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2016年10月15日20時01分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】実はすさまじく恐ろしい東京の地下埋設電線 「OFケーブルはガソリンスタンド並みに危険」 植田泰史
10月12日午後首都圏で起きた停電及び火災事故に驚かれた方、被害・損害を受けられた方もおられることと思います。なぜこのような事故が起きたのか、電線の専門家の意見を本会の責任でご紹介します。
問題になっている電線は約60年前(発明は昭和初期)に日本に本格導入された「OFケーブル(Oil Filled Cable)」で、メディアの報道では敷設後35年間交換されず、点検も目視による1年1度程度のものであった…とか。電線メーカー関係者は1年に1度の目視もやらなかったのではないかと強い疑問を持っています。
この「OFケーブル」は、粘性の低いオイルを冷却・絶縁用に使い、電線の周囲には絶縁紙がまいてあります。オイルはボイド(泡)や枯渇を防ぐため、絶えず加圧するか重力で流す必要があり、原則として数kmおきに油槽タンクや圧力装置が不可欠で、これは地上ないし地下に設置されています。電気熱、油脂、紙、オイルタンクという可燃性のものを多用しているので、導入当初より強い危険性が指摘されていました。
東京消防庁は「OFケーブルはガソリンスタンド並みに危険」という考えを持っていたと言われますが、「政治決着」が図られ、なし崩し的に埋設高圧線に使用され、今日に至っているのです。
現在はより安全度の高い「CVケーブル(架橋ポリエチレンビニルシースケーブル)」(油を使わないプラスチック使用ケーブル)が実用化されていますが、首都圏では新京葉変電所(50万ボルト受電)―新豊洲変電所(永代橋変電所、東内幸町変電所)など、ごくわずかに使われているだけです。
電線ケーブルの寿命は25年というのが業界の常識ですが、ほとんどの地下埋設線が僅かな点検のみで、25年経過後も可燃性「OFケーブル」を使用し続けているのが実情です。
ちなみにCVケーブル(50万ボルト)の日本への導入は1990年で、前記新京葉変電所が初例です。東電、古河電工、日立電線、住友電工は「燃えない埋設線導入」の功績で同年の「電気技術振興賞」を受賞しています。「燃えない高圧地下埋設線」は電力の世界の夢と言われていたので、実用当時「世界最高の技術」と称賛され、CVケーブル技術の発明者には多数の賞が贈られたようです。しかし、日本では電線問題は過小評価され、普及しませんでした。
私どもの調査では、首都圏外郭線の房総変電所(50万V受電)、新野田変電所(〃)、新古河変電所(〃)、新坂戸変電所(〃)、新所沢変電所(〃)、新多摩(〃)変電所等は全て「燃えるOFケーブル」使用でした(新京葉は除く)。これらの変電所に電気を送っていたのが、柏崎刈羽原発、福島第一、〃第二原発であることは論を待ちません。
外郭線内側にある北葛飾(275千KW受電)、京北(〃)、豊島(〃)、東新宿(〃)、新宿(〃)、城南(〃)、高輪(〃)、墨東(〃)、上野(〃)変電所等も全て燃性の高い「OFケーブル」を使用しています。
今回の事故で幸い重症者等は出なかったようですが、これは現代文明へのある種の「黙示」と考えた方がよいと言われています。東京都の主要道路の地下にはほぼ例外なく洞道(大型OFケーブル送電路、人間が内部を歩ける大型施設)と管路(OF送電線のみ)が張り巡らされています。
発電を開始した伊方原発の開閉所(送電、受電所)は、古いタイプの可燃性「OFケーブル」です。規制委がOFケーブルを問題にした様子はありません。
何かと話題になっている豊洲ですが、新豊洲変電所(50万V受電)は「CVケーブル」を使用しています(電源は福島原発、技術は日立電線等)。ちなみに霞が関もCVケーブルのようで、官僚は言い様がないほど“せこい”ですね(こういう我欲思考は許されないと愚考しています)。
ドブネズミに齧られただけでも燃えると言われる老朽化し、放置されている「OFケーブル」…。電線メーカー関係者は「今後も首都圏で同様の事故が起こる」と警告しています。
原発リスクは地方に、電気の使用利益は東京に、という東京一極集中型思考で電源・電気問題が考えられてきました。 しかし、受益者と見られる首都圏住民の足もとからいつ火の手が上がるかわからないことを、今回の事故は暗示しました。
「CVケーブル」はアメリカ、カナダ、韓国、ヨーロッパで高く評価されています。技術で進んでいたが、実用化で出遅れた日本の地下ケーブル問題…、東京の地下に張り巡らされているオイル問題に解決の道はあるのでしょうか。
“週刊誌が一週間騒いでおしまい”にならなければいいですね。
(茨城環境・人間会議)
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