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2018年12月12日23時14分掲載
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欧州
「黄色いベスト」運動を私はこう見る ルイーズ・ムーラン氏 「立ち上がる夜」の参加者・デザイナー Louise Moulin ,participant of "Nuit debout " (designer & activist )
フランスで今、黄色いベストを着用した人々の政府への反対運動「黄色いベスト」がメディアの注目を集めています。振り返ると2年前の2016年3月から8月ころまでフランスでは政府への異議申し立て運動が行われ、「立ち上がる夜」と呼ばれました。しかし、「立ち上がる夜」は日本ではほとんど報道されませんでした。一方、今回の「黄色いベスト」は日本でも報じられています。2016年の「立ち上がる夜」と今回の「黄色いベスト」はどういう違いがあるのか、どういう共通項があるのか。「立ち上がる夜」に参加したパリ在住のルイーズ・ムーランさん(デザイナー、活動家)に聞きました。
Q 「立ち上がる夜」と「黄色いベスト」の違いは何ですか?
(ルイーズ・ムーラン) 答えるのは簡単ではありません。「黄色いベスト」は「立ち上がる夜」よりももっと大衆的な運動です。「立ち上がる夜」ではパリが運動の中心にありましたが、「黄色いベスト」ではパリ以外の場所が中心になっています。また「黄色いベスト」は毎月、食べていくのだけで手いっぱいの、低所得の人々が担っています。
「黄色いベスト」の運動はディーゼル燃料への課税から始まったのですが、マクロンが人々の憤りに耳を傾けなかったために、要求は瞬く間に拡大し、次第に「立ち上がる夜」の時のように多くの人々が集まってきました。議会制民主主義が行われていないと言う批判、(庶民とは対照的な)企業を優遇する政策、支配的なメディアへの批判などなど。
さらに、今回の「黄色いベスト」では市民がイニシアチブを持つ形での国民投票を求める声が上がっています。一方、「立ち上がる夜」との違いとしては、「黄色いベスト」には極右勢力の人々も参加していることがあります。「黄色いベスト」には(「立ち上がる夜」と同様に)運動にリーダーもいなければ広報部もありません。彼らはそれを力にしています。というのも、政府が交渉できる人物がいないからです。私の恐れはマクロン大統領が今夜(10日の夜)予定している演説が人々を和らげることなく、人々の怒りがさらに大きなものになって、その結果として極右が人々の不満の声の受け皿になってしまうのではないか、ということです。
インタビュー 村上良太
※「黄色いベスト」の参加者を「貧困者」と記すのは違うのではないか、というご指摘をフランス在住のRyoka氏からいただいたことをここに付記しておきます。Ryoka氏はフランスは社会保障制度が発達しているために低賃金であっても社会保障でカバーされる範囲が大きく、貧困というよりむしろ、「購買力」が下がっている状態といった方がいいと言います。 何をもって貧困とするかは単純ではありませんが、ただ単に食事も事欠く人たち、というように受け取られられるとすると、実情とことなるのかもしれません。現地の報道などでよく表現されているのは月々の家賃やガソリン代や電気代を支払うのが簡単ではなくなってきている、そういった状況の人は少なくないようです。
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ルイーズ・ムーラン氏(デザイナー、活動家) Louise Moulin, designer and activist. ムーラン氏は「立ち上がる夜」では職能を活かして毎晩の集会で用いる印刷物やポスターなどのデザインを担当していた。
村上良太著「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」社会評論社刊。320ページ。「立ち上がる夜」という運動は2016年3月31日に始まり、パリの共和国広場に毎晩数千人の市民が集まった。同年8月ころに広場から人々は撤収したが、この運動で形作られた人々の連帯は今日も続いている。





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