした政府の「エネルギー基本計画案」(1月中にパブリックコメントにかけて以降、2月11日になっても閣議決定されず、19000件の意見に加えて与党内部にも強い批判があることが決定できない要因)について、山名教授は「そのとおり」としながら、石炭と原子力は一定の出力で昼も夜も電力を安価に一定量を供給する「ベース電源」に適しているとの趣旨で発言をしていた。 これは大いなる誤りである。原子力は、ベース電源として備えるべき条件を満たしてなどいない。
原発が稼働しているときには、柔軟な出力調整が出来ないため100%の全出力で運転し続けるのでベース電源「的」にしか使えない。また、電力会社の都合としても、ベース電源「的」に使うのが最も利益を生むから、そうしているだけの話である。
原発の場合、ウランの核分裂反応は細かい制御が難しい。制御に失敗したらチェルノブイリ原発事故のような暴走事故にもなりかねない。しかも制御可能なのはせいぜい25%程度の出力減少のみで、それを実施しても燃料が長持ちするわけではない。結局4年で交換することに変わりはない。火力のように調整した分だけ燃料費が浮くわけではないのだ。
燃料の性質と運転管理がベース電源に向いているだけで「ベース電源として重要」などとは単なる暴論だ。
◆ベース電源は、よほどのことがない限り止まってはならない。
例えば東北地方太平洋沖地震級が発生しても稼働停止しないか、あるいは停止してもすぐに復旧できることが重要なのである。災害時に電力供給を絶たれることほど恐ろしいことはない。そんなことは常識だ。
火力の例を見ればさらに明確である。東電の発電所では、石炭火力やLNG火力では、広野火力(6、7月に復旧)など津波災害を受けたり震源に近かった発電所を除き3、4月中にほぼ復旧している。その後も常陸那珂火力2号(石炭100万kw)の前倒し稼働などで3月以降は、いわゆる「計画停電・電力不足」に陥ること無く現在まで供給不足も起きていない。
一方、原発は北は青森県の東通1号(東北)から茨城県の東海第二(原電)まで合わせて15基の原発があったが、全滅した。これらは浜岡原発のように停止要請があって止まったのではない。地震と津波の損傷により、稼働不可能になったのである。 同様の事態が南海トラフの巨大地震で起きれば、浜岡、伊方、川内原発合わせて10基は、仮に破壊されなくても、ただちに止まる。地震の揺れ具合によってはさらに島根、玄海に加え若狭湾の13基も全部止まる。合わせて30基の原発が一斉に止まる。
◆日本では大きな地震により原発が複数止まる事態はこれまでに何度も起きているし、今後も続く。
2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発7基が全部停止し長期にわたり稼働できなくなる事態が起きた。そんなものが重要なベース電源になるはずがない。 阪神淡路大震災のときは神戸が地震の直撃を受けたが何処の原発も比較的遠くにあり揺れが小さく止まらなかったため、そのことにあまり注目されなかった。
いったん地震で停止した原発は被害が無いことを確認しなければ再稼働できない。「地震加速度大」のスクラムポイントは水平加速度120〜200ガルで震度に換算すると5程度である。柏崎刈羽原発のように原発そのものが震源域真上にあり、震度7の揺れに襲われば、放射能放出事故を引き起こさなくても何年も稼働不可能になる。再起動に長期間かかる電源では最も必要な時期に被災地に電力を送ることが出来ないのだ。大災害時に真っ先に戦線離脱を余儀なくされる原発はベース電源として使えない。石炭火力なども地震時には停止するが、おおむね400ガル(震度7)以下ならば設備に破壊が無ければ一日以内の再起動は困難ではないとされている。東北地方大震災で貯炭場が津波で被害を受けた東北電力の石炭火力さえも、おおむね半年程度で再稼働している。
今後日本では、大きな被害を伴わなくても震度5程度の地震は頻発するとの主張は地震学者に共通している。発電所を含むインフラは、これらに容易に破壊されるようでは困るわけで、耐震性向上や事業継続性確立の取り組みは極めて重要だが、原発は原理的にそれが無理だ。補修作業をしながら部分稼働させることさえ出来る火力とは、全く異なるのである。 (続く)
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|