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2017年09月19日22時54分掲載
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反戦・平和
“日中共同宣言”音読のすすめ〜書籍紹介:内田雅敏編著『一衣帯水「平和資源」としての日中共同声明』(スペース伽耶)
日中戦争の終結から27年後の1972(昭和47)年9月29日、北京において田中角栄首相と周恩来首相が「日本国政府と中華人民共和国の共同声明」(日中共同声明)に調印した。 両国間の国交を正常な状態に戻し、そして現在の政治的基礎を形作っている日中共同声明は、その後に締結された日中平和友好条約(1978年)、日中共同宣言(1998年)、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(2008年)の基礎も成しており、これら4つの基本文書の中でも最重要のポジションにある。 この日中共同声明を最初に読んだときに涙が出るほど感動し、今は毎朝、自宅から駅に向かう途で暗唱しているという弁護士の内田雅敏さんが今年出版したのが本著である。 編著者の内田さんは、中国人強制連行・花岡事件訴訟や西松事件訴訟で代理人弁護士を務め、中国人労働者を使役した大手ゼネコンの鹿島建設や西松建設と、中国人受難者及び遺族とを和解に導くなど、日中間の平和友好に長年尽力してきた人権派弁護士だ。 靖国参拝問題、歴史教科書問題、尖閣諸島領有権問題などの懸念問題が存在し、ギクシャクしている日中関係を憂う内田さんは、「日中共同声明の精神に戻ることこそが、おかしくなってきた日中関係を改善させる鍵」だと指摘し、日中共同声明を日中両国民の“平和資源”として活用すべきだと主張する。 日中間がギクシャクする原因の1つとして、日中戦争に起因する日本の戦争責任問題が存在するわけだが、これについて内田さんは、本著において「歴史問題の解決・和解には、被害者の寛容さが不可欠である。だが同時に、加害者の慎み・節度も不可欠だ」と訴え、そうした思考を呼び起こすために「その昔、学問は漢籍の素読から始められたといいます。この種の文書は声に出して読むことが大切です。声を出すことによって、その良さが体感されてきます」と日中共同声明の音読を勧めている。 今年は日中国交正常化から45周年、来年は日中平和友好条約締結から40周年にあたる。秋の夜長、日中共同声明を読み上げて日中両国の来し方行く末を思い巡らすのも良いかもしれない。(坂本正義)
<目次>
● 民間交流のレールが導いた日中国交正常化 ● 日中共同声明 第五項 戦争賠償の放棄について ● 反覇権条項を巡る��小平のエピソード ● 日中関係を壊したのは誰か ● 日中不再戦・反覇権の誓い ● 日中国交正常化四五周年と上海の魯迅 他
<編著者プロフィール>
内田 雅敏(うちだ まさとし)
1945年生まれ。 1975年東京弁護士会登録。日弁連人権擁護委員会委員、同接見交通権確立実行委員会委員長、関東弁護士会連合会憲法問題協議会委員長を経て、現在、日弁連憲法委員会幹事。 弁護士としての通常業務の他に、中国人強制連行・強制労働問題(花岡、西松、三菱マテリアル)など戦後補償問題、�編¬簑蠅覆匹房茲蠢箸燹�西松安野友好基金運営委員会委員長。
主な著書 『弁護士──法の現場の仕事人』(講談社現代新書) 『「戦後補償」を考える』(講談社現代新書) 『〈戦後の思考〉──人権・憲法・戦後補償』(れんが書房新社) 『憲法9条の復権』(樹花舎) 『敗戦の年に生まれて』(太田出版) 『在日からの手紙』(太田出版 姜尚中氏との共著) 『憲法9条と専守防衛』(梨の木舎 箕輪登氏との共著) 『乗っ取り弁護士』(ちくま文庫) 『これが犯罪?「ビラ配りで逮捕」を考える』(岩波ブックレット) 『想像力と複眼的思考』(スペース伽耶) 『靖国神社参拝の何が問題か』(平凡社新書) 『和解は可能か』(岩波ブックレット) など多数
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<日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明>
日本国内閣総理大臣田中角栄は、中華人民共和国国務院総理周恩来の招きにより、千九百七十二年九月二十五日から九月三十日まで、中華人民共和国を訪問した。田中総理大臣には大平正芳外務大臣、二階堂進内閣官房長官その他の政府職員が随行した。 毛沢東主席は、九月二十七日に田中角栄総理大臣と会見した。双方は、真剣かつ友好的な話合いを行った。 田中総理大臣及び大平外務大臣と周恩来総理及び姫鵬飛外交部長は、日中両国間の国交正常化問題をはじめとする両国間の諸問題及び双方が関心を有するその他の諸問題について、終始、友好的な雰囲気のなかで真剣かつ率直に意見を交換し、次の両政府の共同声明を発出することに合意した。 日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。 日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。また、日本側は、中華人民共和国政府が提起した「復交三原則」を十分理解する立場に立って国交正常化の実現をはかるという見解を再確認する。中国側は、これを歓迎するものである。 日中両国間には社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は、平和友好関係を樹立すべきであり、また、樹立することが可能である。両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである。
一 日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。
二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
四 日本国政府及び中華人民共和国政府は、千九百七十二年九月二十九日から外交関係を樹立することを決定した。両政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務遂行のために必要なすべての措置をとり、また、できるだけすみやかに大使を交換することを決定した。
五 中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
六 日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。 両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。
七 日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。
八 日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。
九 日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の関係を一層発展させ、人的往来を拡大するため、必要に応じ、また、既存の民間取決めをも考慮しつつ、貿易、海運、航空、漁業等の事項に関する協定の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。
千九百七十二年九月二十九日に北京で
日本国内閣総理大臣 田中角栄(署名) 日本国外務大臣 大平正芳(署名) 中華人民共和国国務院総理 周恩来(署名) 中華人民共和国 外交部長 姫鵬飛(署名)
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『一衣帯水「平和資源」としての日中共同声明』 定価:本体1000円+税


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