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2014年02月16日21時06分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】原発を「重要なベース電源」とする主張は誤り(その2) 繰り返される「同型機全停止」事故 山崎久隆
そう言っても地震などの自然災害は滅多に起こらないではないかと、無理矢理にでも主張する向きには、次の点を指摘しておく。原発の場合、同型炉が一斉に止まる事件が何度も起きている。というか、原発の歴史は、まさしくそればかり。
最も有名な事例は1979年3月28日に発生した米国スリーマイル島原発事故である。この事故は加圧水型軽水炉の圧力容器に水位計がないため、圧力容器よりも高い位置にある「加圧器」の水位指示により炉内水量を間接的に確認していたが、これが誤動作し、炉心冷却水が失われていたのに運転員が「満水になっている」と間違った認識をしてECCSを止めてしまった結果、炉心溶融に至った。加圧水型軽水炉の構造欠陥に起因した事故であるため、日本でも稼働していた同型炉の停止点検が必要になり、4月14日に当時の通商産業省が加圧水型軽水炉関係3社(関西電力、四国電力、九州電力)の副社長を呼んで対策を求め、関西電力に対しては大飯1号機の停止を要請している。
停止指示が一基だけだったのは実際に稼働していた加圧水型軽水炉が大飯1号だけだったためで、全加圧水型軽水炉の点検停止が指示されていたのだ。
日本における同型炉全停止は43年前の福島第一原発の運転開始直後から既に始まっている。
初期の原発に使用されていた材料は極めて腐食に弱く、応力腐食割れが全ての原発で頻発した。福島第一原発と敦賀原発1号機は、1970年代前半に繰り返し長期修理のために停止しており、年稼働率は0%に落ちたこともあった。
その後も同様のことは繰り返される。加圧水型軽水炉では蒸気発生器の細管損傷が深刻化し、第一世代の美浜原発などで次々に交換作業が必要となり、一年以上も工事のために止まった。沸騰水型軽水炉は福島第二原発3号機の事故をきっかけに欠陥が見つかった再循環ポンプの部品交換を110万kw沸騰水型軽水炉のほとんどで余儀なくされた。
同じく沸騰水型軽水炉では炉内で核燃料を支える構造物「シュラウド」が、やはり応力腐食割れで破損したための交換工事が今も続いている。
実は福島第一原発4号機は、震災が起きたときにシュラウド交換工事の真っ最中で、古いシュラウドが取り外されていた。工期がずれていたら原子炉圧力容器に水が無く(通常の定期検査では原子炉内の水は落とさないが、シュラウド交換工事のような大規模補修では落とす時期がある)燃料プールの空だきに対して「補給」すべき「原子炉ウエル水」(原子炉圧力容器の中に張られていた放射線遮蔽用の水)が存在しなかったため3月16日頃に燃料露出、炉心溶融(しかも青天井でである)が起き、チェルノブイリ原発事故をも超える大規模放射能放出になっていたかもしれない。
さらに原発震災を引き起こした東電では、事故隠しに起因した全17基の停止がある。これは定期検査などで補修が必要な箇所を見つけておきながら、それを規制当局にも報告しないで、そのまま動かしたりしていた事件だ。原発の安全性に重大な疑問が生じたため一斉点検と再発防止を指示されて2003年4月17日から5月まで止まった。 この時の事故隠しでも中心的存在だったのがシュラウドで、この損傷が国に報告されれば運転継続が困難になり稼働率が急激に落ちて利益が失われることを嫌ったのだ。
結果的に東電の全原発は停止し、荒木会長、南社長以下トップの辞任などにつながったが一方で「維持基準」なる「ひび割れが存在しても運転できる基準」が作られている。転んでもただでは起きない、いやわざと社会問題化して都合の良い規制基準を作らせる好機としている。
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