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2026年09月06日17時16分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】浜岡原発基準地震動不正の深層 (下) 規制側を欺き早期再稼働を企図した中部電力 山崎久隆
基準地震動の不正が世に出るより前の2025年11月27日、中部電力は浜岡原発の安全性向上対策工事の一部で、取引先との間の精算が長期間にわたり放置されていた事案で、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告徴収命令を経済産業大臣から受けました。
2.安全対策工事をめぐる代金未精算
この事案では、原子力部門の役員が社内規程に反し、この事実を取締役会等に長期間報告していなかったことも明らかになって います。
経産大臣は2026年1月9日、さらに詳しい経緯と実効的な再発防止策の確認を求め、二度目の報告徴収命令を行っています。 これは基準地震動のデータ改ざんとは別の不祥事ですが根っこにある問題は同じです。 現場で生じた「不都合な事実」を、あるべき報告ルートに乗せず長期間継続していた点で、基準地震動をめぐる社内の黙殺の構図と重なります。
中部電力の原子力部門では事実を正しく報告し、正しく是正する、企業として最低限の機能そのものが働いていなかったのです
3.廃炉事業における費用不正請求の構図
基準地震動のデータ改ざん問題では、第三者委員会や規制委の調査が続いていた2026年8月26日から27日にかけて、浜岡原発1・2号機(2009年廃止)の廃炉作業を巡る新たな不正が発覚し、経産省は再処理等拠出金法第70条第1項の規定に基づ告徴収命令を中部電力に対して行う事態へと発展しました。
原発の廃炉には数百億円規模の資金と数十年に及ぶ期間が必要です。 電気事業者は廃炉費用を円滑に充当するため「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」(NuRO)へあらかじめ資金を積み立て、実際の解体撤去工事等の進捗に応じて機構から交付金を受け取る制度になっています。
中部電力は自社および請負会社が実施した廃炉工事の実績、すなわち解体機器の数量や解体物量について、請負会社から受け取った工事報告書の数値を書き換え、実態と異なる進捗をNuROへ報告していました。 2025年3月期において当初予定より遅れていたところ、あたかも計画どおり進んだかのように装う書き換えが少なくとも14件確認されています。 2026年7月にNuROから解体物の保管量、処理量が報告と食い違うとの指摘を受け、8月上旬に事実関係の確認が始まりました。
NuROからこれまでに支払われた2025年3月期分の費用11億円のうち、約8億円が不正な報告、算定に基づくものであったことが確認されています。
記者会見で中部電力の原子力部長は、書き換えは一個人が実施したものではないと認識していると述べ、組織的な関与を事実上認めています。 不正の背景には、廃炉工程の遅延や実績不振を隠し、交付金を計画どおりに引き出したい動機があったと推察されます。 再稼働審査では安全評価を良く見せるために数値を操作し、安全対策工事では不都合な事実を隠し、廃炉作業では実績と資金繰りを良く 見せるために数値を操作していたことになります。 技術データであれ会計数値であれ、都合の悪い客観的事実を書き換えて外部機関を欺く行動様式が、原子力部門の日常的な手口として定着していたことを示しています。
4.浜岡原発不正事件は直ちに原発の設置許可を取り消すべき案件だ
発電事業の中でも巨大なリスクを伴う原発の運用には、他産業とは比較にならないほど高次元の安全性の確保、科学的誠実性の堅持、そして厳格な倫理観が不可欠です。 これについては、福島第一原発事故後の東電及び取締役の責任を追及する刑事、民事訴訟においても確定した考え方です。
しかし中部電力がこの間に示してきたのは、徹底した誠実性の欠如と無責任な体質でした。 技術部門、経営監督、資金管理と、三つの異なる場面で同じ隠蔽と偽装の体質が繰り返し表面化したことは、一部門や一担当者の事件で はなく、全社的な組織風土の問題であることを示しています。
これを今後は「中電体質」と呼ぶことにします。 ひとたび事故を起こせば一地域、ひいては国全体に甚大な被害を及ぼしかねない危険な施設を、このような企業に委ねる合理性は見出せません。 客観的データや事実を偽る事業者は、原発を所有する資格も運転する資格も根本から失っています。 独立した規制機関や制度を情報操作によって欺く対象とみなし、10年以上にわたり嘘と誤魔化しで地震対策の説明を続けてきた企業に、地球規模のリスクを孕む原発を運用する資格は毛頭ありません。
したがって、規制委および関係行政機関は、浜岡原発の適合性審査を直ちに終了、打ち切りとし、稼働の道を完全に断絶した上で、速や かに全基の廃炉措置を決定し実行すべきです。 (たんぽぽ舎共同代表)
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