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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2015年06月06日11時55分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】真下で起きるM8クラスの地震に川内、伊方原発が耐えられると事業者や規制委は言い切れるのか 山崎久隆
原発再稼働を前に、自然の猛威はひたひたと原発に迫っているように感じる。 川内原発が立地する南九州は火山列島そのものである。阿蘇山、桜島は現在進行形で噴火を繰り返し、東日本太平洋沖地震の前年には宮崎県の霧島山、新燃岳が噴火している。そして5月29日には口永良部島が昨年8月に引き続き、マグマ水蒸気爆発を起こした。その衝撃が続く中、翌30日午後8時23分頃、遠く太平洋上の伊豆小笠原海溝の近く、小笠原諸島の西方沖を震源とするマグニチュード(Mj)8・1(当初は8.5から下方修正)の地震が発生、小笠原諸島の母島と神奈川県二宮町で震度5強を観測した。震源の深さは約682キロ(こちらも当初590キロから下方修正)と、深発地震であったことで遠く北海道から沖縄までの全国各地で揺れが観測された。大きな震度が震源からの距離に比例しない「異常震域地震」であることも特徴である。
◆知られていない地点で大地震か
地震が起きたのは、伊豆小笠原海溝に近い地点で、太平洋プレートがフィリピン海プレートに潜り込んでいる先の太平洋プレート内で起きた。 しかし少しおかしな点がある。この位置では太平洋プレートがフィリピン海プレートに潜り込む深さは250kmほどである。実際に大小沢山の地震が毎日のように起きているのだが、それはもっとずっと浅い位置。深度682kmというのはプレート内としても余りにも深い。こんな深くでは、この地点では、これまではさほど大きな地震は起きていないと思うので、その点に限れば「想定外」の出来事か。予測どおりに起きる地震はほとんど無いという証拠では無いだろうか。 ただし伊豆小笠原海溝付近の地震は歴史上いくつか知られている。延宝房総沖地震などだ。また、巨大津波で 西日本各地に大規模な被害が出た1707年の慶長地震は、南海トラフの地震だとしたら説明が付かないこともあり、この伊豆小笠原海溝付近の地震ではないかとの説もあるという。
◆西之島新島と地震
東日本太平洋沖地震により日本各地は地震と火山の活動期に入ったと見られている。最近、世界で起きたマグニチュード9以上の地震では、その後に大規模な火山噴火や誘発される地震が起きている。チリもインドネシアも例外ではなかったし、日本も例外ではない。 現在、箱根・大涌谷や富士山などの噴火が迫っているのではないかとの懸念が高まっているようだが、その前に現在噴火している火山を忘れていないだろうか。 この火山は「西之島新島」。フィリピン海プレートに潜り込む太平洋プレートの「火山フロント」である。東日本太平洋沖地震によりプレート境界面に何らかの応力が掛かった。そのため西之島新島で大きな噴火に繋がったが、これだけではプレート間地震と火山の関係が説明出来ない。
火山の噴火は、地中のマントルに水が作用してマグマが生じ、それが地表面に出てくることで起きる。すなわちプレート内部に含まれる大量の水(海水)が火山のエネルギー供給に寄与している。西之島新島が噴火を続けているのは、太平洋プレートとフィリピン海プレートに含まれる海水が大きく寄与している。
◆異常に深い地震の意味は
深発地震とはおおむね200km以下の深い地点で起きる地震を指すが、682kmなどという深さはあまり例がない。(2004年のマーシャル諸島770kmとか、全くないわけではないが)このような地震は、沈み込む海洋プレート(スラブという)の内部で起きると考えられるが、一般に深度が深くなればスラブが地熱で暖められ、剛性が低下して地震は起きにくくなる。ところが今回、太平洋プレートのスラブ内でマグニチュード8.1の地震が起きたということは、このような大深度でも大きなエネルギーを放出するほどにスラブの剛性があることになる。
さて、日本列島内部には太平洋プレートとフィリピン海プレートが潜り込んでいる。いずれのプレートもスラブ内地震を沢山起こしているが、その上限規模がスラブの厚さと深さによって規定されてきた。つまりあまり深くまで地震を起こすほど剛性を有しないとか、プレートの厚さが薄ければ大きな地震を起こさないといった類のものである。
しかし今回、太平洋プレート内の地震としては想定を超える深度で、想定を超える地震が起きたことは大変重い。
川内原発はおよそ200キロほどの位置に太平洋プレートのスラブが沈み込んでいる。伊方原発はわずか40キロほどの位置に太平洋プレートが存在する。
いずれもマグニチュード8を超えるスラブ内地震を想定していない。真下で起きるマグニチュード8クラスのスラブ内地震にも、両原発が耐えられると事業者や規制委は言い切れるのか。
その答えは再稼働前に明らかにしなければならない。 原発震災を繰り返したくないと思うのならば、両原発の再稼働は拒否しなければならない。
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