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2026年05月29日22時28分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】大飯原発差止訴訟控訴審判決批判 (上) 安全神話に回帰し東電福島第一原発事故の警告を無視 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
2026年5月28日大阪高裁第6民事部(川畑正文裁判長、上田賀代 裁判官、山田智子裁判官)は、一審の設置許可の取り消しを認めた判決を取り消した。結論として、一審で認容されていた住民側の請求をすべて棄却しており、極めて不当な判決である。
1.原告適格をめぐる高裁判決の「基準誤用」と「裁量権の逸脱」への批判
高裁判決は、原告適格(裁判を起こす資格)の範囲を「年間20ミリ シーベルト」という極めて高い被ばく線量地域に限定し、遠方住民の訴えを門前払いした。これは行政事件訴訟法9条1項の解釈を歪めた重大な違法である。
◎避難基準(20ミリシーベルト)と公衆制限(1ミリシーベルト)のすり替え
高裁判決が盾にした「年間20ミリシーベルト」は、ICRP(国際放射線防護委員会)が定める「緊急事態が起きてしまった後」のやむを得ない参考レベルに過ぎない。 平時において法律が保障すべき公衆の被ばく限度は「年間1ミリシーベルト」であり、高裁の論理は「事故が起きても年間20ミリシーベルトまでは住民に受忍(我慢)させる」という人権侵害の容認だ。
◎規制庁シミュレーションの「時間的限定」を盲信した事実誤認
高裁判決は、国側のシミュレーションを鵜呑みにして遠方住民への影響を否定した。 しかし、あの試算は「事故後わずか7日間」の放射線量しか計算していない。7日目以降も続く高濃度汚染水(琵琶湖水源など)による内部被ばくや、長期にわたる土壌汚染の影響を意図的に除外した高裁の判断は、科学的客観性を欠いた「不当な限定解釈」である。
2.基準地震動(Ss)評価における高裁判決の「科学的思考停止」への批判
高裁判決は、地震動審査ガイドが命じる「経験式が有するばらつき」の考慮について、国側の二重の欺瞞(言い訳)をそのまま容認する誤りを犯した。
◎「不確かさ」による「ばらつき」代替論の容認という誤謬
高裁判決は、国が「断層面積の不確かさ(人間のデータ不足)」を考慮したことをもって、「地盤の気まぐれによるばらつき(自然界の個体差)」もカバーできているとする主張を維持した。 しかし、面積がどれだけ正確に分かっていても、地下の岩盤の硬さやズレ方の違いで地震が巨大化するのが「ばらつき」である。
高裁はこの科学的な次元の違い(二者択一ではないこと)を理解せず、国の論理のすり替えを追認した。
◎「短周期1.5倍」の免罪符化の追認
高裁判決は「中越沖地震の知見に基づく短周期1.5倍のケースを計算しているから安全余裕がある」とした。しかし、これは「揺れの伝わり方(ステップ2)」の不確かさ対策であり、「地震そのもののエネルギー量(ステップ1)」のばらつきを無視したことの言い訳にはならない。
標準偏差(0.382)を正当に上乗せすれば、最大加速度は856ガルから1150ガルへ跳ね上がる。高裁判決は、この1150ガルに対する安全性を審査しないまま設置変更許可を適法とした点で、規則4条3項の解釈を完全 に誤っている。
3.入倉・三宅式の誤用(構造的過小評価)を排斥した高裁判決への批判
高裁判決は、将来の地震予測において「インバージョンによらない断層面積」を入倉・三宅式に投入すると、地震規模が劇的に過小評価されるという島崎邦彦元委員らの科学的実証を排斥(無視)した。
◎「事後データとの一致」という時間的矛盾(弁解)の容認
高裁判決は、国側の「過去の地震では震源インバージョン結果と整合的(一致している)」という弁解を認めた。しかし、未来の地震を予測する段階では、事後の波形解析データであるインバージョンデータなど「存在し得ない」。
◎バグを内包した計算方法への司法免責
未来予測においてザックリとした地表の活断層面積を使わざるを得ない以上、入倉・三宅式を適用した時点で、実際の地震規模の「2分の1から4分の1」という構造的な過小評価(バグ)が自動的に発生する。 日本の地震特性を100%反映した「武村式」を使えば、地震加速度は1.68倍の1438ガルに達する。
高裁判決は、この明白な数式誤用のメカニズムに目をつぶり、「想定し得る最大規模の地震動」を定めた規則4条3項・解釈別記2を完全に骨抜きにした。
(下)に続く。(「TMM:No5385」から)
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