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2026年07月04日20時39分掲載
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欧州
極右政党「国家の未来」はイタリアをどこへ導こうとしているのか~ チャオ!イタリア通信
今年2月に元陸軍将軍ロベルト・ヴァンナッチ氏が「国家の未来」という新党を作り、「同盟」を上回る支持率を上げている。「コリエッレ・デッラ・セーラ」紙の調査によると、「国家の未来」の支持率は6%で、「同盟」の支持率は5.6%にとどまっているとのこと。ヴァンナッチ氏は、元「同盟」のメンバーであったが、「国家の未来」は党設立から初めて「同盟」の支持率を上回った。
ヴァンナッチ氏の主張は、移民問題やフェミサイドで特徴的なものであると言える。
まず、移民政策については「再移民」という言葉を使っている。不法移民や犯罪移民を強制送還して、イタリアが受け入れる移民の上限を4%にするという政策を掲げている。「国家の未来」の理念や政策を手掛けているのは、ロレンツォ・ガスペリーニ氏であり、哲学の教師であり、元「同盟」のメンバーであった。ヴァンナッチ氏とガスペリーニ氏は、「移民がイタリアの規則を尊重するだけでは十分ではない。我々はほぼイタリア人だけのイタリアを望んでいる」と主張している。日本でも似たようなことを主張している政党がいると思うが、イタリアでも同じようなことが起こっている。
ただ、この主張では「イタリア人」とは何かという問題が出てきそうだ。歴史的にイタリアは北と南で大きく文化、言語が異なる。特に南イタリアは北アフリカの影響が濃く、南イタリアに行くと、本当に言葉が通じないということがある。南イタリアやローマを舞台にした映画など、字幕が付くほどだ。字幕をつけないと、何を言っているのか分からない。それほど、全く違う言語になる。一方、北イタリアはゲルマン系の文化や言語が根付いており、トレンティーノ・アルト・アディジェ州はオーストリア・ハンガリー帝国の支配を受けたことで、ドイツ語を話している。
さらに、近年では中国人のコミュニティ―も大きく、移民2代目、3代目となっており、私が知っている中国系の若い人たちは中国語を話せない人たちもいるのだ。そして、ルーマニアやアルバニアなど東ヨーロッパからの移民たちも多い。彼らは、私からするとイタリア語を自分の言語のように話しており、教師などの公職についている人たちもいる。
これがイタリアの現実である。昔から色んな国の文化を吸収し、地方によって違う文化を見せる、それがイタリアの魅力でもある。確かに、移民としてイタリアに来て犯罪を犯すのは困るが、いわゆるテロリズムなどの事件は聞かないし、移民としてイタリアにやって来て、もともといるイタリアの人たちに危害を与えるような事件も全く聞いたことがない。
私がいる町、プラートは中国系の人たちが多いが、中国系の人たちが経営する会社で移民たちを長時間労働働かせたり、劣悪な労働環境や居住環境においたりという事件は時々ある。でも、それを警察が摘発して、法的に裁くということはある。こうした人権の問題には、イタリアは国としては敏感に対応していると思う。
「国家の未来」の主張は、こうした歴史的な流れや現実を無視しており、単なる概念で「イタリア人」だけの「国家」を作ろうという、危険なものである。それは、歴史が証明している。ヒットラーが純粋アーリア民族の国家を作ろうとして、ユダヤ人を迫害した歴史と重なってくる。
そして、フェミサイドについての主張にも、それは表れている。ヴァンナッチ氏によると、フェミサイドは存在しないというのだ。ヴァンナッチ氏によると、女性が女性であるだけで殺されたり、暴力を受ける事件は他の殺人事件と同じであり、これが本当の男女平等だと言っている。
では、男性が男性であるというだけで殺されるのか、そんな事件が存在するのか。全く現実を見てない主張だ。
「国家の未来」は、メローニ首相の「イタリアの同胞」やサルヴィーニ氏の「同盟」をさらに超えた極右政党である。「国家の未来」が支持を伸ばしていることに気を強くしたのか、メローニ首相は先日、テレビのインタビュー番組で「今後、右派のイタリア大統領が出てくるのも、タブーではなくなってくる」と発言している。
私としては、それだけはイタリア人の良心と良識を信じたい。右派の首相と右派の大統領では、政治的に均衡が保たれなくなる。特に、戦争が起こっている今の世界で、こうした排斥的な考えが浸透していくことは、危険な流れを作っていくことになる。
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