入管・難民問題に取り組むNGO「アジア太平洋人権保護難民移民ネットワーク(NPHR)」などの団体は、先月下旬、日本政府に対し、難民認定制度および非正規滞在の外国籍住民への対応の改善を求める声明文を発表した。
声明では、日本の難民認定基準が国際基準から大きく乖離している点を問題視し、その見直しを強く求めている。また、非正規滞在者に対しては、正規の在留資格を付与するなど、より人道的かつ現実的な対応が必要であると指摘している。
呼びかけ団体によれば、声明への賛同は9月21日の「国際平和デー」まで受け付けており、賛同者の声を取りまとめたうえで、国連機関に提出する予定である。現在もSNSなどを通じて、広く賛同を呼びかけている。
声明の詳細については、以下を参照。(※声明文の英訳、ふりがな付きの声明文が読めます)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfUKPHBXpG9yhfga-Ew5d9vu12oR85RuoqL8XseXAAIPKbMrQ/viewform?pli=1
拝啓 国連難民高等弁務官事務所 ESCAP SAG アジア太平洋
2024年における日本の難民認定率は2.2%で、2023年の3.8%を下回る結果となっています。92か国もの国から12,373人が申請し、難民として認定されたのは16か国のわずか190人です。難民として保護されるべき人が保護されていない状況が依然として続いているため、繰り返し難民認定の申請をせざるをえない方や、難民不認定の取り消しに関する裁判を起こす方が後を絶たないのは、決して不自然なことではありません。 このような事態を鑑み、国連の人権条約機関は日本に対して、認定率の低さや難民認定申請者の処遇を改善するよう再三勧告を行っていますが、残念ながらいまだにその改善は見られません。改善されるどころか悪化の一途をたどっており、2023年6月9日に改悪された入管難民法が2024年6月10日に施行されて以降、7カ月の間に難民認定申請中であった17人が強制送還されてしまいました。 改悪された入管難民法において、3回目以降の難民認定申請者については、難民と認定すべき「相当の理由」がない限り送還できるようになったからです。しかし、日本は難民条約を批准しています。国際基準からかけ離れた難民認定制度を改善することなく、難民かもしれない人を迫害を受ける恐れのある本国に、強制的に送還することは国際法違反であり決してあってはならないことです。
この状況にさらに追い打ちをかけるような事態が続いています。2025年5月23日、出入国在留管理庁(以下、入管)が「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン(以下、ゼロプラン)」を発表しました。その内容は、「誤用・濫用的な難民認定申請を繰り返している者を含め、ルールを守らない外国人を速やかに我が国から退去させるための対応策」と称し、��(1)入国管理、��(2)在留管理・難民審査、��(3)出国・送還の3つの段階に分け具体的にまとめられていますが、日本弁護士連合会や難民を支援している民間団体、人権に関する国際NGO等が反対の意を示しています。
なぜなら、不法滞在者(以下、非正規滞在者)の中には、日本の厳しすぎる独自の難民認定制度の影響で難民として保護されていない人たちの他に、本人の責任ではなく様々な状況の中で在留資格を持たない、あるいは喪失してしまった人たちも含まれ、生命・尊厳・人権を守るためには送還ではなく正規の在留資格を付与することが望ましいからです。入管はあえて「不法滞在者」「誤用・濫用的な難民認定申請」という言葉を使用して、ルールを守らない外国人が国民の安全・安心を脅かしているという悪い印象を世間に与えようとしていますが、いずれも国民の安全・安心、治安を脅かしているという明確な根拠がありません。
1993年に298,646人だった非正規滞在者は年々減少し、在留外国人が増加の一途をたどる中でも現在は約80,000人で推移していることや、刑法犯で検挙された外国人の人数は長期的に見ると減少傾向にあり、ここ数年非常に騒がれているトルコなどの少数民族クルド人が多く住む埼玉県、川口市の統計を見ても減少傾向にあります。ルールを守らない外国人が国民の安全・安心を脅かしているという社会情勢自体が存在しないことがわかります。難民認定申請を繰り返す状況については先に述べた通りで本人の責めによらない状況であり、仮に明らかに難民とは認められない人が申請をしていたとしても「難民ではない」という状態に過ぎず、治安悪化とは結び付けられないと言えます。
このゼロプランが発表されて以降、入管による強硬な強制送還が続いています。内縁の夫(日本人)と子どもがいるタイ国籍の仮放免者が裁判中にもかかわらず強制送還されてしまいました。これまで入管は、裁判中は送還しないという運用を20年以上も続けてきましたが、2025年6月以降の「送還に関するお知らせ」の内容に、「裁判所による執行停止等の仮の救済の決定がない限り、訴訟係属中であっても、送還を実施する場合がありますので、その旨、弁護士に伝えてください。」という文言が追加されたのです。
裁判を受ける権利というものは、日本国憲法第32条で保障されており、国際法においても基本的な人権の一つとして認識されています。裁判を受ける権利は、裁判の結果が出るまでの一連の過程を指すものであるはずです。裁判中は送還しないという運用に戻すべきです。
また、難民認定申請中でその結果が出ていないパキスタン国籍の仮放免者は、何のルール違反もしていないにもかかわらず出頭日に再収容され、その翌朝に強制送還されてしまいました。再収容の際は、「仮放免の手続きに時間がかかり今日はもう夕方で遅いからここに泊まってください。」と入管職員に告げられ、翌朝に成田空港に連れて行かれそのまま強制送還されたと当事者から証言がありました。行政が騙し討ちのような方法を取ったことに驚きを隠せません。
難民認定申請をしていたクルド人家族5人は、仮放免の延長手続きのため入管へ出向いたところそのまま収容され、すぐにトルコへ強制送還されてしまいました。父親はトルコの空港到着後すぐに警察に逮捕されていることから、実際は難民として保護すべき対象だったのではないでしょうか。
軍事政権による迫害から逃れてきたミャンマー国籍の10代の少年が、父親とともに関西空港で入国拒否の対応をされ、大阪の入管施設に収容されるという事態も起きました。少年と父親はタイを経由して日本に到着、一時庇護上陸許可の申請をしましたが却下されてしまい、空港から入管収容施設に移送されました。もともと軍関係者だった父親は、2021年の軍事クーデター以降、国軍に抵抗するCDM(市民不服従運動)に参加したことで当局から懲役刑を受けた経緯があり、ミャンマーに送還されれば逮捕・拷問といった迫害の恐れがあります。未成年者を収容していることや、保護の必要性が高い状況にもかかわらずその対応をしない大阪入管には、支援団体から文書で抗議があり報道もされています。一刻も早い収容からの解放と、難民としての保護を望んだところ、収容から約1カ月で仮放免となりました。仮放免では何の保障もない生活となるため、今後は正規の在留資格を付与するよう強く求めます。
2025年7月の参議院議員選挙では、超極右政党をはじめとした複数の政党や候補者から、事実に基づかない外国人への差別につながるスピーチがなされ、その政党らが議席を獲得するというとても恐ろしい事態となりました。差別につながる事実にもとづかないスピーチの例として、外国人は日本人より簡単に生活保護を受給できる、外国人は優遇されている、外国人犯罪が急増しているなど様々です。外国人に対してだけでなく、女性、高齢者、LGBT、障害者等、社会的に弱い立場にある人々への差別的言動もありました。これらに対し、選挙期間中、様々な機関によりファクトチェックが行われ、次々にデマであることが明るみになりましたが、一度広がったデマを軌道修正するにはかなり時間を要します。また、そのようなデマで議席を獲得した政治家がいること自体が恐怖であり、在留資格の有無や種類にかかわらず、日本で暮らす多くの移民・難民は身の危険を感じ安心して暮らすことができなくなってきています。日本の民主主義と平和が壊されつつあり、人権をとりまく状況において危機的であることは間違いありません。
移民・難民を取り巻く環境が悪化の一途をたどる中でも、この状況を変えるべく自分の立場を明かして活動をしている難民申請中の当事者がいます。日本に難民として逃れてきたけれどもいまだに認定されず、仮放免や人道配慮の一時的な在留資格で暮らしている当事者です。ナイジェリア国籍でビアフラのオブエザ・エリザベス・アルオリウォさんは、仮放免という不安定な立場でありながらも入管収容施設での面会や、仮放免者や難民申請者の様々な相談にのって手助けをしており、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)サイトに、彼女のストーリーがイラストつきで掲載されました。
ミャンマー出身でロヒンギャのミョーチョーチョーさんは、2021年2月1日に起きたミャンマーの軍事クーデターの影響で、緊急避難措置の特定活動という在留資格を得ましたが、3回目の難民認定申請が却下されています。彼も来日したミャンマー人や様々な国の難民申請者の相談にのり、支援金のためのチャリティー活動や、当事者の声を多くの市民に届けるよう講演会や街頭アクションで発言を続けています。今年の2月には、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)のカンファレンスに参加し、日本の状況について報告をしています。悪化する状況に歯止めをかけるべく、今後さらに当事者の状況や声を国連で取り上げていただくことを望みます。
改めて下記の項目の重要性を認識するとともに、日本においては入管行政から独立した難民認定機関の創設や、包括的差別禁止法の制定も大変重要な項目となります。これらを早急かつ確実に実現させるためには、国連とのさらなる連携、協力が必要不可欠です。日本に住む全ての難民・移民の命や人権が守られ、誰もが尊厳を持って自分らしく生きられる社会を強く望みます。
�,垢戮討琉槎韻�法的身分証明書と適切な書類を持てるよう確保する。 ��移民拘留は最後の手段としてのみ使用し、代替策に取り組む。 �0槎韻亡靄榲�なサービスへのアクセスを提供する。 �ぐ槎韻伴匆颪�完全な包摂と社会的結束を実現できるように支援する。 �グ汰瓦巴畚�ある正規の移住のために国際協力とグローバルパートナーシップを強化する。
【呼びかけ団体】
・National Network for Protecting Human Rights Asia Pacific and Japan (NPHR)
・Social Workers Network for Immigration Detention Issue (SWIDI)
・We’ll can’t do its Best but Won’t Give Up
・National Network of People with Disabilities (NPD)
・with Elizabeth (WE)
・imagine
・JMCCA
・Provisional Release Association in Japan
・Protect Refugees Association in Japan
|