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2017年05月14日21時22分掲載
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政治
安倍晋三首相の妄言・暴言 根本行雄
安倍晋三首相は、具体的な改憲の目標や考えを、5月3日付の読売新聞の単独インタビューで明らかにし、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せて公にした。憲法の改正は、国のあり方を変えるということである。まずは国会などで表明し、その後に記者会見の場を設けるべきである。安倍首相には、憲法改正という重要な問題を広く国民に問う姿勢と、憲法を遵守するという態度に欠けていると言わざるを得ない。安倍首相の妄言・暴言は、まだまだ、続く。
□ 安倍首相の妄言・暴言
安倍晋三首相は、具体的な改憲の目標や考えを、5月3日付の読売新聞の単独インタビューで明らかにし、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せて公にした。
安倍首相は野党の議員から憲法改正のねらいや、具体的にどんな文章を追加しようと考えているのかについて質問をされると、次のように答えた。
「憲法改正発言は自民党総裁としての発言だった。ここは国会で、私は政府や首相の立場で答弁している。だから答える立場になく、知しりたければ読売新聞を熟読してほしい。」と。
憲法改正は首相をトップとする政府が提案するのではなく、国会が提案(発議)するものである。しかし、安倍晋三首相と安倍晋三自民党総裁は同一人物である。しかも日本の政治は議院内閣制と呼ばれ、首相は国会議員の中から選ばれる仕組しくみになっている。もちろん、首相には憲法を遵守する義務がある。憲法について何も語ってはいけないという訳ではない。しかし、特定の新聞や特定団体の集会という、同じ意見をもつ、批判や疑問を呈しない相手を選んで意見を表明する。これは国会議員として、内閣総理大臣としてとるべき態度であろうか。まずは、国会において、国民の代表である国会議員の前で丁寧に説明責任を果たすのが当然のことであり、それが責務であろう。 憲法の改正は、国のあり方を変えるということである。安倍首相には、憲法改正という重要な問題を広く国民に問う姿勢と、憲法を遵守するという態度に欠けていると言わざるを得ない。
□ 憲法9条と自衛隊
安倍首相が2020年までの憲法改正に強い意欲を示す発言をした。9条の1項、2項を維持した上で、自衛隊に関する条文を追加する内容だ。
憲法9条と自衛隊は矛盾である。自民党政府は「解釈改憲」という手法を使って、諸外国からみれば単純明快に「軍隊」であると認識できるものを「軍隊」ではないとしてきたのだ。そのうえ、集団的自衛権の行使をできるようにした。安倍政権は憲法を遵守する義務があるにもかかわらず、憲法を遵守していないのである。
公明党は、かつて、「加憲」の立場から自衛隊の存在を明記する「9条3項」の新設を提唱したことがある。9条1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)はそのままにして、自衛隊について書き込む案を主張したことがある。
今回の、安倍首相の、9条1項、2項を残したまま自衛隊の存在を憲法上に位置付けるという主張は、「2項を変える」としてきた自民党や安倍首相のこれまでの主張と矛盾している。戦力の不保持を明確にした2項を変えず、自衛隊の存在を別に書き込んで定めることは論理的に矛盾なく説明することはできない。これは「加憲」をスローガンにしてきた公明党への追従ではあり、すり寄りではないかと推測できるものである。
□ 憲法と教育の無償化
現行憲法は26条で義務教育(小中学校)の無償化を規定している。安倍首相は今回の改憲の提案で「高等教育も」と無償の範囲の拡大をにおわせた。高等教育は大学・短大などを指している。背景には、同じ趣旨の改憲案を唱えている「日本維新の会」を抱き込む狙いがあると推測できるものである。
改憲しなくても、「高等教育の無償化」はできる。改憲をしてからとなると、時間もかかるし、お金もかかる。ちなみに、憲法改正の是非を問う国民投票は、衆議院法制局の試算よれば、1回で約850億円かかると言われている。
□ 憲法改正の日程
憲法施行70年の節目に、安倍晋三首相が憲法改正の目標時期を初めて明示した。2020年施行を「強く願っている」という表現で、自身の首相在任中に改憲を実現する決意を強調した。
現在、安倍政権は、自民、公明に日本維新の会などを加えた改憲勢力は両院で改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を占めている。2018年12月までに実施される次期衆議院選挙において、自民党が議席を減らせば「3分の2」は崩れる可能性がある。
そのうえ、安倍晋三の自民党総裁としての任期は2018年9月までである。ただし、来年9月の自民党総裁選で勝利した場合は、安倍政権は最長で21年9月まで続くことになる。
しかし、2019年には統一地方選挙と参議院選挙がある。
2020年を「新しい憲法が施行される年」にするには、19年から20年前半に改憲案を国民投票にかける必要がある。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで、過密で、困難な課題が目白押しになっている日程を、安倍政権は維持することはできるのだろうか。
たしかに、国民投票を国政選挙に合わせて実施することは法律上は可能だ。安倍首相は19年参院選との同時実施を視野に入れているのかもしれない。
□ 安倍政権の一連の動き
武器輸出三原則の緩和(14年4月)、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法(安保法制)の制定(16年3月施行)、沖縄・辺野古新基地の建設(4月25日埋め立ての強行)という安倍政権の一連の動き。
現在、進んでいる組織犯罪処罰法改正案(共謀法)とは私たち国民の内心を取り締まろうという法律である。成立すれば政府を批判する自由はなくなってしまう危険が大きくなるのだ。日本国憲法の「第三章 国民の権利及び義務」において明記されている、わたしたち国民の権利は大幅に制約されることになり、権力の恣意的な運用が行なわれるようになることは容易に想像できることである。立憲主義とは、権力の運用を制約するものであり、わたしたち国民は権力の運用を監視していかなければならない。安倍政権は治安維持を目的として、権力の大幅な恣意的な運用を可能にし、憲法の「形骸化」を狙っているのである。
安倍政権の約4年半を振り返ると、日本国憲法の趣旨や理念を軽んじていることは明らかだ。個別の条文をどういじるか、という議論に入る前に、憲法の役割とは何か、立憲主義は何かということについて、しっかりと理解しなおしておく必要がある。憲法を軽視し、立憲主義を理解しない政権は民主主義を破壊することになる。それは歴史が証明している。
□ 安倍首相の頭の中
憲法施行70年の節目に、安倍晋三首相が憲法改正の目標時期を初めて明示した。2020年施行を「強く願っている」との表現で、自身の首相在任中に改憲を実現する決意を強調した。
安倍晋三首相の頭の中では、いろいろなものが渦巻いているのだろう。2018年の衆議院選挙、自民党総裁選挙、2019年の参議院選挙、2020年の東京オリンピック、などなど。そして、何よりも、国会において「3分の2」の議席を占めているうちに、何が何でも、憲法改正の発議をしたいという強い思いがある。今、この時期を逃せば、もう、二度と、自分が首相の座にあるうちには憲法改正のチャンスはやってこないだろうという思い。
安倍晋三首相の妄言・暴言は、まだまだ、続く。わたしたち国民は権力の運用を監視していかなければならない。そして、憲法の「形骸化」を阻止しなければならない。民主主義を守り、育てていかなければならない。
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