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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2024年12月23日20時54分掲載
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核・原子力
女川原発と島根原発に迫る大地動乱 半島部に建つ原発からの避難はとても困難 (上) 山崎久隆
今年10月から12月にかけて、東日本では東北電力女川原発2号機が、西日本では中国電力島根原発2号機が、それぞれ再稼働した。 原子力関係者にとって沸騰水型軽水炉(BWR)の再稼働はいわば 「悲願」である。
これまでは西日本で再稼働してきた原発が全て加圧水型軽水炉(PWR)だったが、東日本大震災後13年余を経て立て続けに東電福島第一原発と同型の沸騰水型軽水炉が再稼働したことで「大きく前進した」と考えている。
世界では圧倒的にPWRのシェアが大きく、BWRは少数派。前者は約300基に対して後者は約40基しかない。日本では東電が17基もBWRを建設したこともあり半々程度だった。
しかし東日本大震災以後、再稼働した12基は全てPWRで、現時点は12対2、新規制基準適合性審査を受けている原発を含めても16対11である。言い換えならばBWR型が再稼働しなければ、2030年に20から23%の電力を原発で作るという、第6次エネルギー基本計画の達成は到底不可能だ。
従って、BWR再稼働は国の政策でもあった。安全性などの考慮は最初から存在しないのである。
◆2024年能登半島地震の教訓は
今回再稼働した2つの原発には共通点がある。それは、半島部に建つ原発で、周辺住民の避難はとても困難だということだ。
◎東北電力女川原発2号機
2024年11月15日に再稼働した。津波対策として海抜29mの防潮堤を建設するなど、安全対策に巨額の投資をし、沸騰水型軽水炉として初めて再稼働した。
◎中国電力島根原発2号機
2024年12月7日に原子炉を起動した。福島第一原発事故の翌年に定期検査のために停止して以来、12年10カ月間止まっていた。地震や津波による重大事故を防ぐ安全対策工事を進め、11.9mの津波対策として15mの防潮堤を建設した。
半島部に建つ原発が、地震や津波でどのような被害を受けるか、そのことを示したのが能登半島に建つ北陸電力志賀原発だ。
2024年1月1日に発生した能登半島地震において、志賀原発周辺も震度7の大きな揺れに遭遇した。その影響で道路は寸断され、地盤が隆起したことで船舶の接岸も不可能になった港が多数生じた。
こうした現実を目の当たりにして、原子力防災の実効性に深刻な問題が生じたと誰もが思った。ところが原子力規制委員会は、これについて「能登半島地震への対応に問題はない」と述べ、大幅な見直しにはならない考えを示した。 多数の家屋倒壊や道路寸断が発生したことを踏まえた見直しの必要性を問われても、「現在の指針や自治体が策定する地域防災計画で対応できる」と述べるだけだった。(東京新聞2024年1月17日原子力災害対策指針を見直しへ…でも規制委は大幅変更を否定 能登半島地震で「避難の前提」総崩れになったのに』より)
能登半島の地形と地質から、こうした問題が生じることは分かっていた。 しかし4mも地盤が隆起したり、高規格の道路である「のと里山海道」が全面的に使えなくなる、能登空港へのアクセスが完全に遮断されるなどは想定もしていなかった。これらが原子力防災での避難の基幹施設だった。
加えて、21箇所設置されていた「屋内退避施設」のうち、6箇所が損害を受け、2箇所が破壊されて使用不能になった。 これは、原発から20km以上も離れたところで発生した地震の影響である。原発の直下で起きれば、これより遙かに多くの被害があったことは想像に難くない。
◆原子力規制委は課題として捉えたのか。そうではなかった。
地震と原発事故の「複合災害」に対する見解は『各地域の地域防災計画・避難計画においては、家屋倒壊が多数発生する場合には、地震に対する避難行動を最優先で行い、地方公共団体が開設する近隣の指定避難所で屋内退避するほか、当該指定避難所への屋内退避が困難な場合には、UPZ外に避難することとしていることから、複合災害時の基本的な対応は示されている。』というものだ。 施設が破壊され道路が寸断し、港も使えない。そんな現状は無視されたのだ。(下)に続く
(たんぽぽ舎共同代表) (初出:2024年12月発行「月刊たんぽぽ舎ニュース」No348)
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