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2007年05月03日13時08分掲載
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環境
日本は廃棄物を輸出するな! 5月2日に世界行動デーでアジア各地で抗議行動
「アジアは日本の廃棄物植民地ではない!」というメッセージを掲げた国際行動が5月2日に行われ、呼びかけ団体のひとつであるNGO・脱焼却グローバル連合(GAIA)は、「日本の”廃棄物植民地”に反対する初めての世界行動デーに、フィリピンを含む世界の45カ国以上からこの問題に関心を持つ200以上の団体上及び多くの人々が参加し、有害廃棄物貿易を海外開発援助と投資に結びつけるための東京の圧力を非難し阻止するために集まった」とホームページで報じた。日本でも環境問題やグローバリゼーションに対抗する運動に取り組んでいる市民グループ・NGO22団体が連名で、「日本と各国との経済連携協定に含まれる有害廃棄物とその他の搾取的な条項を除外することを求める」手紙を安倍首相に送った。この国際行動については、アジア開発銀行総会に並行して京都で開かれる市民フォーラムのいっかんとして5月6日に開かれるシンポジウム「日本の廃棄物輸出政策 −3Rイニシアティブと経済連携協定−」で、フィリピン、タイからの参加者によって報告される。(大野和興)
この国際行動は、今年1月にインドのケララ州で開催された Waste Not Asia (アジアに廃棄物を持ち込むな)会議に参加したアジア各国のNGOsによって決定された。
会議では、日本政府が東南アジア諸国との締結を急いでいる経済連携協定(EPA)を通じて開 発途上国へ廃棄物や廃棄物寸前の中古品の輸出を推進しようとしているという抗議が高まった。そして2007年5月2日を世界行動デー(Global Day of Action / GDA)とし、世界各地で様々な抗議行動をすることになりった。
この世界行動デー(Global Day of Action / GDA)は脱焼却グローバル連合(GAIA)やバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN) 、グリーンピース東南アジア(GPSEA)などの国際NGOが合同で進め、日本では環境NGO「化学物質問題市民研究会」が中心的な役割を担った。
国際行動は次の3つを軸に展開された。 1.世界各地で日本政府や日本大使館への抗議行動。 2.安倍晋三首相へ廃棄物輸出政策をやめるよう要請する手紙に世界中のNGOから賛同署名を集めて、5月2日に署名リスト付きでこの手紙を安倍首相に出す。 3.事務局が日本の廃棄物輸出に抗議するはがきを作成し、世界中のNGOがこのはがきを日本政府や日本大使館に出す(写真)。
GATAは、日本大使館へ抗議行動は、マニラ、チェンマイ、台北、ソウルでも抗議行動があったと伝えられている。
マニラの日本大使館前では、5月2日に第2次大戦中の硫黄島のすり鉢山への米軍兵士による星条旗押し立てに見たたて、ゴミの山に日本の官僚が¥印の旗を押し立ててのデモンストレーションが行われた(写真)。
世界中のNGOが送った安倍首相への手紙は次のようなものだ。日本の憲法にも触れながら、アジアへの日本の視点をきびしく突いたものになっている。
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
5月3日は、1947年に施行された日本国の憲法を祝う憲法記念日です。それは国民が古い明治憲法から現在の憲法へ移行したことについて熟考する日です。この憲法施行は日本がもう一度平和国家へ仲間入りした第一歩でしたので5月3日は日本の再生の日でもあります。 私たち、下記に署名した世界中の様々の国からの市民団体は、日本の現在の指導者たちが日本国憲法の下に日本が果すべき義務を思い出すよう要求します。 特に憲法第98条(2)は"日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする"と述べています。 憲法第98条(2)はアジアにおける二国間経済連携協定の日本のとどまるところを知らない追求により無視されているように見えます。この議論の中心は日 本がシンガポール、マレーシア、フィリピン及びタイと調印した経済連携協定中の有害廃棄物及びその他の世界的に禁止されている物品や材料に特恵関税を与えることを主張することにあります。 このことは、日本はその締約国であるバーゼル条約、及びいくつかの多国間環境協定(MEAs)の下での日本の義務に違反 する結果となります。 世界中の市民団体は、これら二国間協定について、特にそれらがいかに有害廃棄物貿易を促進するかについて、また、日本の有害廃棄物によりアジアの二国間協定の相手国に結果としてもたらされる環境的及び社会的不正義について深い懸念を表明しています。 市民社会の懸念を鎮めるために日本が示した公式の反応は、日本からのどのような有害廃棄物輸出もバーゼル条約と関連国の国内法に従うということです。私たちは、この反応は不誠実であり日本国憲法が求める条約の遵守に欠けると感じます。 日本は、有害廃棄物の発生と輸出を第一に防止し最小とすることを求めるバーゼル条約の他の義務を忘れてしまっているように見えます。 すなわち: 1.第4条2(b)及び(e)−日本からフィリピンや他のアジア諸国への貿易のための有害廃棄物の関税をゼロにするというような動機を作り出し、有害 廃棄物の輸出を促進するための市場環境を作り出すことにより、日本は自国が生成した有害廃棄物を自国内で処理するという義務に違反している。日本はまた、 日本からアジアの他の開発途上国への有害廃棄物の国境を越える移動を増大させようとしており、したがって有害廃棄物の国境を越える移動を最小にするという 義務に違反している。 2.第4条10−貿易の道を開き有害廃棄物貿易のための市場環境を作り出すことを通じて有害廃棄物のアジアの隣国への移転を促進することに より、日本は日本が生成した有害廃棄物を管理するための責任を二国間協定の相手国に転嫁している。バーゼル条約の第4条10の下では日本は輸入国または通 過国に責任を転嫁することはできない。3.第11条−バーゼル条約は、もしそのような協定または取り決めがこの条約によって求められる有害廃棄物及び他の廃棄物の環境上適正な処 理を害するものでなければ、そしてこれらの協定または取り決めがこの条約の定める規定以下ではない環境上適正な規定を定めるものなら、締約国が二国間、多 国間または地域的な協定または取り決めを締結することができる。その二国間協定の中で、"廃棄物"を"物品"として再定義することにより、日本は自由貿易 対象ではないバーゼル条約の下に確立した世界の管理対象である廃棄物とみなされる対象物または物質の管理を直ちに回避した。 もし日本がこれらの義務を無視することを選ぶなら、バーゼル条約の誠実な遵守とはなりえません。バーゼル条約の下での日本の義務は無条件であり例外もなく、したがってバーゼル条約の義務の全てを遵守する義務が求められています。 アジア地域には、二国間協定を通じて廃棄物植民地が日本によってアジアに築かれようとしていることについての明らかな不安があります。日本の指導者らは立ち止まり、日本と各国の経済連携協定について市民社会が抱いている懸念に目を向けることが賢明でしょう。 日本国憲法は日本の歴史においてまたアジアの歴史において困難な時期に生まれ、そしてそれは傷を癒し不安を軽減するために考えられたひとつの手段でありました。この歴史的な憲法施行後60年経過した現在、日本は、長年培われてきた誠実な遵守の約束を無視するだけでなく、古傷を深くえぐる恐れのある二国間協 定を推し進めようとしています。 憲法記念日の精神に従って私たちは次の措置をとるよう強く要請します。 1.日本、フィリピン、タイ、及びその他のアジア諸国の政府はそれぞれの経済連携協定の中の有害廃棄物、有害技術、及び国際的に管理されたまたは禁止された物質をリストから外し、その他の搾取的な条項を修正すること。 2.日本はバーゼル条約禁止修正条項をできるだけ速やかに批准し、フィリピン、タイ、そしてその他のアジア諸国も同様に批准するよう働きかけること。 3.廃棄物貿易自由化条項が日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)にどのような意図と方法で含められることになったのかを明らかにする ために、そして責任当局の説明責任を求めるために、日本及びフィリピンの両国において完全で公平な多様な利害関係者による調査が行われること。 4.日本とアジアの二国間協定の相手国は、廃棄物を隠すための場所を探すのではなく、有害物質使用削減、計画的廃用化の排除、及び製造 者にその製品に対する責任を求めることを通じて、その根源から有害廃棄物やその他の廃棄物の発生を防ぐための真剣なプログラムを立ち上げること。 5.生命の尊厳と私たちの環境の保護のために、私たちは日本の廃棄物植民地主義に反対する最初の世界行動デーにおける遵守についての緊急請願に署名します。
署名団体(日本):(2007年5月2日現在)アジア農民交流センター/アジア労働者情報交流センター(NAW)/ATTACジャパン /化学物質過敏症支援センター/化学物質問題市民研究会/関西フィリピン人権情報アクションセンター/グローバリゼーションを問う広島ネットワーク/市民がつくる政策調査会/ジュビリー関西ネットワーク/全国労働安全衛生センター連絡会議/脱WTO/FTA草の根キャンペーン実行委員/会黙っちゃらんない・神奈川市民の会/ティナラク織の会「カフティ」止めよう!/ダイオキシン汚染・関西ネットワーク/止めよう!ダイオキシン汚染・東日本ネットワーク/農民運動全国連合会/東アジア環境情報発伝所/日の出の森・支える会/フィリピンのこどもたちの未来のための運動(CFFC)/フィリピン・ピースサイクル/フォーラム平和・人権・環境
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