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2019年10月16日22時49分掲載
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検証・メディア
それは「抑止力」 「北朝鮮の脅威」をマスメディアが的確に説明 Bark at Illusions
今月2日に朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行った。朝鮮中央通信(19/10/3)は発射実験に成功したと伝えているが、実際に運用するには潜水艦の性能も向上させなければならず、実戦配備にはまだ時間がかかるようだ。マスメディアなどが伝えるところでは、朝鮮のSLBMが運用可能になれば、「北朝鮮の脅威」は高まるのだという。その理由について、マスメディアは的確な説明をしているが、それは同時に私たちがどんな世界に住んでいるかを考える上でも示唆的なものだ。
SLBMが「北朝鮮の脅威」を高める理由について、マスメディアは概ね以下のように説明する。
「潜水艦からの弾道ミサイル発射は攻撃の兆候を把握しにくく、奇襲性が高いため、関係国にとっては安全保障上の脅威となる」(朝日19/10/2 夕刊)
「潜水艦は地上発射よりも事前探知が難しい。その分、行動範囲が広がり、安全保障上の脅威は格段に増す」(毎日19/10/3 社説)
「SLBMは海中を移動する潜水艦から発射するため、地上から打ち上げるミサイルに比べ探知が難しい。潜水艦が太平洋を進んで米国周辺に近づけば、米本土への攻撃も可能になる」(日経19/10/4)
しかしSLBMは既に米国やロシア、中国も保有している。米国やロシア、中国のSLBMは脅威にならないのに、なぜ朝鮮のSLBMが実戦配備されると脅威になるのか。前出の各紙による次の説明で、私たちはその理由を知ることができる。
「北朝鮮の狙いは、米国から本土が先制攻撃された場合でも、潜水艦からソウルや東京に核兵器で報復できると示すことだろう。先制攻撃への抑止力を狙ったものだ」(元自衛艦隊司令官・香田洋二、朝日19/10/3)
「SLBMが使用可能になれば、北朝鮮は米国に攻撃されても潜水艦で米本土などに近付いて反撃でき、抑止力が高まります」(毎日19/10/11)
「北朝鮮が本土を先制攻撃されても海中から反撃できるため、北朝鮮への先制攻撃に対する抑止力になるとも指摘されている」(日経19/10/4)
まり「北朝鮮の脅威」とは、米国の「先制攻撃」に対する朝鮮の「抑止力」という事になる。
平和や公正な世界を求める者にとって、マスメディアの情報が有益なのはここまでだ。マスメディアは暗黙のうちに米国が「先制攻撃」を行うことを当然の権利として認める一方で、米国の「先制攻撃」の対象となるかもしれない国に住む人々が感じている「脅威」については関心を示さない。過去に米国の攻撃で国を破壊し尽くされた朝鮮はもちろん、イラクやアフガニスタン、リビアなど、米国に対する有効な「抑止力」を持たなかった国家がことごとく破壊され、人々が殺され、その罪を問うことも賠償を求めることもできない現実世界で、彼らの感じる脅威は、よりいっそう切実で現実的なものだというのに……。
超大国が思うままに暴力を振るう自由が制限されれば「脅威」と捉える幼稚な論理が何の疑問もなく受け入れられ、攻撃対象となり得る側の「安全保障」は全く考慮されず、自分たちを守る権利すら彼らには与えられない。前世紀までと変わらぬ不公正で帝国主義的な世界。それが「国際社会」の現実だ。
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