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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2020年04月13日19時47分掲載
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政治
安倍とコロナ危機から脱するための闘い Bark at Illusions
新型コロナウィルスの感染拡大と医療崩壊を防ぐために、安倍晋三は今月7日、東京や大阪など7都府県に対して緊急事態宣言を発令した。有効なワクチンや特効薬がない現在、人と人との接触をできるだけ避けることだけが、感染の拡大と医療崩壊を防ぐための唯一の手段だ。社会生活にとって必要不可欠なインフラや医療・福祉サービス、報道、それに生活必需品の生産・購入に関わる場合を除いて、全ての経済活動や人の移動は全国的に自粛されなければならないだろう。緊急事態宣言の対象地域が限定されていることや、経済活動への影響と財政支出を極力抑えようとしている安倍政権の方針に強い危機感を覚える。
今回の緊急事態宣言発令について、私権や人権を制約することになるとか、安倍晋三のさらなる独裁につながるのではないかなどと危惧する声がある。しかし我々は今、安倍政権によって自由が制限されているのではなく、新型コロナウィルスによって自由な活動が制限されている。政治的に自由な社会で暮らす我々市民は、政府の命令によってではなく、自分たちの健康と社会を守るために自主的に家に閉じこもるのだ。
実際、経済への打撃を恐れてか憲法改定の口実づくりのためか、緊急事態宣言を出し渋る安倍政権を後押ししたのは、最前線で闘っている医療関係者や感染が拡大している自治体の知事、それに世論の声だった。日本医師会や東京都医師会は政府に対して緊急事態宣言を出すよう求めていたし、小池百合子東京都知事や吉村洋文大阪府知事も宣言の発令が必要だと訴えていた。また宣言が発令される直前の4月4日と5日に行われたJNNの世論調査では80%の人が緊急事態宣言を「出すべき」だと回答している(「出す必要はない」は12%)。安倍晋三は、医療関係者や自治体、市民の要請に応えて、市民が連帯して闘うための合図を出したに過ぎない。
確かに、緊急事態宣言を出す根拠となる改定新型インフルエンザ等対策特別措置法は、宣言の発令要件が曖昧で国会承認の必要もないため、恣意的に運用されたり独裁につながりかねないという問題や、人権の制約に歯止めがないなど重大な欠陥がある。しかし明確な発令要件や国会承認の手続きがあろうとなかろうと、人権制約への歯止めがあろうとなかろうと、総理大臣が行った宣言や政府の対応が妥当かどうかを判断するのは市民だ。安倍政権の対応はやり過ぎだとか不十分だと感じたなら、次の選挙まで待たずとも、市民は団結して安倍政権を倒せばいい。人間が生まれながらに有する自然権は、国家が定める法律に優先する。また究極的な権力は少数者からなる政府にではなく、数の上で圧倒する我々市民の側にある。
とは言え、緊急事態宣言の実効性を高めるためには強制力が必要だなどという考えを許すなら、それは独裁の道へとつながるだろう。
日本では緊急事態宣言が出ても、諸外国のように外出禁止や休業要請に従わなかった場合の懲罰規定がなく、強制力が伴わないことから、実効性を疑問視する声がある。 しかし宣言に実効性を伴わせる上で必要なのは、強制力ではなく、休業に対する補償や、従業員に対する所得補償だ。感染拡大を防ぐために連帯したくても、あるいは自分に感染するのを防ぐために仕事を休みたいと思っていても、収入が途絶えてしまっては、生活することができなくなってしまう。人と人との接触を極力避けるために、休業しても生活や雇用が維持できるように補償・調整することが、政府に今求められている役割だ。
この点、政府の現在の対応は批判されなければならない。安倍晋三が「諸外国と比較しても相当思い切ったもの」だと自慢する総額108兆円の緊急経済対策は、昨年末に決めた経済対策の未執行分(19.8兆円)や税金・社会保険料の支払い猶予(26兆円)、金融機関を通じた融資などが含まれており、実際に政府が新たに支出するのは18.6兆円、そのうち個人や中小企業への給付金は6兆円に過ぎない(日刊ベリタ20/4/12など)。しかもその給付条件は厳しく対象が限定される上、全ての人への一律給付ではないため手続きに時間がかかり、急を要する現金をすぐに受け取ることができない。 また宣言発令前から野党や自治体・市民など幅広い方面から休業要請と補償は一体で行ってほしいとの要望が寄せられていたにもかかわらず、安倍政権はこれを頑なに拒否したため、緊急事態宣言の対象となった各自治体は事業者に対する休業要請を思うように出すことができなかったし、緊急事態宣言発令と同時に幅広い業種を対象に休業要請を行おうと決めていた東京都は、経済活動への影響を最小限に抑えたい安倍政権の妨害(毎日新聞(20/4/10)などの報道によると、安倍政権はパチンコ店やストリップ劇場、ゲームセンターまで休業要請先から除外するよう求めた)のせいで、休業要請が緊急事態宣言の発令から3日も遅れてしまった。
安倍政権は、外出自粛の結果を見極めてから事業者への休業要請を行いたい方針だ。合衆国では感染者数がほぼ同数だったカリフォルニア州とニューヨーク州のたった数日の外出禁止令発令時期の違いが、その後の両州の感染者数の推移(ニューヨーク州はカリフォルニア州の約10倍)に影響した可能性が指摘されているというのに(朝日20/4/5など)。
安倍政権の妨害・怠慢は、もはや犯罪であり、許すことはできない。 罰則付きの緊急事態宣言は独裁への道で、自由な社会を望む我々には必要ない。緊急事態宣言に効力を伴わせる上で必要なのは、我々から集めた税金を出し渋り、十分な補償をしないで緊急事態宣言による感染拡大防止策の実効性を極力抑えようとしている安倍政権を今すぐ転覆して、我々の健康と社会を守る意思のある政府に取り換えることだ。 また自粛要請を守らせる上で、国家による厳重な市民の監視も必要ないだろう。市民に必要な行動──できるだけ家に閉じこもること──を促すために、警察による注意が必要なこともあるかもしれない。しかし基本的には、国家による監視ではなく、コロナ危機を乗り超えるために闘う市民の連帯が、自粛要請を守らせるための抑止力になるだろう。
資本主義社会は「貪欲」ばかりが強調される社会だが、「連帯」も人間の本性だ。我々市民は「連帯」、そして他人を思いやる「共感」、不正や権力の乱用を許さぬ「怒り」の感情、現状を認識して合理的に行動するための「理性」など、人間社会に必要不可欠な人間の本性を活かすことで、この危機に立ち向かうべきではないか。 コロナ危機を脱した後に我々が創造すべき、公正で全ての人に優しい社会を見据えて。
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