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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2015年09月30日15時43分掲載
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核・原子力
オリンピックの陰で 住宅支援の打ち切り、帰還の推進で追いつめられる福島の人々
安倍首相が「福島は収束している」と高らかに宣言して招致した2020年の東京オリンピック。昨日は野球やソフトボール、空手などの追加競技が選定されたとして世の中が沸いている。しかしその陰で、故郷を離れて避難生活を続ける10万人の人々がいる。暮らしを取り戻すことができずにいる避難者にとってオリンピックは遠い。被害があったことが忘れ去られ、なかったことにされることが悔しいという。そんな彼らに政府は「事故から4年経って新たに避難する状況にない」として、避難先での住宅支援の打ち切りを決め、避難者に帰還を勧めている。避難者はさらに追い詰められている。(上林裕子)
国内法令に基づく国民の年間被ばく限度量は1ミリシーベルト以下。しかし、未だ緊急事態である福島の被ばく限度量は年間20ミリシーベルトとなっている。この数字からも、福島原発事故が収束していないことが見て取れる。
12年に全会派一致で成立した「子ども・被災者支援法」は、「被災者の居住や移動の選択は被災者自らの選択によるもの」であることを明記、いずれを選択しても国はそれを支援することを基本理念に定めている。しかし、13年に策定された支援法の基本方針には被災者の声や希望は一切反映されず、支援対象区域も福島県内33市町村に限定された。
さらに今年8月末に閣議決定された支援法の改正基本方針には、「4年経って空間線量が大幅に低減したので、避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況にない」と明記された。被災者団体等26団体で構成する「原発事故被害者の救済を求める全国運動」は閣議決定に抗議、撤回を求めている。
全国運動の撤回を求める声明では「避難する状況にあるか否かを国が一方的に判断すること自体が支援法の理念に真っ向からそむくもので不適切である」として削除を要求するとともに、政府が未だ線量が高い被災地への帰還を勧めていることに反対し、「自主避難者も含めた抜本的・継続的住宅支援制度の確立」を求めている。
政府は17年3月には避難住宅の無償化を打ち切るとしている。避難者の1人は「私たちはもともと自立して生活を営んでいたが原発事故で汚染され、避難せざるを得ない状況に追い込まれた」「現在避難者が何とか生活ができているのは無償の住宅があるからだ。有償化で避難生活が破たんする家庭が多くでてくる」と指摘する。
また別の避難者は「4年経ったからわかってきたことがある」という。政府は空間線量のみを問題としているが、土壌汚染を見ると郡山のパーキングエリアで現在でもセシウムが136,000ベクレル/㎡検出される。「これは半減期を10回繰り返し、300年経ってやっと136ベクレルになるという数字だが、300年経っても新潟の102ベクレルより高い」「風が吹けば放射能を含んだ細かい粒子=ホットパーティクルが舞いあがって恐ろしい」と語る。
家や道路などの居住空間の除染が進んでも、山や林に降り積もった放射性物質は風や雨に運ばれ、再び居住空間を汚染する。イタチごっこだ。26年経ったチェルノブイリでさえ、未だに林に堆積した放射性物質が除染のすんだ畑を汚染し続けているという。いくら除染が済んでいるといっても、周りの林や山にはひどい汚染が残っている。「帰還しろと言われても、指定廃棄物レベルの汚染の場所で子どもを育てることはできない。危険だからこそ避難をしたいと考えるのは当然」で「避難する状況にない」と一方的に決めつけるのはおかしいと避難者は考えている。
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