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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2024年06月05日22時10分掲載
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コラム
【山里から④】地方小都市でも無人化の波 西沢江美子
すでに初夏。この地方のまちもあわただしい。人口5万人強の私の住む埼玉県西のはずれの街は、異様な風にあおられている。「電子注文に電子支払い」という人の見えない商店だ。地元資本のスーパーから全国チェーンのファミレスや百均(今は100円のものは少ないが)までレジが一気に無人化。従業員もお客さんも「お金を入れてください」「支払い方法を選んでください」の乾ききった画面から出る声に混乱」。そして長い行列。そんなデジタル化の街を歩いてみませんか。
「ちょっと待って。えっ、なんで、これ全部私が一個一個バーコードでやなやらなきゃいけないの」
買い物カゴにいっぱいノートや鉛筆、ハンカチ、靴下など詰め込んで、レジにやってきた女性が精算機の前で叫んでいる。小学生になった息子の学用品を少しでも安くとやってきた百均でのこと。 かごに入った43品目のバーコードを全部機械に読ませなければならない。やり方もわからない。聞きたくても店員がみえない。これまでレジに2人、店内に3人いた。やっと見つけた店員に「これないんじゃない。誰もいない。どうやって精算するのよ」「申し訳ありません。人手不足で」と精算の仕方を説明。
人を減らしたわけではないが、お客さんの対応に追われて―と泣きそうな顔で頭を下げる。いつの間にかやり方がわからない女性の後に行列ができていた。
これまでは仕事の合間に百均で何もかもそろったという。学用品でいっぱいの買い物カゴをレジ台に放り投げ「もう来ないから」と捨てゼリフ。私も3点入れた商品を元に戻した。
百均ばかりではない。マクドナルド、ミスタードーナツ、ガストにジョナサン。全国チェーン店のレジから人が消された。「現金OK」「〇〇カードOK」と表示された精算機からかわいた機械の声が客に指示する。
行列のなかから客どうしの話が聞こえてくる。「誰が無人にと頼んだ」。「私の金でコーヒーを飲んでお金払うのに、なんで機械に指示されなければならないの」。30歳代おぼしき女性店員に聞いてみた。答えは「レジスターでやってください。どこもこうです。嫌ならしょうがないですね」「無人化の理由は」「本部の方針でわからない」。悩みもなくあっさりと答えた。
高齢世代の多いこの街の朝夕のファミレスはお年寄りの交流の場となっている。ここに来ないと一日中人の顔も見ない。人と話すこともない。妻をおくってからはファミレスが生きる力になっている。「無人化では来店する意味ないよ」と80代後半の男性は、「引きこもりも老人になるしかない」と怒る。
無人化店の経営者は東京。従業員の賃金以外の金は地元に落ちない。
折も折、新聞は「消滅する自治体」予測を日本列島地図入りで報じた。この街もその周りの街も「消滅」することになっている。レジの無人化は消える街の入口だ。春の夢でない現実を不安になった。 (ジャーナリスト)
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あるファミレス。レジに人はいない。客がお金を払ってレジを兼務。





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