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2026年06月08日12時42分掲載
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入管
「帰国説得」は強要にならないか 法務省の強力推進パッケージに支援現場から懸念
法務省は5月22日の法務大臣会見で、「不法滞在者ゼロプラン」をさらに強化する「強力推進パッケージ」を発表した。
同パッケージでは、難民認定申請の審査迅速化や、AIを含むデジタル技術の活用、護送官付き国費送還の促進、摘発体制の強化などが盛り込まれた。中でも支援団体関係者らが警戒しているのが、仮放免者や被監理者について、「要件を満たさなくなった者は収容した上で帰国説得を行う」とした部分だ。
仮放免は、健康上の理由や家族事情など、人道的配慮が必要な人を収容施設の外に出す制度だ。しかし、今回の方針は、そうした人たちを再び収容し、帰国を迫る運用につながりかねないとして、支援現場から強い懸念が出ている。
2021年に名古屋入管で発生したウィシュマ・サンダマリさん死亡事件の国賠訴訟で遺族側代理人を務める指宿昭一弁護士は、「長期収容体制への回帰につながりかねない」と強い危機感を示した。
指宿弁護士は、「この間の入管行政の排外主義的な方向性は変わっていなかったが、今回は悪い意味でさらに一歩踏み込んだ」と指摘。特に問題視したのが、仮放免者を再収容したうえで「帰国説得」を行う方針だ。
「帰国説得とされているが、実態としては長期収容や劣悪な環境を背景にした帰国の強要になりかねない。帰らなければ外に出られないという圧力の中で、人は追い詰められる。家族と離れたくなくても、収容に耐えきれず帰国を選ばざるを得なくなるケースも出てくるだろう」
ウィシュマさんの死亡事件以降、入管施設での長期収容を抑制する流れが一定程度あった。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、収容施設の被収容者数は比較的少ない状態が続いていた。
しかし指宿弁護士は、今回の方針について、「その流れを転換し、再び大規模な収容へ戻る意思表示だ」と批判する。
「十分な医療も受けられず、劣悪な環境の中で人を追い込み、帰国を迫るような運用が行われれば、ウィシュマ事件を繰り返すことになりかねない」
さらに、「国や法務省も、ウィシュマ事件について十分な謝罪や検証をしていない。その状況でこの方針を打ち出したことは許しがたい」と述べた。
蕨市・川口市周辺でクルド人支援を行う「在日クルド人と共に」の松澤秀延さんも、今回のパッケージに強い反発を示す。
松澤さんは、入管が近年、難民申請者や仮放免者に対し、自主的な帰国を促す働きかけを強めていると指摘する。強制送還となれば上陸拒否期間が長期に及ぶ一方、出国命令制度などでは、一定の要件を満たして出国した場合、上陸拒否期間が1年となる制度もある。
ただし、それは「1年後に必ず日本に戻れる」ことを意味しない。再入国には改めて査証や在留資格の審査があり、生活の再建や家族との同居が保障されるわけでもない。
松澤さんは、こうした制度上の説明が、現場では「自主的に帰国すれば、1年後には日本に戻れる」かのように伝わっていると懸念する。
「自主帰国すれば、1年後には新規入国者として在留資格を得られるかのような話をされ、それを信じて帰国したクルド人がいる。私が把握している範囲でも、昨年だけで少なくとも10人程度はいる」
しかし、そうした説明は書面ではなく、あくまで口頭でのやりとりにとどまっているという。松澤さんは、「1年後に本当に再入国できるのか、入管が約束を守るのかは分からない」と不信感を示す。
「日本で家族と暮らしている人、日本人と結婚している人、子どもがいる人であっても、帰国を迫られている。帰れば本当に戻れるのか、戻れたとしてどのような在留資格で生活できるのか。そこがまったく見えない」
松澤さんによれば、帰国したクルド人の中には、今年夏以降、帰国から1年を迎える人もいる。仮に再入国できたとしても、短期滞在では就労できず、難民申請をしても就労許可を得るハードルは高い。家族と日本で暮らすための安定した制度的な道筋がないままでは、再び同じ問題が繰り返されるだけだと訴える。
「入管は、目先の送還忌避者を減らすことだけに躍起になっているように見える。けれど、帰国させれば問題が解決するわけではない。トルコでの生活が安全なのか、日本に残る家族はどうなるのか、戻ってきた後にどう生活するのか。そこが置き去りにされている」
法務省・入管庁の公表資料によると、令和8年1月1日現在、在留期限を過ぎても日本にとどまっている人は6万8,488人で、前年から6,375人減少した。入管庁はこれらの人を「不法残留者」として集計している。
法務省は、こうした人たちを「増やさない」「減らす」ための施策として強力推進パッケージを進めるとしている。しかし支援現場からは、難民申請者や仮放免者を管理・送還の対象として強く位置づける今回の方針が、長期収容や帰国強要の再拡大、さらには地域で暮らす外国人家族の生活破壊につながるのではないかとの懸念が上がっている。
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