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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2018年09月12日09時44分掲載
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反戦・平和
軍事研究と平和憲法��「安全保障のために」ふくらむ予算 矢倉久泰
平和憲法を掲げて戦争を放棄した日本は、二度と軍事に関わらないことを固く誓ったはずですが、このシリーズ�´△埜�てきたように、早くも1950年代から軍事産業が復活し、米軍の資金で軍事につながる研究をする大学教授も現われました。3回目は�,梁海�で、1990年代からの、ますます拡充する軍事研究の動向を報告します。
▽自衛隊の海外派遣 1991年1月、湾岸戦争が起きます。海部俊樹内閣は米軍に1兆2000億円ものお金を提供しました。それでも米側は「日本はお金だけ出して、血を流さないのか」「オン・ザ・ブーツ・グラウンド」(軍靴をはけ⇒地上部隊を出せ)」と不満たらたらでした。このため日本政府は4月に海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣して機雷探索など米軍艦艇の安全航行の確保に協力しました。自衛隊の初の海外派遣でした。ここから自衛隊の海外派遣が始まります。
翌1992年6月、国会でPKO(国連平和維持活動)協力法が成立し、空陸海の自衛隊を海外に派遣することができるようになりました。ただし、憲法上の制約から戦闘に参加せず、道路補修など後方支援に限るという条件を付けました。しかし、1993年、カンボジアに選挙監視活動のために派遣されたボランティアの中田厚仁さんと文民警察官の高田晴行さんが襲撃されて死亡しています。
▽「安全保障」のための宇宙開発 1998年8月、北朝鮮が弾道ミサイル「テボドン」1号を発射し、日本の上空を越えて太平洋側の三陸沖に落ちました。泡を食った小渕恵三内閣は北朝鮮の弾道ミサイル対策として、その年の12月、第3次補正予算に情報収集衛星(偵察衛星)の開発費を盛り込み、2002年度に4機打ち上げをめざしました。そして、宇宙の軍事利用の技術研究が始まります。その推進を求めたのが経団連です。
北朝鮮の「テボドン」発射や、宇宙の軍事利用を進める米ソなどの動きに刺激され経団連は2004年7月、「今後の防衛力整備のあり方について――防衛生産・技術基盤の強化について」を提言、その中で「安全保障分野における宇宙の活用」を挙げました。宇宙の軍事技術開発の必要性を訴えたのです。
それに呼応して、宇宙基本法が2008年5月、民主党政権下で制定されます。宇宙開発の目的に「我が国の安全保障に資する宇宙開発利用の推進」を盛り込み、宇宙の軍事利用に道を開きました。これを受けて防衛省はさっそく「宇宙開発利用に関する基本方針」を策定し、「安全保障分野において宇宙の活用を図る上では、世界最先端の技術を追求する必要がある。その際、民生と防衛との効果的なデュアルユース化が進んでいることに留意し、民生活用を含む研究開発を実施することが重要である」としました。民生用の宇宙研究を軍事用に利用しようというものです。
なんと、この宇宙基本法は民主、自民、公明の3党による議員立法で、国会での審議はわずか4時間。軍事利用に歯止めがかからなくなるとの懸念に、法案提案者は宇宙基本法第1条に「憲法の平和主義の理念を踏まえて」とうたってあるから、「問題ない」と言いました。
しかし、2012年6月、野田内閣は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の役割を定めたJAXA法を改訂し、「平和目的に限る」が消え、「防衛分野の研究も可能」にし、防衛省との宇宙開発の共同研究が始まりました。
▽衛星の軍事的役割 どんな研究をしているのか。情報収集衛星(スパイ衛星)、準天頂衛星(GPS衛星を補完する衛星)、Xバンド防衛通信衛星(軍事用通信衛星)といったものです。現代戦には衛星の軍事的役割が欠かせなくなっているということです。
この宇宙開発の方針を受けて、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構は2015年2月、情報収集衛星を搭載した国産ロケットH2A27号機を種子島宇宙センターから打ち上げました。この衛星は北朝鮮の軍事関連施設などの監視を主目的にした軍事偵察衛星です。超望遠デジタルカメラを搭載した「光学衛星」と、夜間や曇りでも地表の様子が分かる「レーダー衛星」の機能があり、地上のあらゆる地点を24時間以内に撮影できるというシロモノ。所管は内閣情報調査室というから、「スパイ衛星」そのものです。
その35号機が2017年8月19日、種子島宇宙センターから打ち上げられました。続いて10月10日には36号機が打ち上げられました。いずれも全地球測位衛星GPS「みちびき」を乗せています。「みちびき」は米国のGPSを補う信号を出す衛星で、GPSと一体で利用すれば、これまで地上の測位誤差が10mだったのが6�僂泙能未瓩襪海箸�できるといいます。これだと北朝鮮の車両ナンバーも読めるわけで、北朝鮮の動向を空から監視できるわけです。政府は位置情報を安定して提供するために2023年度を目途に7機体制にする予定だそうです。(「朝日」2017年10月10日朝刊)
2010年10月、遠い宇宙の「イトカワ」という小惑星を探査する「はやぶさ」が、一時は連絡が途絶えたものの、7年ぶりに地球に戻ってきました。小惑星の構成物質などを調査するためにサンプルを持ち帰ったのですが、この「はやぶさ」も、実は軍事利用が可能と指摘されました。打ち上げに使った固体燃料は軍事用に適しており、衛星を軌道に乗せる技術や地球帰還の予定地点も想定地のわずか1�劼靴�外れていなかったので、大陸間弾道ミサイルの技術に使えるというのです。そう指摘したのは、実は自衛隊北部方面総監を務めた志方俊之氏です。
第二次安倍政権下の2016年4月には、宇宙基本計画が閣議決定され、宇宙開発の第一目標を「宇宙安全保障の確保」とし、宇宙政策委員会に安全保障部会が新設されました。今の部会長代理は元航空幕僚長です。
▽原子力も軍事に利用 一方、1955年に「平和利用のために」制定された原子力基本法も、民主党政権は福島第一原発事故を受けて2012年6月に改定し、原子力の利用について「我が国の安全保障に資することを目的」とすることを追加しました。これに対して「世界平和アピール七人委員会」(湯川秀樹博士らが1955年に設立)は、「原子力を実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」と、改正案の撤回を求めましたが、無視されました。原子力の研究は核兵器の開発につながる恐れがあります。
宇宙開発も原子力も、「我が国の安全保障のために」という名目で、軍事利用の研究が進められているのです。(つづく)
(参考文献:杉山滋郎「『軍事研究』の戦後史」ミネルヴァ書房、池内了ほか「『軍学共同』と安倍政権」新日本出版、「毎日」「朝日」「東京」)
*「子どもと法・21通信」憲法リレートークNO2(2018年3月発行)から転載
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